弁護士はやめとけと言われる理由とは?司法試験や予備試験の難易度、弁護士の仕事の現状も解説

弁護士はやめとけと言われる理由とは?司法試験の難易度や弁護士の仕事の現状も解説

「弁護士はやめとけって言われたけど、実際どうなの?」
「司法試験、予備試験は無理ゲー?」
「司法試験は難しすぎるし、受かっても報われない?」

そんな声を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

弁護士は依然として社会的地位の高い職業ですが、近年は司法試験の高難度や競争の激化、収入格差などを背景に、「やめとけ」と言われることも増えてきました。

しかし、それでもなお、弁護士としてのやりがいや安定・高収入を得るキャリアを目指し、達成している人も多くいます。

この記事では、弁護士が「やめとけ」と言われる理由や司法試験の難易度、そして弁護士業界の現状について詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

弁護士はやめとけと言われる理由とは?司法試験は無理ゲー?

「弁護士はやめとけ」「司法試験は無理ゲー」という言葉を耳にすることがあるのではないでしょうか。その具体的な理由は次のとおりです。

  • 司法試験の難易度が高い
  • 学習にかかる費用が高い
  • 学習期間が長い
  • 合格できないとキャリア形成が遅れる
  • 仕事の責任が重くストレスも大きい
  • 弁護士は業務時間の割に年収が低い
  • 弁護士の業務は書類作成が中心

それぞれ詳しく解説します。

①司法試験の難易度が高い

弁護士になるためには司法試験に合格する必要があり、司法試験は国内最難関の国家試験の一つとして知られています。

その合格率は例年約40%と近年上昇傾向にあるとはいえ、依然として低い水準です。

試験科目も憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法といった法律基本7科目に加え、選択科目もあり、それぞれ深い理解と膨大な知識量が求められます。

さらに、単に知識を暗記するだけでなく、複雑な事案に対して法律を適用し、論理的な文章で解答を構成する高度な能力も不可欠です。

また、司法試験の受検資格を得るための難易度も高く、2〜3年の法科大学院に通うか、予備試験に合格しなければなりません。

多くの受験生が長期間の準備をしても、司法試験の合格に至らないケースも少なくなく、その厳しさが「やめとけ」と言われる大きな一因となっています。

②学習にかかる費用が高い

司法試験の学習には、相当な費用がかかることも「やめとけ」と言われる理由の一つです。

司法試験の受験資格を獲得し、試験合格するために、多くの受験生は法科大学院(ロースクール)に進学するか、司法試験の予備校を利用します。

法科大学院の学費は、国立でも年間約80〜100万円、私立では120〜150万円を超える場合も珍しくありません。

2〜3年間の通学が必要となるため、総額では数百万円に達します。

予備校に通う場合も、コースによっては数十万円〜百万円程度の費用がかかります。

これらに加えて、全国模試の受験料、学習期間中の生活費も考慮しなければなりません。

特に、専業で学習に集中する場合はアルバイトをする時間も限られ、収入が途絶えるため、経済的な負担は非常に大きくなります。

親からの援助や奨学金、教育ローンを利用する人もいますが、将来的な返済も視野に入れる必要があります。

以下の記事では、法科大学院の学費やメリット・デメリットについて解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。

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③学習期間が長い

弁護士になるためには、非常に長い学習期間を要することも覚悟しなければなりません。

法学部出身者であっても、大学卒業後に法科大学院で2年間の課程を修了する必要があります。

司法試験予備試験ルートを選択する場合は、専門的な学習が必要で、学習に2〜3年以上かかるケースも珍しくはありません。

さらに、法科大学院修了後や予備試験合格後、すぐに司法試験に合格できるとは限らず、数年間受験を続ける人も多いです。

司法試験合格後は約1年間の司法修習があり、この期間も実務や研修に専念する必要があります。

つまり、大学入学から弁護士として本格的に活動を開始するまで、最短でも6~7年、長ければ10年以上かかるケースもあります。

この長期間、モチベーションを維持し、学習に集中し続ける精神力と体力、そして経済的な基盤が求められるため、時間的コストの大きさが「やめとけ」と言われる要因の一つとなっています。

以下の記事では、弁護士になるための最短期間のほか、必要な学力についても解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。

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④予備試験は合格率が低すぎる

司法試験の他にも、「予備試験はやめとけ」と言われることも少なくありません。実際、予備試験の難易度は高く、過去の合格率は以下の結果となっています。

年度受験者数最終合格者数合格率
2024年12,569人449人3.6%
2023年13,372人479人3.6%
2022年13,004人472人3.6%
2021年11,717人467人4.0%
2020年10,608人442人4.2%
2019年11,780人476人4.0%
2018年11,136人433人3.9%
2017年10,743人444人4.1%
2016年10,442人405人3.9%
2015年10,334人394人3.8%

参照:司法試験予備試験の結果について|法務省

合格率は例年3〜4%で推移しており、予備試験は非常に難易度が高いことがわかります。そのため、予備試験ではなく法科大学院ルートを選ぶ人も多いかと思います。

しかし、法科大学院ルートと比べて、予備試験に合格した人の司法試験の合格率は極めて高いです。

予備試験ルート法科大学院ルート
令和6年度約92.8%約34.8%
令和5年度約92.6%約40.6%
令和4年度約97.5%約37.6%
令和3年度約93.5%約34.6%
令和2年度約89.4%約32.7%

参照:司法試験の結果について – 令和6年司法試験法科大学院等別合格者数等|法務省

法科大学院ルートで司法試験に合格した人は約30〜40%なのに対し、予備試験ルートを選んだ人は約95%が司法試験に合格しています。

予備試験自体は難易度が高いものの、その分司法試験に合格できる可能性も高いので、弁護士を最短で目指す人はむしろ予備試験ルートがおすすめです。

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⑤合格できないとキャリア形成が遅れる

司法試験に合格できなかった場合、キャリア形成が大きく遅れてしまうリスクがあります。

多くの受験生は、20代の貴重な時間を司法試験の勉強に費やします。

もし合格できなければ、同年代の社会人が企業で経験を積んでいる間に、自身は職歴がない、あるいは短いという状態です。

新卒採用の年齢制限や、中途採用における実務経験の重視といった日本の雇用慣行を考えると、司法試験を諦めた後の就職活動の難易度が高くなる可能性があります。

例えば、30歳前後で初めて就職活動するとなると、職歴やスキルの観点から、就職活動に苦労することも予想されます。

もちろん、司法試験の勉強で培った法律知識や論理的思考力は無駄にはなりませんが、その知識を活かせる職種や企業を見つける努力が必要です。

一部の企業では、法務部などで司法試験経験者を採用するケースもありますが、求人数は限られています。

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⑥仕事の責任が重くストレスも大きい

弁護士の仕事は、依頼者の人生や企業の将来を左右する可能性のある、非常に責任の重いものです。

民事事件では多額の金銭が絡むこともあり、刑事事件では被告人の自由や社会的評価がかかっています。

依頼者の期待に応えなければならないというプレッシャーは常にあり、敗訴した場合には依頼者からの信頼を失うこともあります。

また、対立する当事者やその代理人弁護士との交渉・折衝は精神的に消耗しますし、時には理不尽な要求やクレームを受けることも珍しくありません。

そのうえ、裁判所への提出書類の作成や期日の管理など、細心の注意を要する業務も多く、ミスが許されない緊張感が伴います。

このような重責と日常的なストレスから、心身のバランスを崩してしまう弁護士も少なくありません。ワークライフバランスの確保も難しく、特に若手時代は長時間労働になりがちな点も指摘されています。

⑦弁護士は業務時間の割に年収が低い

弁護士は高収入というイメージを持っている人は多いかと思います。

確かに日本の平均年収と比較すると弁護士は高収入に分類されますが、業務時間の長さを考慮すると「割に合わない」と感じる弁護士もいます。

特に、新人弁護士や小規模事務所の弁護士、国選弁護を中心に活動する弁護士の場合、期待するほどの収入を得られないケースも少なくありません。

複雑な案件では、膨大な資料の読み込みや判例調査、書面作成に多くの時間を費やしますが、必ずしもその全てが報酬に直結するわけではありません。

もちろん、大手法律事務所のパートナー弁護士や、専門分野で高い評価を得ている弁護士は高収入を得ていますが、あくまでも全体の一部になります。

多くの弁護士は、社会的な使命感ややりがいを重視しつつも、長時間労働と収入のバランスに悩みを抱えることがあるのが実情と言えるでしょう。

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⑧弁護士の業務は書類作成が中心

弁護士の仕事と聞くと、法廷で華々しく弁論する姿をイメージするかもしれません。

しかし、実際の業務の多くは地道な書類作成が占めています。

訴状、準備書面、答弁書、各種申立書、契約書、意見書など、作成する書類の種類は多岐にわたります。

これらの書類は、事実関係を正確に把握し、関連する法律や判例を調査・分析したうえで、論理的かつ説得力のある文章で構成しなければなりません。

一つの誤字脱字や法的解釈の誤りが、依頼者に不利益をもたらす可能性もあるため、細心の注意と集中力が求められます。

このようなデスクワークが業務時間の大半を占めることも珍しくなく、依頼者との打ち合わせや法廷への出廷は、業務全体の一部に過ぎないことが多いです。

地道な作業が苦手な人や、常に人と接する仕事をイメージしている人にとっては、実際の弁護士の仕事がミスマッチになる可能性があります。

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弁護士は仕事がないって本当?弁護士の数が増えている

中には、「弁護士は仕事がない」という噂を耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。

確かに、1999年に始まった司法制度改革により、司法試験の合格者数が増加し、弁護士の数は増え続けています。

日本弁護士連合会の統計によれば、弁護士の数は2000年初頭から比較して2倍以上に増加しています。
参照:弁護士白書 2019年版|日本弁護士連合会

一方で、裁判所に持ち込まれる民事訴訟の事件数自体は、微減傾向にあるというデータもあり、弁護士一人当たりの仕事量が減っている可能性は否定できません。

そのため、確かにかつてのように弁護士なら誰でも高収入を得られる時代ではなくなったかもしれません。

しかし、依然として弁護士は高度な専門知識を要する資格であり、他の多くの職業と比較すれば高収入で安定したキャリアが期待できると言えるでしょう。

質の高い法的サービスを提供し、専門性を高め、新たな需要を開拓できれば、弁護士の仕事がなくなる心配は少ないはずです。

弁護士が向いている人の特徴

次の特徴に当てはまる人は、弁護士が向いていると言えます。

  • 困っている人を助けたいという正義感がある人
  • コミュニケーション能力に自信がある人
  • 責任感と倫理観が強い人
  • 長時間の勉強に耐えられる人
  • 論理的思考ができる人
  • 安定的・高収入の仕事に就きたい人

それぞれ詳しく解説します。

①困っている人を助けたいという正義感がある人

弁護士の仕事の根幹には、法律を用いて社会の不正義を正し、弱い立場の人々や権利を侵害された人々を救済するという使命があります。

そのため、まず「困っている人を助けたい」「社会正義を実現したい」という強い情熱や正義感を持っていることが、弁護士として活動する上での大きな原動力となります。

依頼者の多くは、何らかのトラブルや困難に直面し、精神的にも追い詰められている状況です。

そのような人々に寄り添い、親身になって話を聞き、法的な解決策を提示することで安心感を与え、問題解決に導くことにやりがいを感じられる人は弁護士に向いているでしょう。

金銭的な報酬だけでなく、人助けを通じて社会に貢献したいという思いが、複雑で大変な業務を乗り越える支えとなります。

②コミュニケーション能力に自信がある人

コミュニケーション能力も弁護士には欠かせない能力の一つです。

弁護士の業務は、依頼者や相手方のほか、裁判官、検察官、他の弁護士など、さまざまな立場の人々と関わりながら進めていくものです。

依頼者からは、複雑な事情や感情的な側面も含めて、正確に情報を聞き出すヒアリング能力が求められます。

そのうえで、法律の専門知識がない依頼者にもわかりやすく、丁寧に説明する能力も重要です。

交渉の場面では、相手の主張を理解しつつ、こちらの論点を的確に伝え、有利な条件を引き出す説得力や交渉術が必要です。

さらに法廷においても、裁判官や裁判員に事実を正確に伝え、法的な主張を論理的かつ明瞭に展開する弁論能力が試されます。

弁護士に必要なコミュニケーション能力は、単に話が上手いということだけでなく、相手の立場や感情を理解し、信頼関係を築く力を含みます。

そのため、多様な人々と円滑に意思疎通を図れる人は、弁護士として活躍できる可能性が高いでしょう。

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③責任感と倫理観が強い人

弁護士の仕事は、依頼者の人生や財産、時には自由をも左右する可能性のある、極めて責任の重いものです。

そのため、引き受けた案件に対して最後まで誠実に取り組み、依頼者の正当な利益を守るために全力を尽くす強い責任感が求められます。

また、弁護士は高い職業倫理を遵守することが法律で義務付けられています。

依頼者の秘密を守る守秘義務、依頼者の利益を最大化するために行動する誠実義務、そして利益相反行為の禁止など、厳格なルールに従わなければなりません。

金銭的な誘惑や不正な手段に流されることなく、常に公正な立場を維持し、法と正義に照らして正しい判断を下す高い倫理観が不可欠です。

責任感と倫理観は、依頼者や社会からの信頼を得るための基盤であり、弁護士として長く活動していく上で最も重要な資質の一つと言えるでしょう。

④長時間の勉強に耐えられる人

弁護士になるためには、最難関の一つである司法試験に合格しなければなりません。

司法試験に合格するためには、膨大な量の法律知識を習得するだけではなく、理解を深め、応用力を身につける必要があり、そのためには長期間にわたる集中的な勉強が不可欠です。

毎日何時間も机に向かい、難解な法律書や判例を読み込み、論述問題の答案を作成し続けるという地道な努力を継続できる忍耐力や集中力が求められます。

また、弁護士になった後も、法改正や新しい判例は絶えず出てくるため、常に最新の知識をアップデートし続ける学習意欲が必要です。

担当する案件によっては、未知の分野や特殊な法律について一から勉強しなければならないこともあります。

そのため、知的好奇心が旺盛で新しいことを学ぶのが好きな人、長時間の勉強や調査研究も頑張れる人は、弁護士という職業に適性があると言えるでしょう。

⑤論理的思考ができる人

論理的思考ができる人も弁護士に向いています。

弁護士の仕事は、複雑な事象の中から法的な問題点を見抜き、さらに証拠に基づいて事実を認定し、法律を適用して結論を導き出すという論理的な思考が必要です。

そのため、物事に対して筋道を立てて考え、矛盾なく説明する論理的思考能力が極めて重要です。

具体的には、以下のような能力が求められます。

  • 依頼者から聞き取ったバラバラの情報を整理し、事件の全体像を把握する分析力
  • 集めた証拠から何が言えるのか、何が足りないのかを判断する推論力
  • 法的な根拠や判例を的確に引用し、相手の反論を予測しながら説得力のある議論を組み立てる構成力
    など

感情論に流されることなく、客観的な事実と法規範に基づいて冷静に判断し、戦略を立てることができなければ、依頼者の利益を守ることはできません。

このような論理的思考力は、日々の学習や実務経験を通じて磨かれていくものです。

特に、元々パズルを解くように考えることが好きな人や、議論で筋を通すことが得意な人は、弁護士に向いていると言えます。

⑥安定的・高収入の仕事に就きたい人

弁護士は、一般的に社会的地位が高く、安定した高収入が期待できる職業の一つと認識されています。

弁護士は、司法試験という難関を突破し、高度な専門知識とスキルを身につけた専門家であるため、他の多くの職種と比較して平均年収は高い傾向にあります。

大手法律事務所に勤務したり、企業法務や専門分野で高い実績を上げたりすれば、数千万円以上の年収を得ることも可能です。

また、資格職であるため定年がなく、自分の体力や気力が続く限り働き続けることができるというメリットもあります。

景気の変動にも比較的強く、法的な紛争やニーズは社会がある限り存在するため、仕事が全くなくなるというリスクは低いと言えるでしょう。

努力と実績次第で、経済的な安定と高い報酬を目指したいと考える人にとって、弁護士は魅力的な選択肢の一つとなり得ます。

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弁護士資格の現実とは?司法試験の学習は将来に活きる

弁護士資格、および司法試験には、次のような特徴があります。

  • 法曹コースの利用で学習期間を短縮できる
  • 司法試験の合格率は近年上昇傾向にある
  • 弁護士はAIに代替されにくく仕事はなくならない
  • 弁護士は将来性が高くやりがいもある
  • 司法試験の学習経験は弁護士以外でも活かせる

それぞれ詳しく解説します。

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①法曹コースの利用で学習期間を短縮できる

司法試験の合格を目指す際、法曹コースの利用で学習期間を短縮することが可能です。

従来、法科大学院に入学するためには、4年制の大学を卒業する必要がありましたが、2020年から法曹養成制度の改革により「法曹コース」が導入されました。

法曹コースは、大学の法学部と法科大学院が連携し、学部段階から法曹を目指す学生に対し、一貫した教育を提供するプログラムです。

法曹コースを修了すると、法学部を3年で早期卒業し、法科大学院の既修者コース(2年間)に進学することが可能になります。

これにより、従来よりも1年早く司法試験の受験資格を得ることができ、学習期間の短縮と経済的負担の軽減につながります。

法曹コース制度の利用は、早期に弁護士としてのキャリアをスタートさせたいと考える学生にとって大きなメリットとなるでしょう。

ただし、法曹コースを設置している大学や、その入学条件、カリキュラムは異なるため、事前に十分な情報収集が必要です。

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②司法試験の合格率は近年上昇傾向にある

司法試験の合格率は、かつて数パーセントという極めて低い水準の時期もありました(旧司法試験)が、近年は上昇傾向にあります。

司法試験の過去の合格率は次のとおりです。

年度受験者数合格者数合格率
令和6年度3,779人1,592人42.1%
令和5年度3,928人1,781人45.3%
令和4年度3,082人1,403人45.5%
令和3年度3,424人1,421人41.5%
令和2年度3,703人1,450人39.2%
令和元年度4,466人1,502人33.6%
平成30年度5,238人1,525人29.1%
平成29年度5,967人1,543人25.9%
平成28年度6,899人1,583人22.9%
平成27年度8,016人1,850人23.1%

参照:(2)司法試験の合格状況|弁護士連合会

合格率が上昇している理由としては、受験者数が減少傾向にある一方で、合格者数がある程度維持されていることなどが考えられます。

もちろん、合格率が上昇したからといって試験が易化したわけではなく、依然として厳しい試験であることに変わりはありません。

しかし、以前のような極端に低い合格率の時代と比較すれば、受験者にとって心理的なハードルが多少下がり、努力が実を結びやすい環境になっていると言えるかもしれません。

③弁護士はAIに代替されにくく仕事はなくならない

近年、AI(人工知能)技術の発展により、多くの職業がAIに代替される可能性が指摘されています。

しかし、弁護士の仕事はAIに完全に取って代わられにくいと考えにくいです。

確かに、判例検索や契約書の簡単なレビュー、定型的な法律相談など、一部の業務はAIによって効率化される可能性があります。

しかし、弁護士の業務には以下のように人間が判断しなければならないものも多いです。

  • 個別の複雑な事案における事実認定
  • 法的解釈
  • 依頼者との信頼関係構築
  • 交渉
  • そして法廷での弁論
    など

このように、弁護士の業務の核心は、高度なコミュニケーション能力に加え、読解力、倫理観、創造性、最終的な意思決定を伴うものです。現在のAI技術では代替が困難な領域です。

むしろ、AIを有効なツールとして活用し、より質の高い法的サービスを提供できるようになる可能性も秘めています。

社会が複雑化するにつれて新たな法的問題も生じるため、弁護士の専門的な知見は今後も必要とされ続けるでしょう。

④弁護士は将来性が高くやりがいもある

弁護士という職業は、高い専門性と倫理観が求められると同時に、将来性が高く、大きなやりがいを感じられる仕事です。

社会が存続する限り、人々の間や企業間での紛争は避けられず、また新たな法律や制度も生まれ続けるため、法的な専門家である弁護士の需要がなくなることは考えにくいです。

例えば、グローバル化やテクノロジーの進化に伴い、国際取引、知的財産、IT関連法務など、新たな分野での活躍の場も広がっています。

何よりも、困っている人を法的に助け、正義を実現し、社会に貢献できるという点は、他の職業では得られない大きなやりがいです。

依頼者から感謝されたときや、困難な事件を解決に導いたときの達成感は格別でしょう。

もちろん、責任の重さや困難も伴いますが、それを乗り越えた先にある充実感は弁護士ならではの魅力と言えます。

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⑤司法試験の学習経験は弁護士以外でも活かせる

司法試験の学習経験は弁護士以外でも活かすことが可能です。

万が一、司法試験に合格できなかったとしても、その過程で培った法律知識や論理的思考力、文章構成能力は、弁護士以外のキャリアでも大いに活躍します。

例えば、以下のようなキャリアがあります。

  • 企業の法務部に勤務する
  • 公務員として勤める
  • コンサルティングファームに勤める
  • 金融機関に勤める
  • ジャーナリストになる
  • 司法書士や行政書士の資格を取得する
    など

企業の法務部では、契約書の作成・審査、コンプライアンス体制の構築、紛争対応など、法律の専門知識が直接役立ちます。

また、国家公務員や地方公務員として、政策立案や法制度の運用に関わることも可能です。

その他にも、コンサルティングファームや金融機関の専門職、ジャーナリストなど、幅広い分野でその能力を発揮できる可能性があります。

司法書士や行政書士といった別の法律系国家資格を取得するのも選択肢のひとつです。

このように、司法試験の学習経験は、どのような道に進むにしても個人の市場価値を高める貴重な財産となるでしょう。

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司法試験はどのくらい難しい?合格率と勉強時間から分析

司法試験は数ある国家資格の中でも、最難関資格のひとつです。他の合格率や勉強時間を他の国家資格と比較した表が以下です。

資格合格率勉強時間
弁護士予備試験:約3〜4%
司法試験:約45%
約5,000~8,000時間
行政書士約10〜13%約500~800時間
司法書士約4〜5%約3,000時間
税理士約20%前後約2,000~4,000時間
社労士約6~7%約800〜1,000時間
宅建約15〜17%約200~400時間

弁護士になる(司法試験に合格する)には、合計で約5,000~8,000時間の勉強時間が必要とされます。

行政書士や宅建などは数百時間で合格を目指せるものの、司法試験に合格するには約10倍もの勉強量が必要であることがわかります。

司法試験の合格率は40%と高く見えますが、試験範囲は後半で試験内容も複雑なので、他の国家資格と比べて圧倒的な勉強量が必要です。

とはいえ、誰もが合格不可能と言えるような合格率ではありません。

特に、近年は司法試験の合格率も上昇傾向にあることから、正しい努力を重ねれば十分に合格可能な試験といえます。

東大と弁護士はどっちが難しい?司法試験の偏差値の目安

東京大学合格と司法試験合格の難しさについて、大学入試の偏差値と国家試験の難易度を直接比較することは困難で、比較対象の性質が異なるため一概には言うことはできません。

司法試験の難易度を偏差値に例えるのは難しいですが、大学入試の偏差値で言えば、およそ75と言われることがあり、東京大学や一橋大学に相当すると考えられます。

また、司法試験の合格に必要な勉強時間は、5,000時間〜8,000時間以上と膨大で、東大合格に必要な勉強時間と比較しても遜色ないか、それ以上と言えるかもしれません。

また、トップクラスの法科大学院に入学するには、東大合格レベルの学力が必要と言われることもあります。

東京大学と弁護士の難易度を厳密に比較することはできませんが、重要なのは、どちらもトップレベルの知力と継続的な努力が求められるということです。

医者と弁護士ならどっちが稼げるの?

医者と弁護士はどちらも国内トップクラスの難関資格であり、「医者と弁護士、どちらが稼げるのか」という疑問もよく耳にします。

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、30代後半・経験年数1〜4年と仮定した場合、医者のほうが年収は高い傾向にあります。

しかし、医者といっても専門分野は人それぞれ異なり、医者も弁護士も働き方や地域、年齢によって年収は大きく変動するため一概に言い切ることはできません。

例えば、美容外科などの自由診療を行う開業医や、大病院の院長クラスの医師は、極めて高い収入を得る可能性があります。

同様に、企業法務を専門とする大手法律事務所のパートナー弁護士や、特定の分野で高い専門性を持ち成功している弁護士も高額な報酬を得ています。

どちらの職業も稼げる可能性を秘めていますが、結局のところ本人の努力と環境次第と言えるでしょう。

司法試験に受けられるのは5回までって本当?

司法試験法第4条により、司法試験を受験できるのは、受験資格を得てから5年以内に5回までです。

例えば、2026年に法科大学院を修了し、2027年に司法試験を受けた場合、その年から起算して5年間なので、2032年までで最大5回、司法試験に挑戦できることになります。

期間内・回数制限内に合格できなかった場合、司法試験の受験資格が失効します。

再度司法試験を受験するためには、改めて法科大学院を修了するか、予備試験に合格して受験資格を取得し直さなければなりません。

司法試験の受験回数制限は、受験生の長期化を防ぎ、早期に社会に出ることを促す目的があると言われています。

受験生にとっては大きなプレッシャーとなりますが、限られたチャンスの中で合格を勝ち取るための計画的な学習と強い意志が求められることになります。

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予備校に通うべき?司法試験の独学合格は厳しい

司法試験の合格を目指すうえで、予備校の利用は非常に有効な手段と言えます。

独学での合格は不可能ではありませんが、膨大な試験範囲と専門性の高さを考えると、極めて困難な選択肢です。

実際に、司法試験の合格者の多くは法科大学院や予備校を利用しています。

予備校では、試験合格に特化したカリキュラムや質の高い教材、経験豊富な講師陣による指導を受けることができ、学習効率を大幅に高めることが可能です。

また、学習仲間との情報交換やモチベーション維持の面でもメリットがあります。

受講費用は決して安くありませんが、合格可能性を高めるための投資と考えるべきでしょう。

費用負担を惜しんで独学を選択し、結果として合格までに多くの年月を費やしてしまうよりは、効率的な学習環境を整えることが賢明な判断と言える場合が多いです。

以下の記事では、司法試験の予備校の料金やカリキュラムについて比較解説しています。「どこの予備校を選べばいいの?」「おすすめの予備校はどれ?」とお悩みの方は、ぜひチェックしてください。

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まとめ

弁護士は、高い試験難易度や長期の学習期間、責任の重い業務内容などから「やめとけ」と言われることもあります。

しかし、その分、弁護士は大きなやりがいや社会的信頼、安定した収入が期待できる職業です。

司法試験の難しさは事実ですが、近年は合格率の改善や学習サポート制度の整備も進んでおり、努力次第で十分に合格を目指せる資格になりつつあります。

困っている人を助けたいという想いがあり、論理的に物事を考えられる方にとって、弁護士は将来性と誇りを持てる職業です。

弁護士を目指すには、効率よく学べる予備校の活用も有効です。迷っている方は、まず学習環境を整えるところから始めてみましょう。

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