「行政書士試験の合格率ってどれくらい?」
「なぜそんなに合格率が低いの?」
「合格するためにはどんな対策が必要?」
こうした疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
行政書士試験は、毎年多くの受験者が挑戦する人気の国家資格ですが、合格率は例年10%〜13%と低く、難関資格の一つとされています。
しかし、実際の試験難易度は特別高いわけではありません。
合格率の数字に惑わされず、しっかり対策を行えば十分に合格を目指せる試験でもあります。
この記事では、行政書士試験の最新の合格率データを紹介しながら、合格率が低くなる理由や実際の難易度について詳しく解説します。
さらに、合格に向けた具体的な試験対策も紹介しますので、これから受験を考えている方はぜひ参考にしてください。
行政書士試験の合格率は実際どれくらい?
一般財団法人 行政書士試験研究センターの発表によると、令和6年度(2024年度)の行政書士試験の合格率は12.90%でした。受験者数は47,785人で、そのうち合格者数は6,165人です。
行政書士試験の合格率は、他の国家資格と比較しても低い水準であり、行政書士の試験難易度は高いことがわかります。
ただし、行政書士試験は受検資格がないため、受験者の中には十分な準備をせずに受験する方も含まれています。そのため、合格を目指して計画的に学習した受験生だけを見ると、実際の合格率はこれよりも高いでしょう。
過去10年間における行政書士試験の合格率の推移
過去10年間の行政書士試験の合格率は次のとおりです。
| 合格率 | 受験者数 | 合格者数 | |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 12.90% | 47,785名 | 6,165名 |
| 令和5年度 | 13.98% | 46,991名 | 6,571名 |
| 令和4年度 | 12.13% | 47,850名 | 5,802名 |
| 令和3年度 | 11.18% | 47,870名 | 5,353名 |
| 令和2年度 | 10.72% | 41,681名 | 4,470名 |
| 令和元年度 | 11.48% | 39,821名 | 4,571名 |
| 平成30年度 | 12.70% | 39,105名 | 4,968名 |
| 平成29年度 | 15.72% | 40,449名 | 6,360名 |
| 平成28年度 | 9.95% | 41,053名 | 4,084名 |
| 平成27年度 | 13.12% | 44,366名 | 5,820名 |
参照:最近10年間における行政書士試験結果の推移|一般財団法人 行政書士試験研究センター
合格率は年度によって多少の変動がありますが、全体的には約10%〜13%と低い水準で安定しており、行政書士試験が難関資格であることを示しています。
行政書士試験と他の法律系国家資格との難易度比較
行政書士試験と他の法律系国家資格と比較した表が以下です。
| 資格 | 合格率 | 勉強時間 |
|---|---|---|
| 行政書士 | 約10〜13% | 約500~800時間 |
| 弁護士 | 予備試験:約3〜4% 司法試験:約45% | 約5,000〜8,000時間 |
| 司法書士 | 約4〜5% | 約3,000時間 |
| 税理士 | 約20%前後 | 約2,000~4,000時間 |
| 社労士 | 約6~7% | 約800〜1,000時間 |
| 宅建 | 約15〜17% | 約200~400時間 |
行政書士試験の合格率は約10%前後ですが、弁護士の予備試験は約3%、司法書士試験は約4%〜5%とさらに低く、難易度も高いことがわかります。
これらと比べると、行政書士試験は法律初学者でも挑戦しやすく、基礎から体系的に学べる構成となっているため、法律系資格の登竜門として位置付けられることが多いです。
また、宅建士試験は合格率が約15〜17%で、行政書士より試験難易度は低めとなっています。
しかし、宅建士試験で問われる法律知識は不動産に限定されています。その点、法的思考力に加えて記述力や文章理解力も問われる行政書士はバランス型の総合的な資格です。

行政書士は「合格しやすいけど活かしにくい」って本当?
行政書士は「合格しやすいけど活かしにくい」と言われることがあります。これは、資格取得後すぐに仕事が得られるとは限らず、実務経験や営業力が問われるためです。
特に独立開業を目指す場合、法知識だけでなく顧客獲得や書類作成スキル、経営センスなども必要になります。
しかし、独立開業意外にも、行政書士は企業内での法務部門へのキャリアアップが目指せ、さらに他資格との組み合わせによって強みを発揮できる場面も多いです。
たとえば、社労士や宅建士などとダブルライセンスを取ることで、幅広い業務が可能になります。
そのため、行政書士資格は「活かし方次第で将来性のある資格」といえます。
以下の記事では、社労士と行政書士の違いについて詳しく解説しているので、気になる方はぜひ参考にしてください。

行政書士試験の合格率が低くなる主な理由
理由①3つの合格基準をすべて満たす必要がある
行政書士試験の合格基準には次の3つがあります。
- 法令科目で5割以上獲得する(122点/244点を獲得)
- 基礎知識科目で約4割以上獲得する(24点/56点を獲得)
- 試験全体で6割以上獲得する(180点/300点を獲得)
いずれか1つでも基準点を下回ると不合格となるため、バランスの取れた学習が不可欠です。
出題範囲は幅広く、法令等科目では憲法、民法、行政法など幅広い法律知識が問われます。
一方、基礎知識科目では政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解など多岐にわたる分野から出題されます。
これらの合格基準をすべて満たすためには、計画的な学習と十分な対策が必要です。

理由②法令科目の出題範囲が広く、学習負担が重い
行政書士試験の法令等科目は、憲法、民法、行政法、商法および会社法、基礎法学など、非常に広範囲にわたります。
試験に合格するためには、これらの法律を網羅的に学習する必要があるため学習負担は非常に大きいです。
特に、民法は条文数が多く、判例も多いため理解に苦労する受験生も少なくありません。
行政法も行政手続法や行政不服審査法、行政事件訴訟法など、複数の法律から構成されており、相互の関係性を理解する必要があります。
理由③マークシートだけでなく記述問題もあり対策が難しい
行政書士試験は、択一式(マークシート)に加えて記述式問題も課されるため、単に知識を覚えるだけでは対応しきれません。
記述問題では条文や判例の理解に加えて、それらを論理的に文章として表現する力が問われます。配点も大きく得点差がつきやすいため、記述問題は合否を左右する重要なポイントです。
効果的な対策として、過去問を使って書く練習を重ねることや、添削指導を受けて表現力や構成力を磨くことが大切です。
独学が難しい場合は通信講座などの活用も視野に入れましょう。

理由④社会人の記念受験が多く、統計上の合格率を下げている
社会人の記念受験が多いというのも、行政書士試験の合格率が下がっている理由のひとつです。
行政書士試験は受験資格がなく誰でも受験できるため、十分な準備をせずに「記念受験」する社会人も少なくありません。
合格ではなく記念受験することが目的の人も一定数いることが、結果として統計上の合格率を押し下げている一因とされています。
実際に本気で合格を目指して計画的に勉強を続けた受験者に絞ると、合格率は20%を超えることも否定できません。
そのため、行政書士試験の難易度は、全体の合格率だけで難易度を評価するのではなく、実際に対策を講じた受験生の視点で合格可能性を判断することが重要です。
数字だけでは判断できない行政書士試験の本当の難易度
行政書士試験の合格率は例年約10%〜13%と低い水準となっています。合格率だけを見ると、難易度が非常に高く一部の努力家しか合格できないと思うかもしれません。
しかし、実際の行政書士試験は、難易度が特別高い試験というわけではありません。
ここからは、筋だけでは判断できない、行政書士試験の本当の難易度について深掘りして解説します。
行政書士試験は絶対評価制で合格できる試験
行政書士試験は相対評価ではなく絶対評価制度が採用されています。
絶対評価制度の試験とは、あらかじめ定められた基準点をクリアすれば誰でも合格できる仕組みの試験のことです。
司法試験や会計士試験では、上位何%といった相対評価制度が採用されており、試験全体の成績によって合否が左右されます。
しかし、行政書士試験は試験全体の成績に関係なく、合格ラインさえ上回れば全員が合格できるため、自分の努力と学習次第で合格を狙える点が大きな特長です。
そのため、学習環境や時間を工夫して効率よく学習を行えば、法律経験がない社会人や主婦でも十分にチャンスがある資格と言えます。
本気の受験生の合格率は20%を超えるかもしれない
行政書士試験の公式な合格率は約10〜13%程度ですが、これは記念受験者や準備不足の受験者も含まれた数字です。
2024年度(令和6年度)の行政書士試験の申込者数は約6万人いるのに対し、実際に受験したのは約4.7万人と、約1.3万人もの人が申込だけして試験を受けていないことがわかります。
参照:最近10年間における行政書士試験結果の推移|一般財団法人 行政書士試験研究センター
実際の記念受験者の数はわかりません。しかし、十分な学習時間を確保し、計画的に対策を講じた「本気の受験生」に限定すれば、合格率は20%を超えてもおかしくはありません。
つまり、適切な教材選びと効果的な学習法を実践すれば、誰にでも合格の可能性が開かれている試験と言えます。

受験者の年齢や職業は多様で、誰にでもチャンスがある
行政書士試験は受験者の年齢や職業は多様で、誰にでもチャンスがある試験と言えます。
行政書士試験には受験資格に制限がないため、20代の学生から60代以上の定年退職者まで、多様な人々が受験しています。職業も会社員や公務員、主婦、フリーランスなどさまざまです。
実際、2024年度(令和6年度)の行政書士試験の合格者は、最年長で81歳が2名、最年少が13歳1名と幅広い人が受験・合格していることがわかります。
参照:令和6年度行政書士試験実施結果の概要|一般財団法人 行政書士試験研究センター
この点からも、行政書士は「誰にでもチャンスがある資格」であり、時間の使い方や勉強法を工夫することで、年齢や環境に関係なく合格を目指せる資格試験です。

難易度に応じて合格基準点が調整される仕組みもある
行政書士試験では、例年の出題傾向や難易度に応じて合格基準点が若干調整されることがあります。
原則として合格基準は総得点300点中180点(6割)とされていますが、その年の問題の難易度が高かった場合は、実際の合格基準点が少し下がることもあります。
そのため、合格ラインに十分届くレベルまで試験勉強と対策を行なっていれば、その年の試験難易度が特別高いことが理由で落とされるリスクは少ないです。
ただし、合格基準点は大きく変動するわけではないため、基本は6割を安定して取れるようにしておく必要があります。
受験生は基準点の上下に振り回されず、常に安定した得点力を養うことを意識し、実力を確実に積み上げることが重要です。
行政書士試験の合格率アップを目指す対策
記述式問題の得点力が最終合否を分ける
行政書士試験はマークシート形式の択一式と、40時程度の記述式の2方式で行われます。
択一式は1問あたり4点〜8点なのに対し、記述式は1問あたり10点〜20点と配点が高いため、記述式が合否を左右すると言っても過言ではありません。
記述式問題は知識だけでなく、それを論理的に表現する文章力が必要です。
記述式問題の正解率を高めるためには、過去問を繰り返し解いたり、自分の解答を客観的に見直したりして、表現や構成を改善していくことが大切です。
最新の法改正を調べる手間をなくす
行政書士試験では、法改正された最新の法律知識が問われます。
法律の最新情報を入手するのに手間がかかるほか、改正後の法律を理解したり、改正前と後のポイントを把握したりするのにも時間がかかります。
自ら調べて対応しようとすると、大きな負担となるため、行政書士試験の勉強は通信講座や予備校を利用するのがおすすめです。
講座を活用すれば、改正内容の要点や出題傾向も解説してくれるため、無駄な学習を省き、重点的に対策することができます。
また、法改正に対応した教材や模擬試験も充実しており、本番でも自信を持って対応できるようになります。
独学ではカバーしにくい部分を補うためにも、通信講座や予備校を活用することは非常に有効な選択肢です。
過去問を繰り返し解き、直前模試も必ず受ける
行政書士試験対策において過去問の活用は重要です。
過去の出題傾向を把握することで、出題されやすいテーマや自分の弱点を分析することができます。
特に5年分以上の過去問は繰り返し解くようにし、知識の定着と問題慣れを図りましょう。
また、直前期には模擬試験を受けることも重要です。本番と同じ時間配分で解答することで、時間管理や精神的なプレッシャーに慣れることができます。
模試の結果を分析すれば、自分の現在のポジションや弱点分野を把握でき、重点的な学習に取り組めます。複数の予備校の模試を受けるのもおすすめです。
行政書士試験の一発合格を目指すなら通信講座を活用しよう
行政書士試験に一発で合格を目指すなら、通信講座の活用は非常に効果的です。
通信講座は、通学型の予備校と比べて費用が抑えられているほか、自宅で自分のペースで学習できるため、忙しい社会人や主婦もスキマ時間を活用して学習することが可能です。
さらに、プロの講師による分かりやすい講義や重要ポイントを押さえた教材、記述問題の添削など、合格に必要なサポートが一通り揃っています。
最新の法改正情報や出題傾向を反映した教材が、常に更新されるのも大きなメリットです。
そのため、行政書士試験に一発合格するため、効率的に勉強を進めたい方は通信講座を活用しましょう。
また、以下の記事では通信講座の料金やカリキュラム、キャンペーン情報などを比較解説しているので、これから行政書士試験の学習を始める方はぜひ参考にしてください。

まとめ
行政書士試験は合格率が10%〜13%と低い水準の国家資格です。決して簡単な試験ではありませんが、実際の合格率はこれよりも高い可能性があります。
そのため、行政書士試験の合格を目指す際は、合格率の数字だけに惑わされず、試験の出題傾向や合格基準を正しく理解することが大切です。
行政書士試験の通信講座は、合格に必要なカリキュラムとなっており、効率的な学習で最短合格を目指せます。
これから行政書士の資格を取得しようと考えている方は、通信講座を活用しましょう。

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