行政書士試験を大学の偏差値で例えるならどのくらい?合格率や難易度、勉強時間の目安も解説

行政書士試験を大学の偏差値で例えるならどのくらい?合格率や難易度、勉強時間の目安も解説

「行政書士試験の難易度はどの程度なの?偏差値で例えると?」
「他の国家資格と比べて、合格率や必要な勉強時間は?」
「自分にとって挑戦しやすい資格なのか知りたい」

このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

行政書士試験は、法律系資格の中でも比較的チャレンジしやすい試験とされていますが、合格率は約10%〜13%と低い水準となっています。

資格取得を検討している方は、​行政書士試験は他の国家資格と比較してどの程度の難易度なのか、必要な勉強時間はどのくらいなのかを基に検討することが重要です。​

この記事では、行政書士試験の難易度を、合格率や他の国家資格との比較を通じて詳しく解説します。​さらに、試験に合格するための効果的な勉強方法についても紹介しますので、これから行政書士試験に挑戦しようと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

行政書士試験の難易度を偏差値で例えるとどのくらい?

偏差値は60~64程度!大学で例えるとMARCHレベル

行政書士試験の難易度を偏差値で例えると、偏差値60~64程度と言われています。大学の偏差値で言えば、明治大学や青山学院大学などいわゆる「MARCH」レベルとなります。

ただし、個人の得意分野や学習方法によって体感的な難易度は異なるので、偏差値はあくまで目安として考えておくことが大切です。

明治大学などのMARCHは一般的に難関大学として知られますが、行政書士試験も難関大学ほど難しいかと言うとそうではありません。

行政書士試験には受験資格がなく、誰でも受験できるため記念受験者の数も多いです。全体の合格率だけ見れば難関大学に相当する偏差値ですが、実際の難易度としては特別難しいというレベルではないでしょう。

行政書士試験の合格率は?約10%〜13%

行政書士試験の合格率は、例年約10%〜13%程度で推移しています。過去5年間の合格率は次のとおりです。

年度受験者数合格者数合格率
令和6年度47,785人6,165人12.90%
令和5年度46,991人6,571人13.98%
令和4年度47,850人5,802人12.13%
令和3年度47,870人5,353人11.18%
令和2年度41,681人4,470人10.72%

参照:一般財団法人 行政書士試験研究センター

合格率だけ見ると比較的低い水準ですが、合格率が低いからといって特別難しい試験というわけではありません。

行政書士試験は受験資格に制限がなく誰でも挑戦できる試験なので、法律初学者や十分な準備をせずに受験する人も多く含まれており、合格率を押し下げていることが考えられます。

そのため、しっかりと対策をすれば行政書士試験に合格できる可能性は十分あります。

試験合格に必要な勉強時間は?500〜800時間が目安

行政書士試験に合格するために必要な勉強時間は、一般的に500〜800時間程度が目安とされています。

ただし、これはあくまで目安であり、個人の学習経験や理解度によって必要な時間は異なるため注意が必要です。

法律初学者で独学で勉強する人の場合は800時間以上の勉強時間が必要となることもありますし、法律系の資格をすでに持っている場合は、500時間程度の勉強時間で合格できる可能性もあります。

そのため、あまり時間にこだわるのではなく、学習内容をしっかりと理解することが重要です。効率的な学習方法を取り入れ、理解度を高めることで、より短い時間で合格できるでしょう。

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他資格の難易度は?合格率や推定偏差値で比較

弁護士の難易度と比較

弁護士と行政書士の比較は次のとおりです。

弁護士行政書士
合格率予備試験:約3%
司法試験:約45%
※受験資格あり
約10〜13%
勉強時間約5,000〜8,000時間約500~800時間
偏差値68~60〜64

弁護士になるためには予備試験や司法試験を突破する必要があり、法律系資格の中でも最難関とされています。特に、予備試験の合格率は約3.58%(令和5年度)と、非常に低い水準となっています。

司法試験の受験資格を得るために法科大学院を修了するなどの条件があり、受験者層が限られていることも難易度が高い理由のひとつです。

偏差値は推定68以上で、大学で例えると東京大学や京都大学レベルに相当すると考えられます。

その点、勉強時間が少なく偏差値もそこまで高くない行政書士は弁護士と比べても難易度は低いことがわかります。

司法書士の難易度と比較

司法書士行政書士
合格率約4〜5%約10〜13%
勉強時間約3,000時間約500~800時間
偏差値65~6760〜64

司法書士は不動産登記や商業登記の専門家であり、法律系資格の中でも難易度が高い資格ととされています。

合格率は約4%~5%程度と非常に低く、偏差値は推定65〜67と高い水準となっており、合格には高度な法律知識と正確な事務処理能力が必要です。

また、行政書士は絶対評価で合格ラインは常に一定であるのに対し、司法書士は相対評価で、足切りラインが毎年変動するといった違いもあります。年度によっては8割以上の点数が求められることもあります。

合格に必要な勉強時間も多いため、司法書士と比べると行政書士のほうが難易度は低いです。

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税理士の難易度と比較

税理士行政書士
合格率約20%前後約10〜13%
勉強時間約2,000~4,000時間約500~800時間
偏差値65~67
※5科目複数年最終合格
60〜64

税理士は法人税や所得税などの税務申告を代行できる国家資格で、会計と税法の専門家です。

税理士試験は全11科目中5科目で合格すれば登録できる「科目合格制」が特徴的で、一度に全科目に合格する必要はありません。

合格率は科目によって異なりますが、約10%~20%程度となっています。1科目ずつ試験にチャレンジできることがメリットですが、5科目合格までに数年かかることも珍しくありません。

また、税理士試験は会計学や税法など幅広い知識が必要で、計算能力も求められます。さらに、相続税や事業承継に関する専門知識も必要で、常に最新の税法を把握しておかなければなりません。

トータルの勉強時間は約2,000~4,000時間とされており、税理士と比べると行政書士のほうが難易度は低いと言えます。

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社会保険労務士(社労士)の難易度と比較

社労士行政書士
合格率約6~7%約10〜13%
勉強時間約800〜1,000時間約500~800時間
偏差値60〜6460〜64

社労士(社会保険労務士)は企業の労働・社会保険手続きを代行し、就業規則作成や人事労務のアドバイスも行う専門資格です。

合格率は約5%~7%程度と低く、難易度は行政書士試験と同程度か、あるいは社労士のほうがやや難しいです。

社労士試験は、労働基準法、健康保険法、厚生年金保険法など労働社会保険に関する幅広い知識が必要で、労働判例や行政通達に関する知識も求められます。

合格に必要な学習時間は800〜1,000時間程度で、法律の読み取り力と実務的な判断力も必要です。

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宅地建物取引士(宅建士)の難易度と比較

宅建士行政書士
合格率約15〜17%約10〜13%
勉強時間約200~400時間約500~800時間
偏差値55~5660〜64

宅建士(宅地建物取引士)は不動産取引の専門家であり、不動産の売買や賃貸の仲介を行う国家資格です。業法上、5人に1人以上の専任配置が義務づけられているため、需要は安定していることが特徴です。

合格率は約15%~17%程度で、推定偏差値は55程度とされており、行政書士試験と比較すると合格しやすいと言えます。

また、出題範囲は民法・宅建業法・法令上の制限などで、比較的独学しやすいことが特徴で、学習時間も約200〜400時間と短めです。そのため、資格の中では比較的取りやすい部類です。

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行政書士試験は法律系資格の中では比較的易しい理由

理由①受験資格の制限がない

行政書士試験の大きな特徴のひとつが、受験資格に制限がないことです。

弁護士の司法試験を受験するには法科大学院を卒業するなどの要件があり、税理士試験の受験には学歴や資格、職歴などの要件があります。

これらの受験資格を得るまでに時間と労力がかかりますが、行政書士試験には年齢・学歴・職歴において受験資格に制限がないため思い立ったらすぐに学習を開始し、試験に挑戦することが可能です。

受験資格の制限がないことから、多くの人が挑戦しやすく、司法試験や税理士試験と比べると参入障壁が低い試験と言えます。

理由②試験の免除制度がある

行政書士試験には、一定の公務員経験がある場合などに、試験を受けずに行政書士となれる制度(特認制度)があります。

例えば、長年行政機関で働いていた人が退職後に行政書士を目指す場合、この免除制度を活用することで学習負担を軽減することも可能です。

免除の条件も特別厳しいものではないため、他の難関資格と比べると、行政書士の資格試験は比較的易しいと言えます。

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行政書士試験の試験内容

行政書士試験の試験科目は大きく2種類

行政書士試験の試験科目は大きく分けて2種類あり、それぞれ細かい科目に分けられます。具体的な科目は次のとおりです。

【行政書士の業務に関し必要な法令等】

  • 基礎法学
  • 憲法
  • 民法
  • 行政法
  • 商法

【行政書士の業務に関し必要な一般知識等】

  • 一般知識
  • 行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令
  • 情報通信・個人情報保護
  • 文章理解

「行政書士の業務に関し必要な法令等」は、行政書士の業務を行う上で必要不可欠な知識となる科目で、「行政書士の業務に関し必要な一般知識等」は、行政書士として社会情勢を理解し、適切に対応するために必要な科目です。

試験ではこれらの科目から、択一式問題、多肢選択式問題、記述式問題で出題されます。

行政書士試験の試験科目別の配点

行政書士試験の配点は、科目によって異なります。

政書士の試験科目別配点

試験科目出題形式問題数配点配点
(科目ごと)
合計
法令等科目
(244点)
基礎法学5肢択一式4点×2問8点8点
憲法5肢択一式4点×5問20点28点
多肢選択式8点×1問8点
行政法5肢択一式4点×19問76点112点
多肢選択式8点×2問16点
記述式20点×1問20点
民法5肢択一式4点×9問36点76点
記述式20点×2問40点
商法5肢択一式4点×5問20点20点
基礎知識科目
(56点)
一般知識5肢択一式4点×1問以上4点以上56点
行政書士法等行政書士業務と
密接に関連する諸法令
5肢択一式4点×1問以上4点以上
情報通信・個人情報保護5肢択一式4点×1問以上4点以上
文章理解5肢択一式4点×1問以上4点以上
合計300点

※配点や問題数は年度ごとに変わる可能性があります

法令科目(行政書士の業務に関し必要な法令等)は配点が高く、合否を大きく左右することが特徴で、特に民法と行政法は配点が高いため重点的に学習するのがポイントです。

基礎知識科目(行政書士の業務に関し必要な一般知識等)は、法令科目に比べて配点は低いものの、合格基準点を満たすためにはしっかりと対策する必要があります。

行政書士試験の合格基準は3つ

行政書士試験の合格基準には次の3つあります。

  • 法令科目で5割以上獲得する(122点/244点を獲得)
  • 基礎知識科目で約4割以上獲得する(24点/56点を獲得)
  • 試験全体で6割以上獲得する(180点/300点を獲得)

これらの合格基準をすべて満たす必要があり、例えば試験全体で6割以上得点しても、基礎知識科目が24点未満だった場合は試験に不合格となります。

特に、一般知識は苦手な人が多いとされる科目であるため、しっかりと対策しておきましょう。合格基準を理解し、バランスの取れた学習を行うことが重要です。

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行政書士試験を合格するコツは?科目で優先順位をつける

行政書士試験に合格するためのコツはいくつかありますが、その中でも特に重要なのは科目ごとに優先順位をつけることです。試験科目は多岐にわたるため、すべての科目を同じように学習していては時間と労力が足りません。

特に、法令等科目の対策を重点的に進めるのがおすすめです。

基礎知識科目は合計56点ありますが、全体に対する配点の割合が低いため、基礎知識科目で満点を取っても、試験全体で180点に届かず不合格になるということが考えられます。

一方、法令等科目は配点が多いため、法令等科目でできる限り多く得点し、基礎知識科目で基準ギリギリの24点さえ取れば試験全体で180点に届きやすいです。

配点の高い科目や自分の得意な科目を優先的に学習し、効率的に得点を稼ぐようにしましょう。

行政書士試験に一発合格するなら通信講座がおすすめ

行政書士試験に一発合格を目指すなら通信講座の利用がおすすめです。

通信講座は効率的な学習カリキュラム、質の高い教材、経験豊富な講師陣など、合格に必要な要素が揃っています。

また、自分のペースで学習を進めることができるため仕事や家事と両立しながらでも、無理なく学習を続けることが可能です。

通信講座によっては、質問対応や添削指導などのサポート体制が充実している場合もあり、これらのサポートを活用することで、疑問点をすぐに解消し理解度を高めることができます。

独学で学習するよりも通信講座を利用する方が、合格への近道となるため、一発合格を目指す人には通信講座の利用をおすすめします。

通信講座の選び方がわからないという方は、以下の記事で各通信講座のカリキュラムや料金を比較解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。

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まとめ

​行政書士試験の合格率は例年約10%〜13%で推移しており、難関資格と位置付けられています。偏差値は60~64程度で、大学で例えるとMARCHレベルと言えます。

しかし、その他の法律系資格と比べるとそこまで難易度は高くなく、例えば司法書士試験の合格率は3〜4%と低いため、通常は行政書士試験のほうが難易度は低いです。

試験範囲は広範囲にわたるため計画的な学習が求められますが、しっかりと学習を積み重ねれば初学者でも合格することは十分可能です。

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