「行政書士試験の難易度ってどのくらい?」
「他の国家資格と比べて、合格率や必要な勉強時間は?」
「独学での合格は可能なの?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
行政書士は、法律に関する幅広い知識を必要とする国家資格であり、その試験は決して容易なものではありません。
しかし、他の法律系資格と比較すると、受験資格がなく、適切な試験対策を行うことで十分に合格を目指せる資格でもあります。
試験範囲の広さや合格率、必要な勉強時間などを正確に理解し、計画的な学習を進めることが合格への道となります。
この記事では、行政書士試験の難易度を、合格率や必要な勉強時間といった観点から他の国家資格と比較し、詳しく解説します。独学での合格が可能かどうかについても触れていますので、これから行政書士を目指す方は、ぜひ最後までご覧ください。
行政書士試験の難易度は?合格率は約10%〜13%
行政書士試験は、法律系の国家資格の中でも難関として知られており、過去の合格率は次のとおりです。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 47,785人 | 6,165人 | 12.90% |
| 令和5年度 | 46,991人 | 6,571人 | 13.98% |
| 令和4年度 | 47,850人 | 5,802人 | 12.13% |
| 令和3年度 | 47,870人 | 5,353人 | 11.18% |
| 令和2年度 | 41,681人 | 4,470人 | 10.72% |
行政書士試験の難易度が高いのは、試験範囲の広いうえに、深い理解が求められるためです。
行政法や民法といった主要な法律科目に加え、憲法、商法、地方自治法など、多岐にわたる法律知識が必要です。さらに、単に条文を暗記するだけでなく、具体的な事例に適用できる応用力も求められます。
また、行政書士試験は相対評価ではなく絶対評価で合否が決まります。
つまり、試験実施年のレベルや、他の受験生の出来に関わらず、自身が基準点をクリアすれば合格です。
行政書士試験の合格基準は3つ
行政書士試験の合格を掴み取るためには、次の3つの合格基準を満たさなければなりません。
- 法令科目で5割以上獲得する(122点/244点を獲得)
- 基礎知識科目で約4割以上獲得する(24点/56点を獲得)
- 試験全体で6割以上獲得する(180点/300点を獲得)
このように、行政書士試験には法令科目と基礎知識科目で合格基準が設定されています。
どちらか一方の点数だけ良くて合計6割以上の点数を獲得してもだめで、バランスよく学習しなければなりません。
行政書士と他7つの国家資格の難易度を比較
行政書士試験の難易度をより具体的に理解するために、他の国家資格と比較してみましょう。各資格を難易度が高い順に並べたものが以下の表です。
| 資格名 | 合格率(令和7年最新) | 勉強時間の目安 |
|---|---|---|
| 弁護士 | 予備試験:3.6% 司法試験:45.3% | 約5,000時間〜8,000時間 |
| 司法書士 | 5.19% | 約3,000時間 |
| 税理士 | 18.8% | 約3,000〜5,000時間 |
| 弁理士 | 6.1% | 約2,000〜3,000時間 |
| 社会保険労務士 | 6.3% | 約800〜1,000時間 |
| 中小企業診断士 | 29.6% | 約800〜1,000時間 |
| 行政書士 | 13.98% | 約500〜800時間 |
| 宅建士 | 約17% | 約300〜400時間 |
弁護士の司法試験は予備試験または法科大学院修了が前提としており、数千時間の学習が必要で日本最難関レベルです。
税理士は科目合格制を設けており、5科目すべて合格するまでに数年かかることも珍しくありません。
その点、行政書士試験は合格率が例年約10%〜13%と低いものの、他国家資格と比べると難易度は易しめとなっています。
文章理解を徹底的に行い、学習時間もしっかり確保できれば、法律初心者でも資格取得が不可能ではありません。


大学の偏差値で例えると行政書士試験はどのくらい?
行政書士試験の難易度を大学の偏差値で例えるのは難しいですが、一般的には、偏差値60~64程度と言われています。受験者が1,000人いる場合、上から60番〜150番目に位置する水準です。
大学の偏差値で例えると、明治大学や青山学院大学などいわゆる「MARCH」レベルと言えます。
一方、最難関の弁護士は東京大学や京都大学レベル、司法書士は早稲田大学や慶應義塾大学レベルに相当すると考えていいでしょう。
ただし、実際の行政書士試験に編纂地や出身大学は関係ありません。高卒の人でも行政書士試験に合格することは可能ですし、偏差値の高い大学卒の人でも勉強を怠れば当然、行政士試験にも落ちます。
行政士試験と偏差値はあくまでも難易度を示す目安として考えておきましょう。
行政書士試験の勉強を始めるタイミングは?半年〜1年前に開始
行政書士試験の合格に必要な勉強時間は、個人差がありますが、一般的には約500〜800時間と言われています。
そのため、試験日から逆算して少なくとも半年から1年前には勉強を開始するのが理想的です。
行政書士試験は例年11月の第2日曜日に実施されているため、試験がある前年11月〜同年5月には勉強を開始する計算です。
また、勉強を始めるタイミングが早ければ早いほど、余裕を持って学習を進めることができるため、法律初学者の方は、法律用語や概念を理解するのに時間がかかることを想定して早めのスタートをおすすめします。
そのほか、仕事や家事などで忙しい方も、まとまった時間を確保するのが難しいため、早めに学習を開始し少しずつでも毎日継続して勉強することが大切です。
行政書士試験の合格に向けた4つの戦略ポイント
①法令科目は行政法と民法を中心に勉強する
行政書士試験の法令科目の中で、特に重要なのは行政法と民法です。これらは出題数が多い科目であり、試験範囲が広く配点も高いため、重点的に学習する必要があります。
行政法は行政組織や行政作用に関する法分野であり、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法などが含まれます。民法は人間の権利義務関係を規律する法分野であり、契約、不法行為、相続などが含まれる分野です。
行政法と民法は全体の63%を占めているため、得意科目にしてしまうことが試験合格のコツです。
②基礎知識科目は基準点突破を目指す
行政書士試験の基礎知識科目は次のとおりです。
- 一般知識
- 行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令
- 情報通信・個人情報保護
- 文章理解
これらの科目の合計点数は56点で、そのうち24点以上が合格基準となっています。
基礎知識科目は範囲が広い割に配点は少なめとなっており、高得点を獲得するのは難しいため、満点ではなく基準点突破を目指すことが大切です。過去問を分析し頻出分野を重点的に学習して効率を上げましょう。
③過去問にも力をいれる
行政書士試験対策において過去問の活用は非常に重要です。
過去問を解くことで試験の出題傾向や難易度だけでなく、自分の弱点などを把握することもできます。過去問は少なくとも過去5年分、できれば10年分程度を繰り返し解くことをおすすめします。
また、過去問を解く際には単に正解を覚えるだけでなく、なぜその答えになるのかを理解することが大切です。間違えた問題については解説をよく読み、関連する条文や判例を確認しましょう。
そのほか、過去問を解く際には、時間を計って本番の試験と同じように解く練習をすることもポイントです。
④定期的に模試を受ける
行政書士試験の合格に向けて、定期的に模試を受けることは非常に有効な戦略です。
模試を受けることで自分の実力を客観的に評価できると同時に、本番の試験と同じ形式で問題を解くことで試験の雰囲気に慣れることができます。
模試の結果を分析して自分の弱点を把握し、重点的に学習することで、効率的に実力を向上させられるでしょう。
また、模試は市販のものや通信講座のものが利用できるので、可能であれば多くの模試を受け、さまざまな問題に触れるのがおすすめです。
行政書士試験は独学でも受かる?
行政書士試験は独学でも合格可能な試験で、実際に独学で合格して活躍している人も多くいます。
独学は費用を抑えられるうえ、自分のペースで学習できるのがメリットです。しかし、わからないことを質問したくてもできず、モチベーションを維持するのが難しいというデメリットがあります。
テキストや教材も自分で選択し、揃える必要があるため、予備校や通信講座と比べるとどうしても効率は劣ってしまいます。
独学で合格するためには、自分自身で学習計画を立てて実行し、モチベーションを維持しながら学習を継続することが重要です。
行政書士試験の一発合格を目指すなら通信講座がおすすめ
行政書士試験の一発合格を目指すなら、予備校や通信講座の利用がおすすめです。
通信講座では、専門の講師によるわかりやすい解説や、効率的なカリキュラムが用意されているため、独学よりも効率的に学習することが可能です。
通信講座なら自宅で好きな時間に学習できるうえ、質問できる環境が整っています。過去問の分析や模試の実施など、試験対策も充実しています。
通信講座の選び方がわからないという方は、以下の記事で各通信講座のカリキュラムや料金を比較解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ
行政書士試験は法律系国家資格の中では比較的合格率が高いものの、依然として難易度の高い試験です。合格率は約10%〜13%で、受験者の10人に1人しか合格しない計算になります。
合格に必要な勉強時間は約500〜800時間がめ目安ですが、試験範囲が広範囲にわたるため、計画的な学習が求められます。できる限り早めに学習を開始し、余裕を持って合格を目指しましょう。
効率よく学習を進めるなら、テキストやカリキュラムが整っている通信講座を利用するのがおすすめです。

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