「行政書士って仕事がないって本当？」
「資格を取ったのに稼げない人が多いのはなぜ？」
「安定して仕事を得るにはどうすればいい？」
こんな不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
行政書士は独立開業できる魅力的な国家資格の一つですが、実際には「仕事がない」「食えない」といった声も少なくありません。
その背景には、開業後の集客力や営業力の不足といった課題があります。一方で、安定的に仕事を獲得して活躍している行政書士も多数存在するのも事実です。
この記事では、行政書士が「仕事がない」と言われる理由や、仕事に困っている人に共通する特徴を解説します。
さらに、継続的に案件を獲得するための具体的な対策についても紹介しますので、これから行政書士として働きたい方はぜひ最後までご覧ください。
行政書士に仕事がないと言われる理由は？
行政書士に仕事がないと言われる理由は、主に次の3つです。
- 行政書士の登録者数が多く競争が激しい
- 業務内容が一般に知られていないため依頼につながりにくい
- 独立後の集客力が成功のカギになる
それぞれ詳しく紹介します。
理由①行政書士の登録者数が多く競争が激しい
行政書士の登録者数は他の士業と比べて多いです。以下は、各士業の人数の比較表です。
| 士業名 | 登録者数（人） |
|---|---|
| 行政書士 | 52,734名 （2025年4月1日） |
| 弁護士 | 44,916名 （2023年） |
| 税理士 | 81,696名 （2025年3月末日） |
| 公認会計士 | 35,492名 （2024年4月30日） |
| 司法書士 | 23,387名 （2025年4月1日） |
参照1：各都道府県の行政書士会所在地・会員数等｜日本行政書士会連合会
参照2：弁護士人口｜日本弁護士連合会
参照3：税理士登録者数｜日本税理士会連合会
参照4：日本公認会計士協会 jicpa
参照5：会員数データ｜日本司法書士会連合会
このように、行政書士は税理士の次に多く、全国で約52,000名もの人が登録していることがわかります。
行政書士は、他の法律系国家資格と比べて、資格取得の難易度が比較的低く、独立開業の初期費用も抑えられることが特徴です。
資格取得を目指しやすく、事業も始めやすいことから、行政書士になる人は多いと考えられます。
しかし、登録者の数に比例して飽和しているというわけではありません。近年は外国人雇用などの影響で行政書士の活躍の場も拡大しています。
理由②業務内容が一般に知られていないため依頼につながりにくい
行政書士の業務範囲は非常に広く、多岐にわたりますが、その具体的な業務内容が一般の人々に十分に認知されているとは言えません。
例えば、行政書士の業務として、建設業許可申請、会社設立、遺言書作成、外国人雇用に関する手続きなどが挙げられます。
しかし、これらの業務が具体的にどのようなものなのか、行政書士に依頼することでどのようなメリットがあるのかが伝わっていないのが現状です。
業務内容が理解されていないため、潜在的な顧客は、そもそも行政書士に相談するという発想に至らないことも考えられます。
理由③独立後の集客力が成功のカギになる
行政書士として独立開業で成功するために重要な要素のひとつが集客力です。
行政書士の資格を取得し、事務所を開設しただけでは仕事が自然に舞い込んでくるわけではありません。積極的に営業活動を行い、顧客を開拓する必要があります。
集客方法は多岐にわたりますが、例えば、ホームページやSNSを活用した情報発信、地域団体への参加、セミナー開催などが集客方法のひとつです。
また、他の専門家との連携も重要で、弁護士や税理士などと協力することで顧客を紹介し合ったり、共同でセミナーを開催したりすることも大切です。
特に、経験の浅い新人行政書士は、実績のあるベテラン行政書士との競争が激しいため、行政書士として独立開業を考えている方は、集客方法について事前にしっかりと計画を立てておかなければなりません。
本当に行政書士に未来はないのか？現状と今後の展望
人口減少と業務内容の変化が将来性に影響する
日本の人口減少は、行政書士の業務にも少なからず影響を与えます。
例えば、建設業許可申請や会社設立など、人口規模に比例する業務は将来的に減少する可能性があります。
さらに、AI技術の発展により、一部の定型的な業務は自動化される可能性も高いです。
一方で、高齢化社会の進展に伴い、相続・遺言に関する業務の需要は増加しているほか、グローバル化の進展により、外国人関連業務も増加傾向にあります。
これらの変化に対応するため、行政書士は常に新しい知識やスキルを習得し、業務の幅を広げていく必要があります。
外国人関連や相続・遺言業務など成長分野も存在する
行政書士の将来性について悲観的な意見もありますが、決して未来がないわけではありません。
確かに、人口減少やAI技術の発展など行政書士の業務に影響を与える要因は存在しますが、外国人関連業務や相続・遺言業務など、需要が拡大している分野もあります。
外国人関連では、例えば在留資格や永住申請、帰化手続きなど、法的手続きを代行するニーズが年々高まっています。
高齢化が進む日本社会では、遺言書の作成や相続手続きのサポートなど行政書士の存在は不可欠です。
これらの成長分野に積極的に参入し、専門性を高めることで、行政書士として活躍することは十分可能です。
このように、今後の行政書士は顧客のニーズを的確に捉え、質の高いサービスを提供すると同時に、時代の変化に対応し、常に新しい知識やスキルを習得する姿勢も求められるでしょう。
仕事のない行政書士に共通する特徴とは？
仕事がないとされる行政書士には次のような共通点があります。
- 営業や発信活動に消極的である
- 他士業との差別化ができていない
- 時代に応じた業務拡張をしていない
それぞれ詳しく解説します。
特徴①営業や発信活動に消極的である
営業や発信活動に消極的な人は、行政書士の仕事を獲得できない可能性があります。
独立開業しても、営業など開業後の事務所を周知させなければ、当然仕事も獲得できません。
行政書士として安定して仕事を得るためには、自ら顧客との接点を作る努力が必要です。
例えば、SNSやブログ、ホームページを活用して、自身の専門分野や実績を発信することは、顧客の信頼を得るうえで非常に大切です。
さらに、地域の商工会議所や異業種交流会への参加など、リアルな人脈づくりも顧客獲得には欠かせません。。
待ちの姿勢ではなく自ら動いてチャンスをつかみにいく姿勢が、仕事の有無を大きく左右することになります。
特徴②他士業との差別化ができていない
行政書士の業務は司法書士や社労士、弁護士、税理士など他の士業と重複する領域も多くあります。
特に、弁護士や税理士などの資格を保有している人は、行政書士試験に合格しなくても、行政書士の独占業務を一部行うことが可能です。
そのため、行政書士は他士業と比較して自分の強みを明確にし、専門性をアピールする必要があります。
例えば、建設業や外国人関連業務に特化するなど専門分野を絞ったり、他士業と連携してワンストップサービスを提供したりすることで、顧客獲得を促すことができます。
仕事がない行政書士は、差別化や提携による付加価値の提供が不足している傾向があるので注意が必要です。
特徴③時代に応じた業務拡張をしていない
時代に応じた業務拡張をしていない人も、行政書士として仕事を獲得できない可能性があります。
社会や制度が変化する中、行政書士として求められる業務も移り変わります。
古いやり方や知識にとどまり、時代に応じた変化に対応できていなければ、仕事がなくなってもおかしくありません。
例えば、デジタル庁の設立により行政手続きのオンライン化が進んでいるため、行政書士もデジタル化に対応できる知識やスキルが求められます。
また、AI技術の進展によって一部業務が自動化されているため、付加価値のあるサービスを提供することも大切です。
仕事がない行政書士でも生活は可能？
行政書士として十分な仕事が得られていない場合でも、生活が即座に成り立たなくなるとは限りません。
副業やアルバイトで収入を補いながら、行政書士業務の集客やスキル向上に取り組む人もいます。ただし、行政書士一本で生活できるようになるには、戦略的な努力が必要です。
行政書士の仕事がない人は、まず仕事がない原因を見極めることが大切です。
そのうえで、集客手法の見直しや、業務の幅を広げる工夫をし、徐々に依頼件数を増やしていきましょう。
仕事がない状態でも、不安定な時期をどう乗り切るかが、将来的に行政書士として成功するかどうかのポイントとなります。
行政書士として安定的に仕事を得るための対策
安定して行政書士として仕事を得るには、受け身ではなく戦略的な取り組みが必要です。主な対策は次の3つです。
- 市場ニーズを意識した分野選びが重要
- SNSやホームページなどでの情報発信を強化する
- 他資格との組み合わせで業務領域を広げる
それぞれ詳しく解説します。
対策①市場ニーズを意識した分野選びが重要
行政書士として成功するには、自分の得意分野だけでなく、市場ニーズに合った業務を選ぶことも大切です。
例えば、外国人関連業務や相続・遺言といった分野は、今後需要の拡大が見込まれるため、専門性を高めることで依頼獲得につながりやすくなります。
また、地域によって求められる業務は異なるため、地域性を踏まえた戦略も効果的です。
民泊許可や農地転用など、地域特有のニーズを掘り起こすことでライバルの少ない市場を開拓できるでしょう。
対策②SNSやホームページなどでの情報発信を強化する
現代の集客には、SNSやホームページを活用した情報発信が欠かせません。
日々デジタル化が進んでいる昨今において、多くの行政書士がホームページなどで情報発信しているため、情報発信をしない行政書士は競争に負けてしまいます。
情報発信は営業活動の一環になるとともに、顧客に安心感を与えることができます。
行政書士としての業務内容や実績、専門分野を発信するほか、法律や手続きに不安を抱える一般の方に対して、具体的な事例やQ&A形式で情報を提供することで顧客獲得につなげることが可能です。
また、SEO対策を施したブログ記事を投稿すれば、検索エンジン経由での集客も見込めます。
対策③他資格との組み合わせで業務領域を広げる
他資格との組み合わせで業務領域を広げるのも、行政書士として仕事を獲得する対策のひとつです。
行政書士と他資格を組み合わせれば、単価アップやリピート受注につなげられ、事業を安定化させることが可能です。
たとえば、ファイナンシャルプランナーと組み合わせれば、相続や遺産整理といった財産管理系にも対応できるなど、より幅広いニーズに応えられるようになります。
そのほか、宅地建物取引士を取得すれば、不動産関連の書類作成や調査業務も手がけられるようになり、行政書士単体よりもトータル的なサポートを提案することが可能です。
自身でダブルライセンスを目指す以外にも、他士業と連携することで業務領域を広げられます。
行政書士だけで独立するのは現実的ではない？
行政書士として独立後、すぐに仕事が舞い込むとは限りません。
特に、未経験者の場合、行政書士だけでいきなり独立開業するのはリスクも伴います。
しかし、経験を積んで独立準備をしっかりしておけば、開業後に顧客を獲得するのは不可能ではありません。
まずは行政書士事務所や企業法務部門などで実務経験を積み、業務の流れや顧客対応のノウハウを習得しましょう。
また、開業には事務所設置費用や広告費、備品代などさまざまな初期投資がかかるため、準備不足のままの独立開業は避けることが大切です。
行政書士は初期費用が少ないので独立開業しやすい
行政書士は他の士業と比べて、比較的少ない初期費用で独立開業できる点が魅力です。
自宅を事務所として活用すれば賃料などを抑えられ、最低限のパソコンとプリンター、インターネット環境があれば業務は始められます。
開業手続きや登録にかかる費用も他士業より控えめなので、独立開業のハードルは低いです。
初期費用を抑え、浮いたお金を使って集客や営業にコストをかけることもできます。
ただし、初期費用が少ないからといって十分な準備をせずに開業するのには注意が必要です。
顧客を獲得できなければ収入にはつながらないため、集客計画や営業スキルの習得など、見えない部分への投資も大切です。
独立開業せずに働く選択肢もある
行政書士としてのキャリアを築くうえで、必ずしも独立開業が唯一の選択肢ではありません。就職の選択肢として主に次の2つがあります。
- 行政書士事務所に勤める
- 企業の法務部などに勤める
行政書士事務所のほか、企業法務部や不動産関連会社など、資格を活かせる民間企業に就職する道もあります。
独立前に就職して経験を積めば、行政書士としての専門性を高めるだけでなく、組織での立ち回りやチームワークのスキルも養えるのがメリットです。
将来的に独立を考えている場合でも、まずは勤務経験を通じて地盤を築くことも検討しましょう。
また、以下の記事では副業として行政書士の仕事をする方法について解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。
行政書士資格は転職に役立つ？
行政書士の資格は、転職市場でも一定の評価を受けています。
特に、企業の法務部や総務部、人事部門では、契約書の作成や各種申請業務に精通している人材として、高く評価されやすいです。
そのほか、コンサルティング業界や金融業界でも、行政手続きに関する知識や法的思考力を活かすことができます。
行政書士の資格は専門性を証明できるため、履歴書や面接でもアピール材料として活用できます。実務経験があれば、さらにスキルや専門性の高さを評価されやすいです。
キャリアチェンジやステップアップを狙う際にも有利な資格なので、行政書士の資格を取得して無駄になることはないでしょう。
行政書士試験に最短合格するなら通信講座がおすすめ
短期間の学習で行政書士試験の合格を目指すなら、通信講座の利用がおすすめです。
行政書士試験は最難関の資格というわけではありませんが、合格率は例年10%〜13%と、国家資格の中では難しいほうです。
独学で合格することも可能ですが、試験範囲が広いうえに、最新の法改正も把握して要点を押さえておかなければいけないため、独学だけでは学習に多くの時間がかかる可能性があります。
一方、通信講座なら試験合格を体系的にまとめたカリキュラムや教材が揃っており、効率よく学習することが可能です。
わからないところがあれば、講師に質問できる通信講座もあり、学習につまずきにくいのもメリットです。
講座受講に費用はかかるものの、費用以上のメリットが期待できるでしょう。
以下の記事では、通信講座のカリキュラムや料金について比較解説しているので、「どの講座を選べばいいのかわからない」という方は、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
「行政書士は仕事がない」と言われる背景には、登録者数の増加や業務の認知度の低さ、集客力不足などが挙げられます。
しかし、外国人関連や相続・遺言分野など、今後の成長が見込まれる仕事でもあります。
行政書士として成功するためには、市場ニーズを見極めた専門分野の選定、SNSやホームページを活用した情報発信、他資格との組み合わせによる差別化など、戦略的な取り組みが不可欠です。
独立開業だけでなく、勤務経験を通じてスキルを磨く道もあるので、資格取得が無駄になることはないでしょう。
これから行政書士を目指すという方は、通信講座を活用して最短合格を目指すのがおすすめです。