「行政書士って就職先がないって本当?」
「求人が少ないのはなぜ?」
「どこに就職できるのかが知りたい」
こうした疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
行政書士は独立開業が前提と思われがちですが、実際には企業の法務部門や士業事務所などへの就職も可能です。
しかし、資格だけでは即戦力と見なされにくく、行政書士資格が必須の求人は少ないため、「就職先がない」と言われることがあります。
だからこそ、行政書士として就職するためには、キャリア形成の戦略や実務経験の積み方が重要になります。
この記事では、行政書士としてキャリア形成を考えている人に向けて、「行政書士は就職先がない」と言われる理由や、実際の就職先について詳しく解説します。
行政書士資格を活かしてキャリアアップするためのポイントも紹介しますので、就職・転職を検討している方はぜひ最後までご覧ください。
行政書士は就職先がない?資格取得後も就活・転職の対策が必要
行政書士の資格を取得しても、希望する就職先が見つからないと感じる方は少なくありません。
実際、行政書士は「就職できない」「食えない」「将来性がない」と言われることもあります。
たしかに、行政書士の求人はそれほど多くありませんが、だからといって就職が無理というわけではありません。
「行政書士の資格を持っていれば誰でもOK」という求人はないので、資格を取得していても、一般的な転職活動と同様に就活対策・転職対策を行うことが重要です。
特に、業界未経験の方の場合、企業や事務所は経験を重視する傾向があるため、未経験からの就職を目指す場合は転職対策をしっかり行う必要があります。

行政書士資格があるのに就職先が見つからない理由
行政書士資格があるのに就職先が見つからない理由には、主に次の3つが考えられます。
- 資格だけでは即戦力と見なされにくい
- 行政書士の求人が極端に少ない
- 行政書士は独立開業向けの資格で雇用ニーズが少ない
それぞれ詳しく解説します。
理由①資格だけでは即戦力と見なされにくい
行政書士の資格は、法律に関する知識を有することを証明するものです。
しかし、実務経験がない場合、企業や事務所からは即戦力として見なされにくい傾向があります。
実務では、書類作成や官公署とのやり取り、顧客対応など、多岐にわたるスキルが求められます。
これらのスキルは、実際の業務を通じて習得する必要があり、資格取得だけでは不十分とされることも少なくありません。
そのため、アルバイトやボランティア活動などを通じて、まずは実務経験を積んで就職活動を有利に進めるのも選択肢のひとつです。
理由②行政書士の求人が極端に少ない
行政書士の求人は、他の士業と比較して少ない傾向があります。
求人が少ない理由として、行政書士事務所の多くは小規模であり、新規採用の頻度が低いことが考えられます。
さらに、行政書士の業務内容が一般に知られていないため、企業側がその必要性を認識しにくいことも求人が少ない理由のひとつです。

理由③行政書士は独立開業向けの資格で雇用ニーズが少ない
行政書士の資格は、独立開業を目指す人に適した資格とされています。
行政書士は法律上、他人の依頼を受けて書類を作成するなどの業務を行う独立業務型の士業とされています。
そのため、独立開業を前提に資格取得を目指す人が多いです。企業や事務所においても、行政書士を雇用するよりも、外部の行政書士に業務を委託するケースが多く見られます。
必要な時に必要な業務を委託する方が、コストや管理面でメリットがあるためです。
また、行政書士の資格を持つ人自身も独立開業を視野に入れていることが多いため、雇用されることを希望する人が少ないという側面もあります。
そのため、行政書士の資格は雇用ニーズが比較的低い資格とされており、就職活動においては、独立開業も視野に入れたキャリアプランを検討する必要があります。

行政書士のスキルを活かせる職場とは?
行政書士のスキルを活かせる職場には、主に以下があります。
- 士業系の事務所・法人(法務事務所、行政書士事務所など)
- 弁護士事務所
- 一般企業の法務部(建設業、運送業、不動産業)
- BPO企業・アウトソーシング企業
これらの職場では、行政書士の専門知識やスキルが業務効率化や法的リスクの軽減につながります。
それぞれ詳しく解説します。
①士業系の事務所・法人(法務事務所、行政書士事務所など)
行政書士の資格を活かせる就職先として、最も一般的なのが士業系の事務所や法人です。
具体的には、法務事務所や行政書士事務所などが挙げられます。
法務事務所では、相続、遺言、成年後見などの業務を扱うことが多く、行政書士の資格を持つ人は、これらの業務に関する書類作成や相談業務を担当することがあります。
行政書士事務所では、建設業許可や宅建業許可、飲食店営業許可など、各種許認可申請の代行業務を行うことが一般的で、行政書士としての実務経験を積むことが可能です。
士業系の事務所や法人では、即戦力を求める傾向があるものの、業界未経験の方でも立派な戦力として活躍できる可能性が高いです。
また、事務所によっては独立開業支援制度を設けている場合もあり、将来的に独立開業を目指す人にとっては貴重な経験を積むことができるでしょう。
②弁護士事務所
弁護士事務所も行政書士の就職先のひとつです。
弁護士事務所は法律に関する高度な専門知識が求められる職場で、行政書士は弁護士のサポート役として活躍できる可能性があります。
弁護士事務所では、訴訟に関する書類作成、証拠収集、法律調査などの業務が行われますが、これらの業務は行政書士の資格で培った法律知識や書類作成スキルを活かすことが可能です。
特に、中小規模の弁護士事務所では、事務職員の人員が限られていることが多く、行政書士の資格を持つ人が幅広い業務を担当できるかもしれません。
そのため、弁護士事務所で働ければ、訴訟に関する実務経験を積み、法律知識をさらに深めることができます。
ただし、弁護士事務所では、弁護士の指示のもとで業務を行う「パラリーガル」が基本です。
行政書士の資格よりも、事務能力や法律文書の作成スキル、経験が重視される傾向があるため注意が必要です。
③一般企業の法務部(建設業、運送業、不動産業)
一般企業の法務部に就職する選択肢もあります。
一般企業の法務部とは、企業の法的リスク管理やコンプライアンス体制の構築を担当する部署です。行政書士の資格を持つ人も法務部の一員として活躍できる可能性があります。
特に、建設業、運送業、不動産業界など、行政許認可が必要な業界では、各種許認可申請や法令遵守が不可欠なので、行政書士の資格を持つ人の需要が高い傾向にあります。
具体的には、建設業許可申請、運送業許可申請、宅建業免許申請などの代行業務や、契約書の作成・審査、法令改正への対応などが挙げられます。
ただし、一般企業においても行政書士の資格よりも、経験やスキルを重視されることが多く、資格はあくまでもひとつのアピールポイントに過ぎないので注意が必要です。


④BPO企業・アウトソーシング企業
BPO企業やアウトソーシング企業に就職するのも選択肢のひとつです。
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)企業やアウトソーシング企業は、他社が自社業務の一部を外部に委託する際に利用される企業です。
行政書士の資格を持つ人が活躍できる場も増えており、許認可申請や契約書作成といった定型的かつ法的な業務を受託する部門では、行政書士の法的知識や書類作成能力が重宝されます。
業務プロセスの標準化や効率化を求める企業にとって、行政書士のような法律系専門職の知識を活用することは、大きな付加価値につながります。
BPO企業やアウトソーシング企業であれば、行政書士としての専門性を維持しつつ、多様な業種のクライアント対応に関わることができるため、幅広い知識と経験が得られるのがメリットです。
一方で、業務がルーチンワークに偏る傾向があり、創造的な業務が少ない場合もあるため、自身のキャリアプランとの整合性を慎重に見極める必要があります。
行政書士の就職先の選び方
行政書士の資格を活かして働きたいと考える際、自分にとって適した就職先を選ぶことが、今後のキャリア形成において極めて重要です。
行政書士が就職先を選ぶときのポイントには以下があります。
- 専業にしていきたい分野の事務所を選ぶ
- 事務所の所長の人柄で選ぶ
それぞれ詳しく解説します。
選び方①専業にしていきたい分野の事務所を選ぶ
行政書士の業務分野は幅広く、建設業許可、入管業務、相続・遺言、会社設立支援など多岐にわたります。
行政書士事務所は特定の分野に特化していることが多いため、自分が将来的に専門家として深めていきたい分野があるなら、その分野に強い事務所を選ぶのが得策です。
特定分野に集中して経験を積むことで、専門性を高め、独立後の差別化や顧客獲得にも有利になります。
例えば、建設業界に興味がある場合は建設業許可申請に特化した事務所で働くと、法令や手続きに関する深い知識が得られます。
転職活動する際は、行政書士事務所のWebサイトや求人情報を調べ、対応している案件の種類や割合、過去の実績を確認しましょう。
選び方②事務所の所長の人柄で選ぶ
行政書士事務所の規模は比較的小さい場合が多く、所長の人柄や経営スタンスが職場環境に大きな影響を及ぼします。
そのため、就職先を選ぶ際は業務内容だけでなく、所長の性格や価値観、人材育成への姿勢も重視するべきポイントです。
例えば、指導的な姿勢がある所長であれば、実務を学ぶ機会が多く成長しやすい反面、管理が厳しい環境である可能性もあります。
就職活動中には、事務所の公式サイトや口コミ、インターンでの職場体験、面接時のやりとりなどから所長の考え方や雰囲気を読み取るようにしましょう。
人間関係が良好な職場であれば、精神的な負担も少なく、長期的なキャリア形成にとってもプラスに働きます。
また、所長の姿勢次第で独立支援や実務への関与度合いが変わるため、自分のスタイルに合うかを見極めることも大切です。
行政書士の求人の探し方
行政書士としてのキャリアをスタートするには、まず求人情報を効率的に探すことが重要です。求人の探し方には以下があります。
- 転職エージェント(または求人サイト)を利用する
- 事務所の公式サイトから直接応募する
- ハローワークを利用する
転職エージェントや求人サイトには、さまざまな求人情報が掲載されており、数は少ないものの、行政書士が募集されていることがあります。
行政書士事務所は個人経営が多いため、求人サイトに掲載する費用を抑えるため、雇用したいけど求人サイトには掲載していないということが多いです。
そのため、自宅近くや都市部の行政書士事務所を検索し、公式サイトから直接応募するという方法もあります。
また、求人サイトに掲載がなくても、特に地方の場合はハローワークで求人募集されていることがあります。
ただし、正社員求人は少なく、アルバイト求人なら見つかる程度です。
アルバイトなら正社員と比べて採用ハードルは高くないため、将来的に独立を考えている人は、アルバイトで実務経験を積んで独立するのも選択肢のひとつです。
行政書士の資格取得から就職するまでの流れ
行政書士の資格取得から就職するまでの流れは次のとおりです。
- 行政士試験に合格する
- 行政書士資格を登録する
- 求人を探す
- 書類選考・面接を受ける
- 内定・就職する
まずは行政書士試験に合格する必要があります。行政書士試験は難関試験のひとつなので、計画的な勉強が必要です。
試験合格後は、行政書士会連合会に資格登録することで、はじめて行政書士と名乗って働けるようになります。
また、行政書士会連合会に登録すると、連合会から開催されるセミナーや実務講習などに参加することで、人脈を広げることが可能です。そこから就職先が見つかるかもしれません。
登録が完了したら、求人サイトや転職エージェントなどを活用して求人を探しましょう。
就職したい求人が見つかったら応募し、書類選考と面接を受けて採用されれば実際に働けます。
ただし、応募書類はただ作るだけではなく、就職先に合わせて調整することが大切で、面接もスムーズに受け応えができるよう対策しておくことが重要です。

行政書士として就職・キャリアアップするためのポイント
行政書士として就職・キャリアアップするためのポイントには次の5つがあります。
- 将来独立するか雇用されるか決める
- 就職活動に向けて書類・面接対策をする
- ITスキルや語学力などのスキルと掛け合わせる
- ダブルライセンスを取得する
- 事務所や企業法務部に就職して実務経験を積む
行政書士として長期的なキャリアを築くためには、資格取得後も継続して学んだり、実務経験を積んだりして自分の価値を高めていく必要があります。
士業の世界では、資格を取得していることを前提とし、そのうえで「何ができるか」「どう貢献できるか」が重視されるためです。
ここからは、行政書士として就職活動を有利に進め、入職後も活躍し続けるための5つのポイントについて詳しく解説します。
①将来独立するか雇用されるか決める
行政書士のキャリアアップするために、まずは将来的に独立するか雇用されて働くか決めましょう。
独立開業して自ら業務を受任する道、事務所や企業に雇用されて働く道、いずれを目指すかによって、就職先の選び方や業務経験の積み方が大きく異なります。
独立を視野に入れるなら、幅広い案件に携われる環境や経営ノウハウを学べる事務所が適しています。
一方、安定した雇用や福利厚生を求めるなら、法務部門のある企業や、従業員が多い行政書士法人が候補のひとつです。
自分の将来像を明確にすることで、ブレのない就職活動が可能になります。
②就職活動に向けて書類・面接対策をする
就職活動に向けて書類・面接対策をすることも非常に重要です。
行政書士の求人は少なく競争率も比較的高いので、「資格を持っているから」という強みだけで就職するのは難しいです。
他の有資格者としっかりと差別化を図ると同時に、面接でもスムーズに受け答えができるよう、対策しておくことが重要です。
履歴書や職務経歴書といった応募書類は戦略的に作成する必要があり、自身の強みや行政書士資格を活かせるポイントを具体的に盛り込み、実務経験や関連スキルをアピールしましょう。
また、面接では、志望動機や将来のキャリアビジョンを明確に伝えることが重要なので、業務内容に対する理解度や行政書士としてどのように貢献できるかを説明できるようにしておきましょう。
③ITスキルや語学力などのスキルと掛け合わせる
ITスキルや語学力などのスキルと掛け合わせるのも、キャリア形成の戦略のひとつです。
近年では、行政書士業務にもIT化の波が押し寄せており、基本的なパソコン操作やクラウド管理、業務効率化ツールの活用が求められるようになっています。
また、外国人関連業務を取り扱うには、英語や中国語などの語学力が大きな武器となります。
これらのスキルを持っていれば、他の候補者との差別化が可能で、集客やクライアントの信頼獲得に有効です。
資格取得後のスキル強化を怠らず、業務範囲の拡大を意識した取り組みがキャリアアップを後押ししてくれます。
④ダブルライセンスを取得する
行政書士としてのキャリアアップを目指すうえで、ダブルライセンスを取得するという選択肢もあります。
行政書士資格に加えて、宅建士や社労士、ファイナンシャルプランナー(FP)などのダブルライセンスを取得することで、提供できるサービスの幅が大きく広がります。
特に相続や不動産、労務関連の分野は行政書士業務と相性が良く、複数の資格を持つことで顧客からの信頼を得やすいです。
また、企業側も資格の活用方法や業務との関連性を重視する傾向があるため、複数の資格を取得していると、実務との接点が増やせ、アピール材料になります。

⑤事務所や企業法務部に就職して実務経験を積む
実務経験は行政書士としての信頼性を高めるうえで欠かせません。
資格を取得したばかりの段階では、まずは事務所や企業法務部での実務を通じて、書類作成、顧客対応、法令調査などの実践的なスキルを身につけましょう。
実務経験を積むことで自信がつき、独立や転職といった次のステップに進みやすくなります。
特に、小規模事務所では多様な業務に携われる機会が多く、短期間でスキルアップできる可能性もあります。意識的に経験値を積み、自身の市場価値を高めていきましょう。
未経験から行政書士業界に入るのは無理?
行政書士業界は専門性の高い分野であるため、未経験での参入に不安を感じる方も多いかもしれません。
結論からいえば、未経験からでも行政書士として活躍することは可能です。
実際、行政書士試験には実務経験が不要であり、合格後にスキルや知識を積み重ねていくというのが一般的な流れです。
重要なのは、資格取得後にどれだけ積極的に行動し、実務経験や周辺スキルを身につけられるかにあります。
未経験者が最初に取り組むべきは、連合会などから開催される研修や講習会に参加したり、継続的に学習を続けたりすることです。
また、行政書士事務所や法律関連の職場でのアルバイト、インターンシップ、ボランティアなどを通じて、実務に触れることも非常に有効です。
最初から完璧なスキルを持っている必要はなく、むしろ「学び続ける姿勢」「自らチャンスをつかむ行動力」が、行政書士としてのキャリア形成につながります。
まずは行政書士の資格を取ろう!最短合格なら通信講座がおすすめ
行政書士として活躍するための第一歩は、国家資格である行政書士試験に合格することです。
行政書士試験は決して易しいものではなく、独学では挫折してしまう方も少なくありません。効率よく学習し、最短で合格を目指すなら通信講座の活用が非常に効果的です。
通信講座は自宅での学習が可能であり、自分のスケジュールや理解度に合わせて学びを進めることができるため、働きながらでも無理なく続けられます。
多くの通信講座では、行政書士試験に特化したカリキュラムが組まれており、法律初学者でも理解しやすいよう工夫されたテキストや動画講義が用意されています。
さらに、質問対応や添削指導、進捗管理のサポート体制が整っているため、ひとりで学ぶ不安を解消することが可能です。
以下の記事では、通信講座のカリキュラムや料金について比較解説しています。
「どの講座を選べばいいのかわからない」「安くてコスパのいい講座はどれ?」と迷っている方は、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ
行政書士の資格取得後、就職しようとしても就職先が見つからないことも少なくありません。
しかし、「行政書士は就職できない」という意味ではなく、資格を取っても「転職対策が必要」ということです。
資格取得だけで満足せず、実務経験の積み重ねやITスキル・語学力の習得、ダブルライセンスの取得など、自分自身の市場価値を高める努力が必要不可欠です。
就職活動では、自分のキャリアビジョンを明確にし、それに合った職場を見極めることが大切です。
これから行政書士への転職を考えているという方は、まずは通信講座を活用して試験合格を目指しましょう。

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