「行政書士試験に合格したけど、登録だけすることはできるの?」
「登録しないとどうなるの?」
「登録だけすることのリスクやメリットを知りたい!」
このような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
行政書士として業務を行うためには行政書士会への登録が必要ですが、中には開業せず「とりあえず登録だけしておきたい」と考える方もいます。
登録には一定の条件や費用が伴い、登録するだけでも費用やセミナー参加義務などが発生するため注意が必要です。
この記事では、行政書士資格の登録だけを行うことが可能なのかを解説し、登録条件や登録だけすることのリスク、さらに登録しない場合のメリット・デメリットについても詳しく紹介します。
これから行政書士資格の活用を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
また、以下の記事では行政書士の通信講座の料金やカリキュラムについて比較解説しています。
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行政書士資格を登録するとはどういうこと?
行政書士として業務を行うには、行政書士法に基づき、日本行政書士会連合会への登録が必要です。
試験合格後、各都道府県の行政書士会を通じて登録申請を行い、行政書士名簿に記載されることで、正式に行政書士として活動できるようになります。
登録後は官公署に提出する書類の作成や手続きの代理、相談業務など、法律で定められた独占業務を遂行することが可能です。
また、登録情報に変更があった場合は速やかに変更手続きを行う必要があるほか、登録を抹消する場合も所定の手続きを経て、行政書士としての登録を解消する必要があります。
そのため、登録は行政書士としての責任と義務を伴うものであり、その遵守が求められます。
行政書士登録に必要な条件と事前準備
行政書士として登録するためには、いくつかの条件と事前準備が必要です。
はじめに、行政書士試験に合格していることが前提となります。試験合格後の登録申請時には、次のような書類を提出します。
- 行政書士登録申請書
- 履歴書
- 誓約書
- 本籍地の記載された住民票の写し
- 事務所の所在地を証明する書類
- 身分証明書
- 顔写真
など
また、登録費用として登録手数料や入会金、登録免許税、会費などが発生し、合計で約20万円〜30万円程度の費用がかかる場合があります。
これらの費用や手続きは、各都道府県の行政書士会によって異なるため事前に確認しておくことが重要です。
さらに、多くの行政書士会では登録時に倫理や業務に関する研修の受講が実質的に義務付けられています。

行政書士に登録しない場合の法的な扱いとは?
行政書士試験に合格しても登録しないという選択肢もあります。
ただし、登録をしない限り、行政書士として業務を行うことはできません。
行政書士法では行政書士の業務は登録を受けた者のみが行うことができると定められています。
そのため、未登録の状態で行政書士業務を行った場合、行政書士法違反となり罰則が科せられる可能性があります。
登録せずに資格を保有する場合は、行政書士の名称を名乗ったり行政書士業務を行ったりすることは避けなければなりません。
とはいえ、登録しなくても行政書士の資格を持っていること自体は違法ではありません。
資格を活かして他の分野で活動したり、知識を習得したことの証明として履歴書に記載したりすることは可能です。
行政書士の資格を持ちながら登録だけするとはどういうこと?
行政書士試験に合格後、すぐに業務を開始する予定がない場合でも登録だけを行うという選択肢があります。
この場合、行政書士会に登録はするものの、実際には業務を行わないという形になります。
行政書士資格の登録だけ行って維持しておくことで、将来的に業務を開始する際にスムーズに移行することが可能です。
また、行政書士会からの情報提供や研修に参加することもできます。
ただし、登録している間は年会費やその他の費用が発生するため注意が必要です。
登録だけを行うかどうかは、将来のキャリアプランや経済状況などを考慮して慎重に判断しましょう。
登録のみで業務を行わないことは可能?
行政書士として登録しても、必ずしも業務を行わなければならないわけではありません。
行政書士法では、登録を受けた者が必ず業務を行わなければならないという規定はありません。

事務所設置要件や形だけの開業はできる?
行政書士として登録する際には、原則として業務を行うための事務所を設置する必要があります。
事務所の所在地は行政書士会に届け出る必要があり、通常は自宅を事務所として登録することも可能ですが、その場合でも業務を行うのにふさわしい環境でなければなりません。
例えば、他の居住者と共有するスペースや、業務に支障をきたすような場所は不適切と判断されることがあります。
さらに、行政書士会によっては事務所の設備や掲示物に関する規定が設けられており、それらに準拠する必要があります。
事務所の条件や必要な手続きは地域によって異なるため、事前に所属予定の行政書士会に確認することが重要です。
また、事務所の所在地を変更した場合にも速やかに届け出を行う義務があります。
形だけの開業を目指す場合でも、業務実態がなくても事務所設置は必要なので、法令および行政書士会のルールを遵守することが大切です。
行政書士会による指導や制約事項はある?
行政書士として登録した場合、必ず所属する都道府県の行政書士会の会員となり、その指導や規制を受けることになります。
行政書士会は会員が法律や倫理規定に違反しないよう監督する権限を持ち、不正行為や不適切な広告などがあれば懲戒処分の対象となる可能性があります。
業務に関する広告内容の制限や他の士業との協業ルール、業務遂行時の遵守事項などが定められています。
また、会員には定期的な研修や講習への参加が推奨・義務付けられる場合もあり、これによって知識や技能の維持・向上が図られます。
行政書士として信頼される存在となるためには、これらの規定を守り、公正かつ誠実な業務を行う姿勢が不可欠です。
行政書士の登録後に業務を開始しない場合のリスク
行政書士の登録後に業務を開始しない場合のリスクとして以下が考えられます。
- 行政書士会費や義務が発生する
- 会員資格停止や除名の可能性がある
それぞれ詳しく解説します。
①行政書士会費や義務が発生する
行政書士登録後は、所属する行政書士会に対して会費の納入義務が発生します。
会費額は地域や会によって異なり、月額数千円から数万円の範囲で設定されています。業務を行わず登録のみの状態でもこの会費の支払いは免除されません。
義務の不履行や会費の滞納が続くと、最悪の場合は会員資格の停止や除名処分となり、行政書士登録そのものが取り消されるリスクがあります。
登録を検討する際は、会費の金額や支払い方法、会員として求められる活動内容について事前に確認しておくことが大切です。
②会員資格停止や除名の可能性がある
登録後に業務を行わないからといって、会員資格の停止や除名されることはありません。
しかし、行政書士会では、会員が倫理規定や会則に違反した場合に会員資格の停止や除名を行うことができます。
具体的には、会費の長期滞納のほか、義務研修への不参加、業務における不正行為や顧客トラブルなどが処分の対象です。
会員資格が停止されると、その期間中は行政書士としての業務が一切行えなくなり、登録の除名が決定された場合は登録自体が無効となって行政書士の資格を失う結果となります。
トラブル回避のためには行政書士会の規則やガイドラインを遵守し、常に誠実かつ適正な業務を心掛けることが求められます。
開業予定がないけど登録だけしたい場合の適切な対応策とは?
行政書士試験に合格したものの、すぐに開業する予定がない場合には登録を保留するという選択肢があります。
登録を保留することで行政書士会費や会員義務の負担が生じず、経済的にも合理的です。将来的に開業を検討する際には、その時点で登録手続きを行えば問題ありません。
保留する際には行政書士会や登録予定の支部に相談し、必要な手続きや今後の流れを確認しておくと安心です。

行政書士に登録しない場合のメリットは?登録費用や年会費を負担しなくて済む
行政書士として登録しないメリットは主に以下があります。
- 費用の負担がない
- 研修参加の義務がない
- キャリアプランを自由に設計しやすい
行政書士として登録しない最大のメリットは、登録費用や年会費といった経済的な負担を回避できる点です。行政書士会への入会金や毎月の会費は決して安価ではありません。
特に、開業資金を抑えたい場合や他の仕事と兼業している場合は、これらの費用が大きな負担となることがあります。
登録をしないことで、これらの費用を他の投資や生活費に充てることができます。
また、登録を維持するための継続的な研修参加の義務もなくなります。時間の制約がある場合や研修内容に興味がない場合は、登録しないことがメリットとなるでしょう。
登録をしないことで、行政書士としての活動に縛られることなく、自由にキャリアプランを設計することができます。
資格を他の分野で活かしたり、スキルアップに専念したりすることも可能です。
行政書士に登録せず資格だけ保有するデメリット
行政書士に登録せず資格だけ保有するデメリットは主に次の2つです。
- 名乗りや業務遂行の制限に注意する
- 士業ネットワークや最新情報の取得が難しくなる
それぞれ詳しく解説します。
①名乗りや業務遂行の制限に注意する
行政書士の資格を持っていても、登録をしていなければ「行政書士」と名乗ることはできません。
当然、登録していない人は行政書士ではないため、行政書士法に定められた独占業務を行うことは禁止で、行政書士と誤解されるような行為も行ってはいけません。
例えば、名刺やWebサイトなどで「行政書士」と表示したり、行政書士業務を行うことは絶対に避けてください。
これらの制限に違反した場合、法律違反となり罰則が科せられる可能性があります。
そのため、行政書士試験に合格した実績があるからといって、登録しなければ行政書士として活動することはできないということを理解しておかなければなりません。
士業ネットワークや最新情報の取得が難しくなる
行政書士会は、行政書士同士の情報交換や連携を促進するためのネットワークを提供しています。
登録することで、これらのネットワークに参加し、他の士業との交流や連携を通じて業務の幅を広げることができます。
しかし、未登録の場合、これらのネットワークに参加することができず孤立してしまう可能性があります。
また、行政書士会は法律改正や実務に関する最新情報を会員に提供しており、これらの情報は今後行政書士として活動するうえでも重要なものです。
未登録の場合、これらの情報を入手する機会が限られ、業務の質を維持することが難しくなることがあるので注意しましょう。
行政書士登録にまつわるよくある3つの誤解
①合格証の取得後すぐに登録する必要はない
行政書士試験に合格した後、直ちに登録手続きを行う義務はありません。
行政書士試験の合格証には有効期限が設けられていないため、自身のライフプランや経済状況に応じて自由に登録時期を決めることができます。
ただし、行政書士として業務を開始するためには、必ず行政書士会を通じて日本行政書士会連合会に登録し、名簿に記載される必要があります。
将来的に行政書士業務を行う意思がある場合は、登録の準備を進めながら法律や実務の知識維持に努めておくことが望ましいでしょう。
②登録後にすぐ退会することはできる
行政書士として登録後であっても、任意のタイミングで退会することは可能です。
退会を希望する場合は所属する行政書士会に所定の退会届を提出し、登録抹消の手続きを行います。
ただし、退会時点までに発生した年会費の納付、および貸与物(会員証やバッジ等)の返却義務は残るため注意が必要です。
また、退会したからといって行政書士試験の合格実績自体が無効になるわけではありませんが、業務を行う権利は失われます。
将来的に再度行政書士として登録したい場合には、改めて行政書士会への登録申請が必要となります。
③ダブルライセンスは両方の団体に登録する必要がある
行政書士資格と他の士業資格(税理士、社会保険労務士など)を併せ持つ場合、各資格ごとに所定の登録を行わなければなりません。
例えば、税理士業務と行政書士の業務を兼業する場合には、それぞれの資格団体への入会や登録が求められます。
ただし、兼業自体は禁止されていないものの、業務の公正性や顧客への説明責任を重視する必要があります。
特に、利益相反となる行為や行政書士法・税理士法など各士業法に違反する行為は禁止です。
また、兼業により行政書士としての信用や職務遂行能力が損なわれる可能性がある場合には、行政書士会から指導や指摘を受けることがあります。
ダブルライセンスや兼業を検討する際は、所属する各士業団体に事前に確認し、遵守すべきガイドラインや注意点を把握すると安心です。

まとめ
行政書士試験に合格後、登録だけして業務を行わないという選択肢は可能です。
ただし、登録には試験合格後の申請書類提出や事務所設置、登録費用の支払いなどの準備が必要で、多くの費用や義務が伴うことを把握しておく必要があります。
また、試験合格後に登録を保留することで、費用負担を抑えつつ将来的な業務開始に備えることも可能です。
登録や開業に関する判断はご自身のキャリアプランや経済状況を踏まえて行いましょう。

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