「行政書士はやめとけって本当?」
「資格を取っても意味がないって聞くけど…」
「逆にどんな人に向いているのか知りたい!」
こうした疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
行政書士は、法律系の国家資格として人気が高い一方で、「やめとけ」といった否定的な意見も見られます。
その理由には、独立後の営業の難しさや収入面での不安定さなどさまざまですが、その一方で、行政書士は自分に合った働き方を実現しやすい資格でもあり、向いている人にとっては大きな武器となります。
この記事では、行政書士が「やめとけ」と言われる理由を踏まえつつ、資格のメリット・デメリット、おすすめできない人の特徴、そして成功のためのポイントを詳しく解説します。行政書士の資格取得を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
なぜ「行政書士はやめとけ」と言われるのか?理由と実情を解説
理由①試験難易度が高いから
行政書士試験は合格率が例年10%前後と低く、法律系資格の中でも難関とされています。民法や行政法をはじめ、憲法、商法、一般知識など幅広い科目を理解する必要があります。
知識量だけでなく、条文の解釈や事例への応用力も問われるため、単なる暗記では対応できません。合格には500時間〜800時間の学習が必要とされ、独学での突破は困難と言われるほどです。
しかし、頭が良くないと合格できないというわけではありません。実際、高卒や中卒の方でも合格している人も少なくなく、行政書士試験は受検資格がないことから、さまざまな経歴の方が活躍しています。
しっかりとした計画を立て、通信講座や予備校を活用するなど学習環境を整えることさえできれば合格は十分可能です。

理由②行政書士は数が多くて飽和状態だから
行政書士の数は年々増加傾向にあり、競争が激化しています。
実際、2025年4月の段階で行政書士の個人会員数は52,734人でとなっています。
参照:各都道府県の行政書士会所在地・会員数等|日本行政書士会連合会
特に、都市部を中心に多くの行政書士事務所がひしめき合っており、新規参入者が顧客を獲得するには工夫が必要です。
行政書士の業務範囲は広く、建設業許可申請、会社設立、遺言書作成、相続手続きなど多岐にわたりますが、これらの業務を他の行政書士も手がけているため、差別化を図る必要があります。
例えば、外国人向けのビザ申請に特化したり、ITに強い行政書士としてウェブサイト制作やSNS運用を支援したりするなど、ニッチな分野で強みを発揮することが有効です。
また、他の専門家との連携を強化し、顧客のニーズにワンストップで対応できる体制を構築することも重要です。

理由③就職や転職がしにくいから
行政書士の資格を取得しても、すぐに就職や転職に繋がるとは限りません。
行政書士事務所の求人数は限られており、経験者優遇の傾向が強いため、未経験者は経験者と比べると採用される難易度が高いです。
さらに、行政書士の資格は独立開業を前提としている場合が多く、企業内での需要はそれほど高くありません。
このことから、行政書士はやめとけと言われることがあります。
行政書士として就職や転職を目指す場合は、資格取得前から実務経験を積むことが重要です。行政書士事務所でのアルバイトやインターンシップに参加したり、関連するセミナーや研修を受講したりすることで、知識やスキルを向上させることができます。
また、他の資格と組み合わせることで、就職の可能性を広げることも可能です。
理由④稼げないから、年収が低いから
行政書士の収入は個人差が大きく、稼げない人も少なくありません。
特に、独立開業した場合は顧客の獲得状況や業務内容によって収入が大きく変動するうえ、開業当初は顧客が少なく、収入が安定しないことも珍しくありません。
さらに、行政書士の業務は単価が低いものもあり、数をこなさなければ十分な収入を得られない場合があります。
医師などとは違い、資格取得したからといって高収入が保証されないことから「行政書士はやめとけ」と言われることがあります。
しかし、収入に個人差があるのは行政書士だけではありません。行政書士以外にも、社労士や税理士などの士業は、独立開業する人が多いため、高収入を得られるかどうかは本人の努力次第です。
行政書士として独立し、収入を増やすためには、知識や経験に加えて集客を継続的に行うことが重要です。
Webサイトやブログを作成して情報を発信したり、SNSを活用して顧客とのコミュニケーションを図ったり、セミナーやイベントを開催したりするなど、さまざまな方法で顧客を獲得する必要があります。
理由⑤独占業務が少ないから
行政書士が法律上独占して行える業務は主に次の2つです。
- 官公署に提出する書類の作成
- 権利義務・事実証明に関する書類の作成
これらの業務の一部は他士業とも重なっており、司法書士、弁護士、税理士などが代替可能なケースもあります。そのため、行政書士は独占業務が少ないからやめとけと言われることがあります。
しかし、例えば司法書士は法務局や裁判所に提出する書類を作成するのに対し、行政書士はさまざまな機関に書類を作成する必要があるため、業務範囲が広いです。
行政書士だけが独占業務が少なく、資格として不利というわけではありません。

理由⑥AIに代替されやすく将来性がないから
行政書士の業務のうち、書類作成や定型的な手続きはAIによって自動化される可能性があります。
すでにビザ申請や会社設立手続きの一部は、オンラインで完結できるサービスが登場しています。今後はさらに、AIが法的文書の作成をサポートする時代が到来するでしょう。
しかし、行政書士は書類作成以外にも、顧客との信頼関係の構築やコンサルティング業務なども重要な仕事のひとつです。
また、近年は外国人の入管業務や民泊の規制など、法改正や新しい制度の導入で、社会の変化に伴ってあらゆるニーズも高まっており、行政書士が活躍する幅も広がっています。
このようにAIによって代替されにくい業務も多いため、行政書士は将来性がある資格と言えます。
理由⑦独立開業して成功する可能性が低いから
行政書士は独立開業して成功する可能性が低いと考え、やめとけと言われることもあります。
確かに、行政書士は独立開業しやすい資格ではありますが、それが必ずしも成功につながるわけではありません。実際には、独立開業したものの、顧客を獲得できずに開業後数年で廃業してしまうケースもあります。
しかし、どのような業種、どのような仕事においても独立開業して成功するとは限らないので、行政書士だけが独立開業のリスクが高いわけではありません。
独立前にしっかりと事業計画を立て、マーケティング戦略を構築すれば独立成功の確率を高めることができます。
行政書士として成功するポイントは?Webを活用して集客する
行政書士として独立し、成功するためには集客が欠かせません。
行政書士事務所が廃業に追い込まれる最大の理由は、集客の失敗とされています。
独立開業後は顧客がゼロからのスタートになるため、効果的な集客手段を持たなければ経営が成り立ちません。逆に言えば、集客さえしっかりできれば売上を大きく伸ばすことが可能です。
現代ではWebを活用した集客が主流であり、ホームページやブログ、SNSなどを通じて自身の専門性や実績を発信することが求められます。
例えば、SEO対策を施したコンテンツを発信し続けることで、検索からの流入を見込めるようになります。また、Google広告などのリスティング広告を使えば、早期に顧客獲得を狙うことも可能です。
行政書士になるメリット
メリット①時間と場所に縛られない自由な働き方ができる
行政書士の大きなメリットが、時間や場所に縛られずに働ける自由度の高さです。
独立開業すれば自宅を事務所にすることも可能で、通勤のストレスがなくなります。業務もオンライン化が進んでおり、顧客との打ち合わせや書類のやり取りは、メールやビデオ通話で完結するケースも増えています。
そのため、子育て中の方や介護を担っている方、地方在住の方でも、自分のペースで仕事を進めやすいことが特徴です。繁忙期と閑散期にメリハリをつけたスケジュール管理も行いやすいです。
このように、ライフスタイルに合わせて柔軟に働けることは、行政書士ならではの魅力と言えます。
ワークライフバランスを重視したい方にとって、行政書士は非常に適した職業となります。
メリット②困っている人をサポートするという社会貢献ができる
行政書士の業務は、依頼者の困りごとを解決することで社会に貢献できる仕事です。
たとえば、複雑な相続手続きに悩む方や外国人のビザ取得に困っている方、起業を目指す方など、多くの人が法律の知識不足や手続きの煩雑さに直面しています。
行政書士は、こうした人々に代わって書類作成や手続きを行い、スムーズな対応を支援する仕事です。
感謝の言葉を直接受け取る機会も多くてやりがいを実感しやすく、人生の節目に寄り添う専門家として活躍できるのが行政書士の大きな魅力です。
社会貢献を実感しながら働きたい方にとって、行政書士は適した選択肢と言えます。
行政書士になるデメリット
行政書士には魅力的な側面もありますが、一方で無視できないデメリットも存在します。
- 常に最新の法律情報を維持する必要がある
- 書類作成でミスが許されない
- 独立開業にはビジネススキルも求められる
行政書士は業務の性質上、常に最新の法律情報を維持する努力が求められます。法改正が頻繁に行われる分野では、勉強を怠ればすぐに業務に支障をきたすため自己研鑽が欠かせません。
また、顧客対応や書類作成においてミスが許されないため、常に高い緊張感と責任感が必要です。さらに、独立開業を選ぶ場合には、集客や経営管理など法律知識以外のビジネススキルも求められます。
こうした点をあらかじめ理解し、自分がそのプレッシャーに耐えられるかを見極めた上で進路を選びましょう。
行政書士をおすすめできない人
行政書士は誰にでも向いている職業ではありません。行政書士をおすすめできない人には以下があります。
- 資格取得で努力したくない人
- 行政書士になるだけで稼げると思っている人
行政書士の業務は、法令知識をベースにした丁寧な事務処理と、顧客とのコミュニケーションの両方が求められます。さらに、常に自己管理を徹底し、自律的に仕事を進めなければなりません。
そのため、受け身な姿勢の人や変化を嫌う人には不向きな職業です。
以下では、行政書士をおすすめできない人について詳しく解説します。
資格取得で努力したくない人
資格取得であまり努力したくない人、あまり頑張らずに資格を取りたい人には行政書士はおすすめできません。
行政書士試験は決して簡単に合格できるものではなく、合格率は10%前後と低いです。
また、民法や行政法を中心に膨大な範囲を学習する必要があり、単なる暗記だけではなく、法的な思考力や事例への応用力も問われるため短期間の詰め込みでは試験に通用しません。
特に、初学者は基礎から学ぶ必要があるため、長期間の継続的な努力が求められます。
さらに、合格後も業務を行う上では法改正のたびに情報をアップデートしなければならず、学び続ける姿勢が欠かせません。
そのため、資格取得や学習に対する意欲が乏しい方には、行政書士はおすすめできません。
行政書士になるだけで稼げると思っている人
行政書士になるだけで稼げると思っている人にも、行政書士の資格取得はおすすめできません。
行政書士の資格を取得しても実務経験が少なければ、高収入は期待できません。行政書士として高収入を稼ぐためには、資格取得後に専門性を高めたり顧客を獲得したりなどのさらなる努力が必要です。
実際には、行政書士として独立開業しても集客できなければ仕事は発生せず、収入もゼロに近くなる可能性があります。
行政書士は一種のサービス業であり、自ら営業し、顧客の信頼を得る努力を続けなければ安定収入にはつながりません。
Webサイトの運営やブログ、SNSでの情報発信、地域密着の営業活動など、多方面に渡るマーケティング活動が不可欠です。
行政書士の資格は試験合格がゴールではなく、そこからが本当のスタートです。
行政書士がおすすめな人
行政書士という職業は、一定の適性を持つ人にとっては非常にやりがいのある選択肢です。
- 行動力があり勉強熱心な人
- 仕事が丁寧で事務処理能力が高い人
- コミュニケーション能力が高い人
- 将来的に独立開業や高収入を目指したい人
それぞれおすすめな人について詳しく解説します。
行動力があり勉強熱心な人
行政書士として成功するには、受け身ではなく、自分から学び、動く姿勢が求められます。
法律は日々変化しており、新しい制度や判例に対応するためには、常に情報収集を怠らず、アップデートを続けなければなりません。集客や営業、専門分野の開拓など、資格取得後も自ら行動してチャンスをつかみに行く行動力も必要です。
また、行政書士として独立開業する場合は、新しいサービスを提供したり、ニーズを先取りした業務展開をするなど、積極的な取り組みが差別化にもつながります。
自分のペースで努力を積み重ねられる人、学ぶことを苦労に感じず、むしろ楽しめるような人は、行政書士として大きな成長を遂げる可能性があります。
仕事が丁寧で事務処理能力が高い人
行政書士の業務は書類の正確さが重要です。
たとえば、建設業の許可申請や在留資格の更新申請などでは、ミスや記載漏れがあると手続きが受理されないだけでなく、依頼者の不利益にもつながりかねません。
そのため、細かい点まで注意を払い、期限を守って丁寧に対応できる事務処理能力は非常に重要です。
また、行政書士は複数の案件を並行してこなすことも多いため、スケジュール管理力や集中力も問われます。
事務作業を着実にこなせる人、几帳面でミスが少ない人には行政書士がおすすめです。
コミュニケーション能力が高い人
行政書士は、単に書類を作成するだけの職業ではありません。
依頼者の悩みや不安を丁寧に聞き取り、その意図を正しくくみ取りながら、最適な手続きやアドバイスを提供するといったコミュニケーションが必要です。
相談者が法律や制度に詳しくない場合も多く、わかりやすい説明で安心感を与えることが行政書士の役割です。
また、顧客相手以外にも、税理士や司法書士など他士業との連携が必要な場面もあり、コミュニケーションを通した対外的な調整力も求められます。
そのため、人との信頼関係を築くのが得意な人や、話をしっかり聞く力・説明する力がある人は、行政書士が向いています。
将来的に独立開業や高収入を目指したい人
行政書士は比較的独立しやすい資格であり、開業コストも他の士業に比べて低めです。
自宅を事務所にしたり、オンラインを活用することで、初期投資を抑えてスタートすることも可能です。
また、自らの努力や工夫次第で収入を大きく伸ばせる可能性もあります。
例えば、建設業許可や入管業務、遺言・相続、風俗営業許可など、需要が高く単価も安定している分野に注力すれば、一定の収益を確保することも十分可能です。
さらに高収入を得るためには、ニッチ市場の開拓やブランディング、継続的なマーケティングが不可欠ですが、それに挑戦する意欲と戦略を持つ人にとっては、行政書士は非常に可能性のある職業と言えます。
行政書士の最短合格を目指すなら通信講座を利用しよう
行政書士試験は出題範囲が広く独学では時間がかかりがちです。そのため、最短合格を目指すなら、通信講座の活用がおすすめです。
通信講座では重要論点が整理されており、効率よく学習が進められます。さらに、過去問や模試、動画講義などが体系的に用意されており、独学では得られないサポートが充実しています。
特に、働きながら学ぶ人や家事・育児で忙しい人にとっては、スキマ時間に学べる柔軟性が通信講座の魅力です。短期間での合格を目指すなら、通信講座の利用を検討しましょう。
通信講座の料金やカリキュラム、キャンペーン情報について、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ
「行政書士はやめとけ」と言われる背景には、試験の難しさや就職の難しさ、AIによる代替リスクなどが指摘されています。
しかし、行政書士以外の職業でもAIによる代替リスクはありますし、資格試験の難易度が高いものも数多く存在します。そのため、行政書士だからといって、ほかの資格に特別劣っているというものではありません。
行政書士にはデメリットはあるものの、一方で自由な働き方や社会貢献性といった大きなメリットも存在します。
そのため、行政書士の資格取得を目指す際に重要なのは、自分自身の適性や人生設計と照らし合わせて、本当にこの職業を選ぶべきかを見極めることです。

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