法科大学院は何年で卒業?2年と3年コースの違い、最短で弁護士になるまでの流れを解説

法科大学院は何年で卒業?2年と3年コースの違い、最短で弁護士になるまでの流れを解説

「法科大学院って何年通うもの?」
「2年と3年のコースがあるって聞いたけど、どう違うの?」
「最短で弁護士になるにはどんなルートがあるの?」

そんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

法科大学院(ロースクール)には、法律の学習経験に応じて2年コースと3年コースが用意されており、自分の経歴・学歴に合わせて進学ルートを選ぶ必要があります。

さらに、法科大学院修了後の司法試験、司法修習といった流れを理解することで、弁護士になるまでに必要な期間を具体的にイメージできます。

この記事では、法科大学院を何年で卒業できるのかという基本から、2年・3年コースの違い、そして弁護士になるまでの最短ルートについてわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。

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目次

法科大学院は何年通う必要がある?修了までの期間

法科大学院を修了するまでの期間は、入学するコースによって異なります。

法科大学院には「既習者コース」と「未修者コース」の2種類があり、自身が卒業した学部に合わせて選択します。

ここからは、それぞれのコースの期間や違いについて詳しく解説します。

既習者コース(2年)|主に法学部出身の人

既習者コースは、主に法学部出身の人など、法律基本科目についてすでに学習経験がある人が対象のコースです。

法学部出身の人以外でも、法律科目をある程度履修し、法学に関する知識があると認められる人、または法科大学院の法律科目試験に合格した人も既習者コースの対象となります。

既習者コースの標準修業年限は2年間です。

入学試験では憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法といった法律科目の試験が課されるのが一般的であり、法学部で学んだ知識が直接問われます。

また、カリキュラムは法律の基礎知識があることを前提としており、より高度で実践的な内容から始まるのが特徴です。

司法試験の受験資格を安定的に取得し、着実に法曹を目指す法学部出身者にとっては一般的な選択肢です。

未修者コース(3年)|主に法学部以外の学部を卒業した人

未修者コースは、主に法学部以外の学部出身者など、法律を本格的に学んだ経験がない学生を対象としたコースです。

未修者コースの標準修業年限は3年間に設定されています。

最初の1年間は、法律の知識がゼロであることを前提に、憲法、民法、刑法などの基礎的な法律科目をじっくりと学ぶ期間に充てられます。

その後、2年間をかけて既習者コースの学生と同様に、より専門的で実践的な内容へと学習を進めていくカリキュラムです。

多様な専門分野のバックグラウンドを持つ学生が集まるため、多角的な視点や異なる価値観に触れられる点が大きな魅力です。

法学の知識はないものの、社会経験や他分野の専門知識を活かして法曹界で活躍したいと考える人にとって、最適な選択肢といえるでしょう。

夜間コースとは?3〜5年で課程が修了する

全国にある法科大学院の中には、夜間コースを設けている学校もあります。

夜間コースとは、日中に仕事を持つ社会人や家庭の事情などで、昼間の通学が難しい人を対象に設置されている法科大学院の課程です。

多くの場合は平日夜間や土曜日に講義が開講され、働きながら法曹を目指すことが可能です。

標準修業年限は昼間コースよりも長く設定されており、通常は3〜4年ですが、福岡大学法学大学院の夜間コースのみ5年コースがあります。

カリキュラムの内容自体は昼間コースと変わりませんが、限られた時間で効率的に学べるよう工夫されています。

ただし、夜間コースを設置している法科大学院は限られているため、希望する場合は事前に各大学院の情報を十分に確認する必要があります。

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法科大学院の受験資格とは?原則として大卒資格

法科大学院に入学するための受験資格は、通常、4年制大学を卒業して「学士」の学位を取得していること(または卒業見込みであること)です。

出身学部は問われないため、法学部はもちろん、経済学部や文学部、理工学部など、あらゆる学部の卒業生が受験できます。

実際、多様なバックグラウンドを持つ人材が法曹界に入ることを促す目的から、法学部以外の出身者でも通える未修者コースが設けられています。

また、大学を卒業していない人でも、法科大学院によっては個別の入学審査によって大卒と同等以上の学力が認められれば、法科大学院に受験することも可能です。

ただし、基本的には大卒の資格がある人が通うことになるため、大卒の資格がない人は、予備試験ルートを選ぶのが一般的です。

法曹コースとは?大学4年生のときに法科大学院に入学できる

法曹コースとは、法学部と法科大学院が連携し、法曹を目指す学生に対し、大学の学部から法科大学院教育をスムーズに行えるよう設計された教育課程です。

法曹コースを選択した学生は、大学を3年間で早期卒業し、翌4年目から法科大学院の既習者コースに進学することが可能です。

従来であれば、大学4年+法科大学院2年の合計6年かかっていたところを、大学3年+法科大学院2年の合計5年に短縮できることが最大のメリットです。

法曹になるまでの時間と経済的負担を軽減できるため、早期に法曹として活躍したい学生にとって魅力的な制度です。

なお、法曹コースを設置している大学の法学部に入学した学生が対象となります。

大学入学から法科大学院ルートで弁護士になる流れ

大学に入学してから法科大学院ルートで弁護士になるまでの流れは次のとおりです。

  • 大学に入学して3〜4年で卒業する
  • 法科大学院に入学して2〜3年の課程を修了する
  • 司法試験に合格する
  • 1年間の司法修習を修了する
  • 弁護士になる

まずは大学に入学し、通常4年間で卒業します。法曹コースを利用する場合は3年で早期卒業が可能です。

大学卒業後は法科大学院に入学し、既習者コースであれば2年、未修者コースであれば3年の課程を修了して司法試験の受験資格を得ます。

司法試験の受験資格を得た後、司法試験に合格を目指します。

司法試験は5年間で5回までの回数制限があり、法科大学院ルートの場合、条件を満たせば在学中に司法試験に受験することも可能です。

司法試験に合格した後は司法修習の期間があり、修習期間は裁判所・検察庁・弁護士事務所で実務を学びます。

1年間の司法修習を終えたら、最後に「二回試験」とよばれる試験に合格することで、ようやく法曹資格を得られます。

法曹資格を得たら、弁護士会に登録することで、晴れて弁護士として活動を開始することが可能です。

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法科大学院ルートと予備試験ルートの違い

司法試験の受験資格を得る方法は次の2つです。

  • 法科大学院ルート
  • 予備試験ルート

法科大学院の課程を修了する以外にも、司法試験予備試験(以下、「予備試験」)に合格すれば司法試験の受験資格を得ることが可能です。

どちらのルートを選ぶかによって、学習環境や必要な期間、費用が異なるため、それぞれの特徴を理解し、自分の状況に合った選択をすることが大切です。

法科大学院ルート|安定的に司法試験を目指せる

法科大学院ルートを選択する最大のメリットは、質の高い教育を安定した環境で受けられることです。

経験豊富な教員による体系的なカリキュラムが組まれており、法律の基礎から応用まで段階的に学ぶことができます。

予備試験は合格率が3〜4%と非常に難関ですが、安定して司法試験の受験資格を得ることが可能です。

また、同じ目標を持つ仲間と日常的に議論を交わしたり、情報交換をしたりすることで、学習意欲を維持しやすい環境が整っているのも魅力です。

自習室や図書館といった学習施設が充実しているほか、進路相談や学習サポートなど、大学からの支援も受けられます。

ただし、予備試験ルートと比較して、修了までに時間と数百万円単位の学費がかかるのがデメリットです。

そのため、ある程度時間や費用に余裕があり、着実に知識を積み重ねたいという人には法科大学院ルートが適しています。

予備試験ルート|短期間で弁護士を目指せる

予備試験ルートの最大の魅力は、弁護士になるまでの時間と費用を抑えやすいことです。

例えば、大学在学中に予備試験に合格し、翌年の司法試験にも合格すれば、法科大学院ルートよりも早く法曹としてのキャリアをスタートさせることが可能です。

予備校を活用すると数十万円〜100万円ほどかかるものの、法科大学院にかかる数百万円の費用負担ほど大きなものではありません。

しかし、予備試験の合格率は毎年3〜4%程度と難易度が非常に高く、「予備試験は無理ゲー」などと言われることもあります。

学習範囲が広いため、モチベーションを維持しながら膨大な知識を数年かけて習得するのは簡単ではありません。

そのため、時間や費用を抑えたい人、大学在学中や社会人として働きながら、司法試験合格を目指している人には予備試験ルートが適しています。

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弁護士になるには合計で何年かかる?

大学入学をスタート地点として弁護士になるまでの合計年数は、選択するルートによって異なり、目安は以下のとおりです。

  • 法科大学院ルート:最短6年
  • 予備試験ルート:最短5年

それぞれのルートについて詳しく解説します。

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法科大学院ルート|大学入学から最短6年

法科大学院ルートを利用して弁護士になるまでの最短期間は、大学入学から合計で6年です。

具体的な流れは次のとおりです。

  • 大学の法学部:3年間
  • 法科大学院:2年間
  • 司法修習:1年間

※大学で法曹コースを選択している場合

大学の「法曹コース」を利用した場合、3年間で大学を早期卒業でき、その後2年間コースの法科大学院に進むことができます。

要件を満たせば、法科大学院の在学中に司法試験を受験することができ、在学中に合格すれば、法科大学院の修了後すぐに司法修習を開始できます。この時点で、大学入学から5年です。

その後、1年間の司法修習を経て、最後の「二回試験」を突破すれば法曹資格を取得することができます。

法曹資格を取得した後、弁護士会に登録すれば大学入学から6年(7年目)で弁護士になれる計算です。

法曹コースを利用しない場合、大学を4年間通う必要があるため、最短で7年かかる計算になります。

また、法学部以外の出身者など、法科大学院の未修者コース(3年)に通う人は、さらに1年の期間が必要です。

いずれのケースもでも留年や休学をせず、司法試験に一発で合格することが前提の計算となります。

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予備試験ルート|大学在学中に合格すれば最短5年

予備試験ルートを活用した場合、大学入学から弁護士になるまでの最短期間は合計で5年です。

具体的な流れは次のとおりです。

  • 大学在学中に予備試験と司法試験に合格:4年間
  • 司法修習:1年間

大学在学中に予備試験に合格し、大学4年次に司法試験を受験して合格することを前提としています。

大学を4年間で卒業し、卒業後すぐに1年間の司法修習を終えれば、最短5年で弁護士になることができます。

大学卒業と司法修習開始の間に空白期間が生じないため、非常に効率的にキャリアを形成できるのが特徴です。

ただし、在学中に予備試験という超難関試験を突破する必要があり、誰もが実現できるとは限りません。

極めて高いハードルを越える必要があるものの、継続的に集中した学習が可能で、できる限り短期的に弁護士になりたい方にはおすすめのルートです。

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何歳で弁護士になれる?早ければ23〜25歳でなれる

弁護士には、早ければ5〜7年でなることができます。

最も早く弁護士になれるケースを考えると、18歳で大学に入学した場合、23〜25歳で実現可能です。

例えば、予備試験ルートで、大学在学中に予備試験に合格した場合、最短で23歳で弁護士登録ができます。

法科大学院ルートの場合、法曹コースを利用してストレートに進むと最短で24歳、通常のルートなら25歳で弁護士になれます。

もちろん、これは留年や浪人をせず、司法試験に一発で合格した場合の計算であり、平均年齢はもう少し高くなる点に注意が必要です。

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法科大学院の入試対策には予備校を利用する

法科大学院の入学試験は、大学院ごとに試験科目や出題傾向が大きく異なるため、合格を勝ち取るには志望校に合わせた専門的な対策が必要です。

特に、既習者コースで課される法律科目の論文試験は、単に知識を暗記するだけでは対応できず、法的な思考力に基づき論理を展開する高度な答案作成能力が求められます。

独学で対策することも可能ではありますが、多くの受験生は予備校を活用しています。

予備校を利用する最大のメリットは、合格に直結する学習を効率的に進められる点です。

入試を徹底分析して作られたカリキュラムと教材により、膨大な学習範囲の中から重要な論点に絞って学ぶことができます。

また、独学では困難な答案の客観的な添削指導を受けられることも可能で、プロの講師から自分の弱点や改善点を具体的に指摘してもらうことで、得点力を着実に向上させられます。

小論文や志望理由書の作成、面接対策といった包括的なサポートも受けられるため、合格の可能性を高めるために予備校を利用するのはおすすめです。

以下の記事では、予備校の料金やカリキュラムについて比較解説しているので、「どこの予備校がいいの?」と気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

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まとめ

法科大学院に何年通うかは、選択するコースによって決まります。

法律の基礎知識がある人向けの既習者コースは2年、法律初学者向けの未修者コースは3年が標準的な修業年限です。

大学の法学部で法曹コースを利用し、法科大学院の既習者コースのルートであれば最短6年、年齢で言えば24歳で弁護士になることが可能です。

また、司法試験の受験資格を得るには、法科大学院を修了するルートのほか、超難関の予備試験に合格するルートもあります。

それぞれのルートにはメリットとデメリットがあるため、自身の学歴、かけられる時間や費用などを総合的に考慮し、最適な道筋を選択することが法曹への第一歩となります。

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