法科大学院はやめとけ?行くな?メリット・デメリットや学費を抑える方法解説

法科大学院はやめとけ?行くな?メリット・デメリットや学費を抑える方法解説

「法科大学院って本当に行く意味あるの?」
「学費が高すぎるって聞いたけど…」
「行って後悔しないか不安…」

そんな不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

法科大学院(ロースクール)には、司法試験合格を目指せるというメリットがあります。

しかし、その一方で、学費や通学期間の負担があるほか、法科大学院を修了しても司法試験の合格率は高くないという問題があります。

法科大学院に進学するか迷っている方であれば、進学する意味があるのかどうかを正しく理解したうえで判断することが大切です。

本記事では「法科大学院はやめとけ」と言われる理由や通うメリット・デメリットを整理しつつ、学費を抑える方法や進学の判断ポイントもわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。

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目次

法科大学院はやめとけ、行くなと言われる理由は?主なデメリットは3つ

法科大学院に対して、「行くな」「やめとけ」という否定的な意見が聞かれる理由には、主に次のデメリットがあるためです。

  • 法科大学院ルートの司法試験の合格率が低いから
  • 修了までに学費と時間が多くかかるから
  • 弁護士になっても将来安泰とは限らないから

それぞれ詳しく解説します。

理由①法科大学院ルートの司法試験の合格率が低いから

法科大学院は「やめとけ」「行くな」と言われる大きな理由が、法科大学院ルートの司法試験合格率が低いことです。

以下は、法科大学院ルートと予備試験ルートで、過去の司法試験の合格率を比較した表です。

予備試験ルート法科大学院ルート
令和6年度約92.8%約34.8%
令和5年度約92.6%約40.6%
令和4年度約97.5%約37.6%
令和3年度約93.5%約34.6%
令和2年度約89.4%約32.7%

参照:司法試験の結果について – 令和6年司法試験法科大学院等別合格者数等|法務省

近年の司法試験の合格率は全体で約45%で推移していますが、法科大学院修了生の合格率はこれを下回る傾向にあります。

予備試験の合格者は、司法試験の合格率が約90%なのに対し、法科大学院ルートの合格率は例年40%以下です。

さらに、どこの法科大学院を修了するかによっても合格率は変わり、特に下位の法科大学院では20%を切ることも珍しくありません。

多くの時間と費用を投じても、必ずしも合格に結びつかない現実が、法科大学院を敬遠する一因となっています。

理由②修了までに学費と時間が多くかかるから

法科大学院を修了するには、多額の学費と長い時間が必要です。

国立大学院でも2年間で約180万円〜200万円、私立大学院では250万円〜300万円以上の学費がかかるのが一般的です。

さらに、教材費や生活費、場合によっては予備校の費用も考慮に入れると、経済的な負担は相当なものになります。

学習期間も長く、既修者コースなら2年間、未修者コースなら3年間の課程を修了する必要があります。

経済的な基盤が不安定な人や、できる限り社会で活躍したいと考える人にとって、この時間的・金銭的コストは非常に大きなデメリットとなるでしょう。

奨学金制度もありますが、もちろん将来の返済負担も考慮に入れる必要があります。

理由③弁護士になっても将来安泰とは限らないから

かつて弁護士は高収入で安定した職業というイメージがありました。

しかし、近年は法曹人口の増加や経済状況の変化により、弁護士は高収入で安定した職業というイメージは変わりつつあります。

弁護士資格を取得しても、必ずしも高収入や安定した職が得られるわけではありません。

特に、新人弁護士の場合、就職難や厳しい競争に直面することも少なくありません。

都市部では弁護士が飽和状態にあり、地方では需要があっても経営が難しいケースも見られます。

専門性を高めたり、営業努力をしたりするなど、個々の弁護士の力量がより問われる時代になっています。

どのような職業においても高収入で安定することは難しいものの、多くの時間と費用をかけて弁護士になる場合は、将来性も加味したうえで判断することが必要です。

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法科大学院に行くメリットはあるの?

法科大学院は「やめとけ」という声がある一方で、法科大学院進学には以下のような確かなメリットも存在します。

  • 卒業・卒業見込で司法試験の受験資格を得られる
  • 法律知識を活かしたキャリアの選択肢が広がる
  • 勉強仲間がいてモチベーションを維持しやすい

それぞれ詳しく解説します。

①卒業・卒業見込で司法試験の受験資格を得られる

法科大学院を修了(あるいは1年以内に修了見込み)すると、司法試験の受験資格を得られることは大きなメリットです。

特に、大学卒業後に法曹を目指す人、法学部以外の出身者にとっては、予備試験を経ずに受験資格を得るための主要なルートとなります。

予備試験は合格率が極めて低く難関であるため、法科大学院で集中的に学び、着実に受験資格を得たいと考える人には適しています。

また、法科大学院のカリキュラムは司法試験を意識して組まれており、試験対策という面でも一定の合理性があります。

確実に受験資格を確保し、計画的に司法試験合格を目指したい人にとって、法科大学院ルートは選択肢のひとつと言えるでしょう。

②法律知識を活かしたキャリアの選択肢が広がる

法科大学院の卒業後は、弁護士、検察官、裁判官といった法曹三者に限らず、多様なキャリアパスで活かすことができます。

例えば、法律の知識を活かした仕事には以下があります。

  • 企業の法務部、コンプライアンス部門
  • 官公庁の専門職員
  • 国際機関
  • ジャーナリスト
  • 研究職
    など

法科大学院での学びを通じて、社会の様々な問題に対する法的視点を養うことは、どのような分野に進むにしても強みになるでしょう。

仮に法曹資格取得が叶わなかったとしても、そこで培った能力が無駄になることはありません。

むしろ、法的な素養を持つ人材への需要は高まっており、キャリアの選択肢を広げる上で有利に働く可能性があります。

③勉強仲間がいてモチベーションを維持しやすい

法科大学院には、法曹という高い目標を掲げて集まった多くの学生がいます。

司法試験合格という共通の目的に向かって切磋琢磨する仲間がいる環境は、孤独になりがちな受験勉強において大きな支えとなります。

例えば、授業内外でのディスカッションや自主ゼミを通じて、互いの知識を深め合い、疑問点を解消し合うことが可能です。

一人では挫折してしまいそうな困難な道のりも、仲間と一緒なら乗り越えられる可能性が高まるでしょう。

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法科大学院の学費を抑える方法はある?国立・公立・私立・夜間別の学費目安

法科大学院の学費は、国立・公立・私立、夜間コースで学費が大きく異なります。学費の目安は次のとおりです。

既習コース未修コース
国立約190万円約270万円
公立約160万円約230万円
私立約293万円
※早稲田大学の法科大学院の場合
約440万円
※早稲田大学の法科大学院の場合
夜間コース約190万円
※筑波大学の法科大学院の場合
約270万円
※筑波大学の法科大学院の場合

国立や公立は、概ね費用感は同程度ですが、私立は学校によって学費が異なるため注意が必要です。

夜間コースを設けている学校は少ないですが、夜間コースにおいても国公立と私立のどちらを選ぶかによって、費用負担が大きく変わります。

そのため、法科大学院に通う費用を抑えるためには、学費が安い国公立を選ぶことがポイントです。

また、各学校によって入学金や授業料免除の制度を設けていることが多いため、それらの経済的支援制度を利用することも大切です。

そのほか、日本学生支援機構の奨学金や教育ローンなどを活用して、在学中の学費を借りるのも選択肢の一つとなります。

法科大学院ルートが向いている人の特徴

法科大学院ルートは費用や時間がかかるものの、以下に当てはまる人にはおすすめの選択肢です。

  • 一人で学習するのが苦手な人
  • 学習計画と経済面の準備ができている人
  • 長期的な視点で法曹を目指す意志がある人
  • 法曹以外の進路も視野に入れている人

一人で黙々と学習を進めるのが苦手で、仲間と切磋琢磨したり、教員から直接指導を受けたりする環境を好む人には、法科大学院の学習スタイルが合うでしょう。

また、法科大学院の学費や数年間の学習期間を見据え、しっかりとした学習計画と経済的な準備ができている人も、安心して学業に専念できます。

さらに、司法試験合格までには時間がかかることを理解し、長期的な視点で法曹を目指す強い意志を持っていることも重要です。

途中で困難に直面しても、諦めずに努力を継続できる精神力が求められます。

そのほか、法曹資格取得だけでなく、そこで得た知識やスキルを活かして、法曹以外の進路も視野に入れている人にも法科大学院はおすすめの選択肢です。

法科大学院ルートはやめたほうがいい人の特徴

以下に当てはまる人は、法科大学院ルートではなく、予備試験ルートをおすすめします。

  • 自主学習に自信がある人
  • 学費や生活費に不安がある人
  • 明確なキャリアプランがない人

自主的に学習計画を立て、それを遂行できる自信がある人は、必ずしも法科大学院の集団教育に頼る必要はないかもしれません。

予備試験ルートの方が時間的・経済的コストを抑えられる可能性があります。

また、多額の学費や長期間の学習に伴う生活費に不安を抱えている人も、慎重な検討が必要です。

経済的な基盤が不安定なまま進学すると、学業に専念できず、結果的に目標達成が遠のく恐れがあります。

さらに、法科大学院は専門性が高く、厳しい努力が求められるため、法曹界で何を成し遂げたいのか具体的なキャリアプランが明確でない人は、途中で挫折するリスクがあるため注意が必要です。

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法科大学院を修了すれば将来性は高い!法科大学院ルートを選ぶときのポイント

法科大学院は多くの費用や期間がかかるものの、将来性が高い選択肢です。

司法試験の受験資格を得られるので、法曹資格を取得するのに近づけるうえ、仮に法曹資格を取得しなくても、就職活動では法科大学院卒の経歴が強みになります。

ただし、法科大学院に進学する場合は、次のポイントをおさえておくことが大切です。

  • 司法試験の合格率が高い法科大学院を選ぶ
  • 入学前に事前学習しておく

それぞれ詳しく解説します。

ポイント①司法試験の合格率が高い法科大学院を選ぶ

法科大学院を選ぶ上で最も重要な基準の一つが、司法試験の合格率です。

各法科大学院の合格率には大きな差があり、上位校と下位校では雲泥の差があります。令和6年(2024年時)の法科大学院別の司法試験合格率は次のとおりです。

順位大学名受験者数合格者数合格率
1位慶應義塾大学246名146名59.35%
2位京都大学217名107名49.31%
3位一橋大学123名60名48.78%
4位東京大学255名121名47.45%
5位中央大学181名83名45.86%
6位早稲田大学330名139名42.12%
7位大阪大学177名72名40.68%
8位神戸大学136名51名37.50%
9位同志社大学111名41名36.94%
10位九州大学107名37名34.58%

参照:令和6年司法試験法科大学院等別合格者数等|法務省

合格率が20%を下回る学校も少なくなく、どこの法科大学院を選ぶかによって法曹資格の取得しやすさは異なると言っても過言ではありません。

特に、法曹資格の取得を最終目標としている場合は、上位の法科大学院に入ることが非常に重要です。

また、単年度だけでなく、複数年の推移を見ることで、その大学院の教育水準やサポート体制の安定性を判断する材料になります。

ポイント②入学前に事前学習しておく

法科大学院入学前に、法律の基礎知識を可能な限り習得しておくことは非常に重要です。

特に、司法試験の高い上位校は、予備試験の合格を目指して学習してきた人も多いため、事前学習していないと周りについていけない可能性があります。

また、未修者コースに進学する場合、入学後の授業スピードが速いと感じやすいです。

法科大学院の授業についていくのが精一杯で、司法試験の学習に集中できなければ、挫折してしまう可能性もゼロではありません。

憲法、民法、刑法といった基本七法については、入門書を読んだり、予備校の基礎講座を利用したりして、体系的な理解を深めておくのがおすすめです。

既修者コースに進む場合でも、ブランクがある人や基礎に不安がある人は、復習を徹底しておくことが望ましいです。

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法科大学院の最難関はどこ?

法科大学院の最難関とされるのは、東京大学、京都大学、一橋大学といった国立大学のトップ校です。

そのほか、私立大学では慶應義塾大学、早稲田大学、中央大学が難関校として挙げられます。

これらの大学院は、司法試験の合格者数が多く、司法試験の合格率も高い傾向にあります。

ただし、入試倍率も高く、入学するためには学部時代の優秀な成績(GPA)、質の高い志望理由書、そして難易度の高い入学試験(法律科目の論文試験や面接など)を突破しなければなりません。

難関校に入学できれば、教育の質の高さに加え、優秀な学生が集まることによる相乗効果や、卒業生のネットワークの強さも魅力です。

ただし、「最難関」の定義は合格率、入試難易度、ブランド力など複数の要素が絡みます。

そのため、自身の学習スタイルや目指す法曹像に合った大学院を選ぶことも忘れてはいけません。

法科大学院を卒業した人の年収はいくら?

法科大学院を卒業し、司法試験に合格して法曹となった人の年収は、勤務形態や経験年数、専門分野によって大きく異なります。

新人弁護士の場合、法律事務所の規模や都市部か地方かによって差があり、一般的に初年度は350万円〜450万円程度が目安とされますが、これより低いケースも少なくありません。

いわゆる「ボス弁」として独立開業し成功すれば年収数千万円以上も可能ですが、近年は競争激化により、事務所経営が厳しい場合もあります。

また、企業内弁護士(インハウスローヤー)の年収は、その企業の給与体系に準じますが、専門性に応じて比較的高めに設定されることもあります。

そのほか、検察官や裁判官は公務員であるため、俸給表に基づいて給与が支払われ、安定した収入が見込めます。

法科大学院に行く人も行かない人も予備試験の受験がおすすめ

法科大学院ルートを選べば、予備試験に合格しなくても司法試験の受験資格を得られます。

しかし、法科大学院ルートを選ぶ人も、予備試験を受験することをおすすめします。

なぜなら、予備試験対策の学習は、法科大学院の授業内容の理解を深めるだけでなく、最終目標である司法試験の対策にも直結するためです。

予備試験の試験科目は、憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法といった法律基本科目に加え、法律実務基礎科目、一般教養科目と多岐にわたります。

これらの科目の多くは法科大学院での学習内容や司法試験の出題範囲と重複しているため、そのまま法科大学院での成績向上や司法試験合格につながります。

特に、論文式試験対策で養われる法的思考力や文章構成能力は、法科大学院の授業や起案、司法試験の本番で極めて重要です。

法科大学院に通いながら予備試験に合格することは、非常に難しいですが、志が高く、十分な学習時間を確保できる人であれば、挑戦することをおすすめします。

予備試験の合格を目指すなら、予備校を活用して効率のいい試験対策を行いましょう。

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まとめ

法科大学院には、司法試験の受験資格を得られる、学習環境が整っているなどのメリットがあります。

しかし、学費や時間の負担が大きく、将来の進路も絶対安泰とは言えないため、「やめとけ」「行くな」と言われることがあります。

特に、自主学習が得意な方や経済的に不安がある方は、予備試験ルートを選択するのが合理的です。

とはいえ、法科大学院は、長期的な計画と強い意志をもって法曹を目指す人にとって、有意義な学びの場となる可能性があります。

また、法曹を目指すすべての方にとって、予備試験の受験は大きな武器になります。進路に迷っている方は、まず予備試験対策から始めてみましょう。

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