「社労士試験の救済って何?」
「足切り制度とどう関係しているの?」
「過去にどんな救済措置があったのか知りたい」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
社労士試験には特定の科目で一定の得点に満たない場合、不合格となる合格基準点(足切り制度)があります。
しかし、試験の難易度や受験者の得点状況によっては、合格基準点が調整される救済措置が適用されることがあります。これらの制度を正しく理解することで、試験対策をより戦略的に進めることが可能です。
この記事では、社労士試験における救済とは何か、足切り制度との関係、そして過去に実施された救済措置の具体例について詳しく解説します。試験を受験予定の方や興味をお持ちの方はぜひ最後までご覧ください。
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社労士試験の救済措置とは?足切りライン引き下げのこと

社労士試験における救済措置とは、合格基準点(いわゆる「足切り点」)が通常よりも引き下げられる措置のことです。
試験問題の難易度が著しく高い場合や受験者全体の成績が極端に低い場合、厚生労働大臣が救済措置を実施するかどうか決定します。
救済措置が適用されると一部の科目の基準点が下がるため、結果として合格者が増える可能性があります。しかし、これはあくまで例外的な措置であり、毎年必ず行われるものではありません。
そのため、受験生は救済措置を期待するのではなく、しっかりと実力をつけて試験に臨むことが重要です。
社労士試験の救済措置の仕組み
社労士試験の救済措置は、試験全体の難易度や受験者の出来具合を考慮して厚生労働大臣が判断します。
各科目の合格基準点を通常よりも下げる措置で、例えば選択式試験の合格基準点は28点ですが、25点に引き下げられることがあります。
また、救済措置は全科目に適用されるわけではなく、特定の科目にしか適用されません。
救済措置が適用されるかどうかは試験終了後に発表されるため、受験者は試験中に意識することもできないため、救済措置をあてにしないよう注意が必要です。
社労士試験における合格基準点(足切り)は?
社労士試験には選択式試験と択一式試験の2つの方式に分けられており、合格基準点はそれぞれ異なります。さらに、合格基準点は総得点と各科目で設定されており次のようになっています。
| 出題形式 | 合格基準点 | 満点(配点) |
|---|---|---|
| 選択式 | 総得点:28点以上 各科目:3点以上 ※両方満たすのが条件 | 40点 (5点×8科目) |
| 択一式 | 総得点:49点以上 各科目:4点以上 ※両方満たすのが条件 | 70点 (10点×7科目) |
※年度により異なることがある
参照:社会保険労務士試験の合格基準の考え方について|厚生労働省
総得点において満点の7割以上の得点が必要とされ、なおかつ選択式試験では各科目でも3点以上、択一式試験では各科目でも4点以上必要です。
この各科目の基準点がいわゆる「足切り点」と呼ばれ、例えば選択式試験で28点以上を獲得していても、ひとつの科目でも3点に満たない科目があれば不合格となります。
また、試験後にこの基準点が引き下げられることを救済措置と言います。
社労士試験の合格基準点については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひあわせてご覧ください。

社労士試験で救済措置が適用される基準
社労士試験で救済措置が適用される基準は以下のように定めらています。
各科目の合格基準点(選択式は3点、択一式は4点)に達する受験者数が5割未満の場合、科目最低点が引き下げられる
ただし、以下の場合は原則的に引き下げ補正が行われない
- 引き下げ後の基準点以上の受験者の割合が70%以上となる場合
- 引き下げ後の基準点が選択式で0点、択一式で2点以下となる場合。
救済措置は科目最低点数を補正する形で行われますが、救済措置によって合格になる受験者数が多すぎる場合などは、救済が行われないため注意が必要です。
救済措置は毎年行われる?過去に救済措置が実施された例

救済措置は毎年のように行われるものではありません。過去10年間、社労士試験において救済措置が実施された例は次のとおりです。
| 年度 | 選択式 | 択一式 |
|---|---|---|
| 令和6年度 | 労一:2点 | – |
| 令和5年度 | – | – |
| 令和4年度 | – | – |
| 令和3年度 | 労一:1点 国年:2点 | – |
| 令和2年度 | 労一:2点 社一:2点 健保:2点 | – |
| 令和元年度 | 社一:2点 | – |
| 平成30年度 | 社一:2点 国年:2点 | – |
| 平成29年度 | 雇用:2点 健保:2点 | 厚年:3点 |
| 平成28年度 | 労一:2点 健保:2点 | 一般常識:3点 厚年:3点 国年:3点 |
| 平成27年度 | 労一、社一、健保、厚年:2点 | – |
選択式試験では毎年とは言えないものの、救済措置が実施されることが多いです。一方、択一式試験では救済措置が実施される可能性が低く、過去7年間実施されていません。
社労士試験で救済措置されやすい科目は?

社労士試験において救済措置が適用されやすい科目は、選択肢試験の労一、社一、健保です。
選択式試験の社一と労一は出題範囲が広く、各科目最低点数を満たせない受験生が多くなる傾向にあるため、救済措置が実施されやすいです。
また、健保はややマイナーな論点から数字の穴埋めが多く出題された年度において救済が実施されています。
そのため、健保の問題で見たことがない論点で出題され、回答に不安がある人でも、他の受験生も同様に解けずに救済が行われる可能性があるため諦める必要はありません。
社労士試験は救済措置に頼らずに合格を目指すべき理由
社労士試験の合格を目指すうえで救済措置に頼ることは、決して賢明な戦略とは言えません。救済措置はあくまで例外的な措置であり、適用されない年度もあります。
救済措置に頼らずに合格を目指すべき理由は主に次の3つです。
- 運要素で合格を目指すことになるから
- 合格ギリギリを狙うと不合格リスクが高くなるから
- 苦手科目を避けることになるから
それぞれ詳しく解説します。
理由①運要素で合格を目指すことになるから
救済措置を期待するということは、ある意味、運に身を任せることになります。
試験問題の難易度や受験者全体の成績など、自分ではコントロールできない要素に合否を委ねることになるわけです。
もちろん、試験にはある程度の運要素も必要ですが、運だけに頼って合格を目指すのは非常にリスクの高い戦略です。
救済措置が適用されない場合、不合格となる可能性が非常に高くなるだけでなく、運良く合格できたとしても、実力が伴っていない場合、社労士としての業務をこなすことが難しくなるでしょう。
そのため、社労士試験の合格を目指す際は運に頼るのではなく、しっかりと実力をつけることが重要です。
理由②合格ギリギリを狙うと不合格リスクが高くなるから
合格ギリギリを狙うと不合格リスクが高くなるというのも、救済をあてにすべきではない理由のひとつです。
救済措置をあてにするということは、合格基準点ギリギリを狙っているということになります。その状況においては、少しのミスが原因で基準点を下回ってしまい、不合格となる可能性が高くなります。
特に、本番の試験では緊張や焦りから普段の実力が出せないことも珍しくありません。そのため、余裕を持って合格点を上回るよう学習を進めましょう。
理由③苦手科目を避けることになるから
救済措置を期待すると苦手科目の学習を避けがちになるのも、救済をあてにすべきではない理由のひとつです。
苦手科目が救済措置の対象となれば基準点を下回っても合格できる可能性がありますが、苦手科目を避けることは自分の弱点を放置することになります。
社労士試験は全科目をバランスよく学習し、総合的な知識を身につけることが求められる試験です。
各科目で合格基準点が設定されているため、苦手科目を放置して得意科目だけを伸ばしても合格することはできません。
そのため、社労士試験では救済措置をあてにせず苦手科目を作らないようバランスよく学習を進めましょう。
社労士試験の学習に不安があるという人には、通信講座・予備校を利用することをおすすめします。
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まとめ

社労士試験の救済措置とは、合格基準点が引き下げられる措置のことを言います。試験において科目の得点が基準に満たない受験者が多い場合、措置を実行するかどうか厚生労働大臣が決定します。
ただし、社労士試験の救済措置はあくまで例外的な措置であり、毎年のように行われるものではありません。そのため、受験生は救済措置を期待するのではなく、しっかりと実力をつけて試験に臨むことが重要です。
社労士試験の学習に不安があるという人に、通信講座・予備校を利用して合格を目指しましょう。

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