司法試験は簡単だった?簡単と言われる理由や、試験は難しいと言える理由を解説

司法試験は簡単だった?簡単と言われる理由や、試験は難しいと言える理由を解説

「司法試験が簡単だったって聞いたけど本当?」
「合格率が高くなったから難しくない?」
「でもやっぱり難しいって声もあるし、どっちが本当?」

そんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

かつて合格率が2〜3%と極めて低かった旧司法試験に比べて、現在の司法試験は合格率が約40%前後と上がっており、「簡単になった」と言われることがあります。

しかしその一方で、受験に至るまでの過程に大きなハードルがあるなど、依然として非常に厳しい試験であることに変わりはありません。

この記事では、「司法試験は簡単だった」と言われる背景と、実際にはどれほど難しい試験なのかを多角的に解説します。ぜひ最後までご覧ください。

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目次

司法試験が簡単だったって本当?簡単と言われる理由

「司法試験が簡単になった」という声が聞かれることがあります。しかし、司法試験は今もなお国内最難関の国家資格の一つです。

簡単と言われる理由には、主に以下があります。

  • 司法試験の合格率が上がってきている
  • 法科大学院の整備で受験者層が変わった
  • 出題傾向が実務寄りに変化した

それぞれ詳しく解説します。

理由①司法試験の合格率が上がってきている

司法試験が簡単になったと言われる最も大きな理由は、合格率と合格者数が大幅に増加した点にあります。

かつての旧司法試験は、合格率が毎年2〜3%程度で推移し、年間の合格者数も500人前後という非常に厳しい試験でした。
参照:平成18年度 旧司法試験 最終試験結果 – 旧司法試験結果の推移(図3)|旺文社 教育情報センター

一方、現在の司法試験では合格率が30〜40%台にまで上昇し、毎年1,500人を超える合格者が生まれています。

【司法試験の合格率】

年度受験者数合格者数合格率
2024年3,779人1,592人42.1%
2023年3,928人1,781人45.3%
2022年3,082人1,403人45.5%
2021年3,424人1,421人41.5%
2020年3,703人1,450人39.2%
2019年4,466人1,502人33.6%
2018年5,238人1,525人29.1%
2017年5,967人1,543人25.9%
2016年6,899人1,583人22.9%
2015年8,016人1,850人23.1%

参照:(2)司法試験の合格状況|弁護士連合会

この数字の変化だけを見ると、試験の難易度が著しく下がったように感じるのは自然なことです。

背景には、司法制度改革において「毎年3,000人程度の法曹を輩出する」という政策目標が掲げられ、法曹人口を増やすという明確な方針がありました。
参照:司法制度を支える法曹の在り方 – 第1 法曹人口の拡大|首相官邸 司法制度改革推進本部

結果として合格者数を確保する必要性が生じ、旧試験時代を知る人々からは、「以前よりも合格しやすくなった」「簡単になった」と見なされるようになったと考えられます。

理由②法科大学院の整備で受験者層が変わった

司法試験が簡単になったと感じられる理由の一つに、法科大学院制度の導入による受験者層の変化が挙げられます。

法科大学院は、多様な人材を法曹界に輩出することを目的として、2004年(平成16年)4月から設立されました。

これにより、法学部出身者以外でも法曹を目指す道が制度的に開かれ、受験資格を得るための門戸が広がりました。

その結果、旧司法試験時代のように一部の優秀な学生だけが挑戦する試験ではなく、現在の司法試験はより幅広い学力層の受験生が参入できるようになっています。

また、一部の法科大学院では卒業要件が比較的緩やかであるとの指摘もあり、受験者全体のレベルにばらつきが生じている側面は否定できません。

旧司法試験時代の熾烈な競争を知る世代から見れば、受験者層の質の変化が、試験の難易度が相対的に低下したという印象につながっていると考えられます。

理由③出題傾向が実務寄りに変化した

現在の司法試験は、旧司法試験と比較して出題傾向が大きく変化したことも、簡単になったと言われる一因です。

旧司法試験では、学術的で細かい知識を問う問題が多く、膨大な量の暗記が求められました。

しかし、新司法試験では司法制度改革の理念に基づき、実務で活躍できる法曹を養成するため、より実践的な能力を測る内容へと転換されました。

例えば、与えられた事例を分析し、法的三段論法を用いて論理的に結論を導き出す能力などが問われるようになっています。

このような事例解決型の問題は、明確な思考プロセスや答案作成のパターンが存在するため、適切な訓練を積むことで、安定して得点しやすくなったと感じる受験生もいます。

パターン化された対策が有効であるため、旧試験のような知識量勝負よりも攻略しやすいという側面が、「簡単になった」という評価につながっているのでしょう。

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司法試験の難易度は今でも高いと言える理由

司法試験が「簡単になった」という意見がある一方で、その難易度が依然として高いことは事実です。

司法試験の難易度が高いと言える理由は、主に次のとおりです。

  • 厳しい受験資格がある
  • 予備試験の合格率は3〜4%と非常に低い
  • 合格には5,000〜8,000時間の勉強が必要とされる
  • 試験は相対評価で、科目ごとの足切りもある

それぞれ詳しく解説します。

理由①厳しい受験資格がある

司法試験の難易度が高い根本的な理由として、厳しい受験資格の存在が挙げられます。

司法試験を受験するためには、原則として「法科大学院の課程を修了する」か「司法試験予備試験に合格する」のどちらかのルートを通過しなければなりません。

法科大学院の課程を修了するルートは、大学を卒業した後に法科大学院へ入学し、2年間(または3年間)の専門的な教育を受ける道です。

法科大学院は予備試験と比べて難易度は高くありませんが、時間的にも経済的にも大きな負担がかかります。

予備試験に合格するルートは、超難関の試験に合格する道です。

予備試験は学歴や年齢に関係なく誰でも受験できますが、合格率は極めて低く、非常に狭き門として知られています。

このように、司法試験は一定の学力や経済力、多くの努力が求められる試験で、スタートラインに立つこと自体が高いハードルとなっているのです。

理由②予備試験の合格率は3〜4%と非常に低い

司法試験の受検資格を得るための選択肢の一つである、予備試験ルートは合格率が3〜4%と非常に低いことも理由です。

予備試験は国内の試験の中でもトップクラスの難関として知られ、数多くの受験生が挑戦する中で、ごく一握りの人しか突破できません。

しかし、予備試験の合格者は、本番の司法試験において90%を超える驚異的な合格率を誇ります。そのため、予備試験は司法試験と同等の難易度であることがわかります。

また、法科大学院は予備試験と比べて入試の難易度は高くありませんが、法科大学院ルートの司法試験合格率は全体で30〜40%程度です。

【予備試験合格者と法科大学院修了者の司法試験の合格率】

予備試験ルート法科大学院ルート
令和6年度約92.8%約34.8%
令和5年度約92.6%約40.6%
令和4年度約97.5%約37.6%
令和3年度約93.5%約34.6%
令和2年度約89.4%約32.7%

参照:司法試験の結果について – 令和6年司法試験法科大学院等別合格者数等|法務省

どちらのルートを選ぶにしても、司法試験を突破するのは非常に難易度が高いと言えます。

理由③合格には5,000〜8,000時間の勉強が必要とされる

司法試験の過酷さは、合格に必要とされる勉強時間にも表れています。

一般的に、司法試験の合格には5,000時間〜8,000時間もの学習が必要だと言われています。

仮に1日10時間、毎日欠かさず勉強したとしても、単純計算で2年以上の期間を要する計算です。

多くの受験生は、大学在学中や法科大学院での授業と並行して学習しており、社会人の中には仕事を辞めて試験勉強に専念する生活を送っている人もいます。

膨大な法律知識をインプットし、それを答案作成という形でアウトプットする訓練を長期間にわたって継続しなければなりません。

また、学習期間中は単に勉強を継続するだけでなく、モチベーションを維持する強い精神力や、自己を律する厳しい管理能力も同時に求められます。

数年単位での多大な犠牲と努力を乗り越えた者だけが合格を手にできるという点が、司法試験を極めて難しい試験にしているのです。

理由④試験は相対評価で、科目ごとの足切りもある

司法試験の厳しさをさらに高めているのが、その評価方法です。

司法試験は、一定の点数を取れば誰でも合格できる絶対評価の試験ではありません。

受験者全体の中で成績上位者から順に合格者が決まる「相対評価」が採用されています。

合格ラインは毎年変動するため、他の優秀な受験生たちとの競争に勝ち抜かなければならず、常に高いレベルでのパフォーマンスが要求されます。

さらに、試験には「足切り」と呼ばれる制度が存在するのも特徴です。

総合得点が合格ラインに達していても、いずれか一科目でも最低基準点を下回った場合には、それだけで不合格となる非常に厳しい仕組みです。

したがって、得意科目で高得点を稼ぐだけでは不十分であり、すべての試験科目で満遍なく一定水準以上の成績を収める必要があります。

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司法試験はどのくらい難しい?3つの基準で分析

司法試験が「難しい」と言われても、その難易度をイメージできない方も多いかと思います。

ここからは、司法試験がどの程度難しいのかを客観的に理解するため、3つの異なる基準を用いて分析します。

①他の法律系国家資格と比較しても最難関クラス

法律系の国家資格には、司法書士や行政書士など数多くの難関資格が存在します。

しかし、その中でも司法試験は最難関クラスの資格として広く認識されています。

代表的な国家資格と司法試験を合格率や勉強時間で比較した表が以下です。

資格合格率勉強時間
法曹資格予備試験:約3〜4%
司法試験:約45%
約5,000〜8,000時間
行政書士約10〜13%約500~800時間
司法書士約4〜5%約3,000時間
税理士約20%前後約2,000~4,000時間
社労士約6~7%約800〜1,000時間
宅建約15〜17%約200~400時間

例えば、同じく難関として知られる司法書士の合格率は4〜5%程度と非常に低いですが、予備試験はそれよりも合格率が低いです。

司法試験は厳しい受験資格が課されていることに加え、そのうえで難易度の高い司法試験に突破しなければならない点で、他の国家資格よりもハードルが高いです。

また、合格に必要な勉強時間を見ても、他の資格が多くても1,000〜4,000時間程度かかるのに対し、司法試験は5,000〜8,000時間と桁違いの学習量が求められます。

このことから、司法試験および法曹の資格取得がいかに難しいかがわかります。

②司法試験を偏差値で例えるとどのくらい?

資格試験の難易度を大学入試の偏差値で正確に表すことは困難ですが、あえて指標として用いると、一般的に偏差値75以上と言われることが多いです。

偏差値75という数値は、正規分布において上位約0.6%しか存在しない領域です。

大学入試に例えれば、東京大学や京都大学といった国内最難関大学の上位学部に匹敵するレベルと言えるでしょう。

③東大合格と司法試験合格はどっちが難しい?

「東京大学合格」と「司法試験合格」は、それぞれの難易度を比較対象としてよく挙げられますが、両者は試験の性質が大きく異なるため単純な比較はできません。

東大合格は、主に高校3年間の学習成果を問うものであり、基本的には18歳時点での学力競争の頂点と言えます。

記憶力や処理能力、そして短期間での集中力が重要となる一発勝負の側面が強いです。

一方、司法試験は、大学や法科大学院で専門的な法学を学んだ後、さらに長期間にわたる学習を経て挑む試験です。

膨大な知識量に加え、深い法的思考力、論理構成能力、そして数年に及ぶ自己管理能力が問われます。

実際に、東大の法学部を優秀な成績で卒業した学生であっても、司法試験には何度も不合格になるケースは珍しくありません。

また、司法試験の受験者は法科大学院修了者や予備試験合格者など、もともと学力が高い層で構成されています。

その優秀な集団の中で、さらに上位に入らなければ合格できないのが司法試験です。

あくまで一つの目安ですが、求められる知識の専門性の深さや精神的な持久力を考慮すると、司法試験は東大合格と同等、あるいはそれ以上に難しいと考えられます。

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司法試験が簡単だったと感じる人の特徴

最難関の司法試験を終えて、中には「簡単だった」と感想を述べる合格者が少数ながら存在します。

しかし、必ずしも特別な能力を持つ天才に限るわけではありません。

むしろ、合格という目標から逆算し、合理的で効率的な戦略を立て、それを着実に実行した結果として、精神的な余裕を持って「簡単だった」と述べている可能性が高いです。

それを踏まえると、司法試験が簡単だったと感じる人の特徴には以下が挙げられます。

  • 過去問の分析と対策を徹底している
  • インプットとアウトプットのバランスが整っている
  • スケジュール管理と自己分析ができていた
  • 予備校や通信講座を利用している

それぞれ詳しく解説します。

特徴①過去問の分析と対策を徹底している

司法試験を「簡単だった」と評する合格者は、過去問を通して司法試験で問われる法的素養を身につけていることがほとんどです。

合格に不可欠な法的思考力や知識を習得する最も効率的な手段が、過去問演習を繰り返すことです。

例えば、広範で詳細な知識が問われる短答式試験では、過去に出題された問題を繰り返し解くことで知識の穴をなくし、基礎を固めることができます。

また、複雑な事案の分析能力と論述力が求められる論文式試験では、学習の早い段階から実際に答案を作成する訓練を重視します。

長い問題文から争点を的確に抽出し、法を適用する力を養うためです。

このように、試験形式ごとに過去問をうまく活用し、徹底的に実践しているからこそ、試験を「簡単」と感じる余裕につながるのです。

特徴②インプットとアウトプットのバランスが整っている

司法試験に限らず、学習した知識を定着させるためには、インプットとアウトプットのバランスが重要です。

司法試験の勉強においては、基本書や判例を読み込む「インプット」と、実際に答案を作成する「アウトプット」に大別されます。

膨大な試験範囲を前にして知識のインプットに偏りがちですが、インプットだけでは学習が非効率です。

合格者の多くは、インプットした知識が本当に身についているかを確認するために、学習の早い段階から積極的にアウトプットの機会を設けます。

実際に問題を解いたり、自分の手で答案を作成したりすることで、理解が曖昧な部分や論理構成の弱点を明確に把握することができます。

そして、アウトプットを通じて見つかった課題を克服するために、再びインプットに戻るという効率的に学習を進めていることがほとんどです。

インプットとアウトプットのサイクルを回し、知識を使える形で定着させる訓練を繰り返しているため、本番でもスムーズに思考できるようになります。

特徴③スケジュール管理と自己分析ができていた

数年単位の長期間にわたる司法試験の勉強を乗り切るためには、計画性と自己管理能力が不可欠です。

試験を「簡単だった」と振り返る人は、例外なく優れたマネジメント能力を発揮しています。

司法試験に合格する人の多くは、まず合格という最終目標から逆算して、年・月・週単位といった長期・中期・短期の具体的な学習計画を立てます。

そして、計画を立てるだけでなく、定期的に進捗状況を確認し、必要に応じて柔軟に計画を修正していくことが多いです。

また、模擬試験の結果や日々の答案練習を通じて、自分の実力を客観的に分析することも怠りません。

自分の強みと弱みを正確に把握し、弱点補強に集中的に取り組むことで、無駄のない効率的な学習を実現しています。

このように学習全体を俯瞰し、常に自分を客観視できていることが、精神的な安定と自信につながり、試験を乗り越える大きな力となっているのです。

特徴④予備校や通信講座を利用している

司法試験は、その専門性の高さと情報量の多さから、独学だけで合格するのは極めて困難な試験です。

試験を「簡単だった」と感じる合格者の多くは、予備校や通信講座を活用しています。

予備校を利用することで、試験に精通したプロの講師から、膨大な学習範囲の要点を分かりやすく学ぶことができ、インプットの時間を大幅に短縮できます。

また、質の高いオリジナル教材や、合格者による答案添削サービスを活用することで、効率的なアウトプット訓練を積むことが可能です。

さらに、法改正や最新判例といった重要な情報を逃さず入手できるほか、学習のペースメーカーとしても機能します。

合格に必要なノウハウや情報を効率的に手に入れ、学習の負担を軽減できるため、結果として「思ったよりも楽に合格できた」という感覚につながるケースが多いのです。

もちろん、司法試験は難易度が非常に高く、予備校を利用したからといって簡単に合格できる試験ではありません。

それでも、独学で司法試験合格を目指すよりも効率的、かつ短期合格を目指すことができます。

以下の記事では、予備校と通信講座のカリキュラム、料金などを比較解説しているので、予備校の利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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まとめ

司法試験が「簡単だった」と言う意見は、旧司法試験と比較した際の合格率の上昇や、実務的な出題傾向への変化などが原因となっている可能性が高いです。

しかし、旧司法試験から変化したからといって、司法試験の本質的な難易度が低下したわけではありません。

厳しい受験資格、5,000時間を超える膨大な勉強時間、そして上位者しか合格できない相対評価など、司法試験は今もなお国内最難関クラスの試験です。

一方で、「簡単だった」と感じる合格者も少なからず存在するため、その人たちの共通点を知り、同じような学習法を踏襲することで司法試験合格に一歩近づくことができます。

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