「社会人から司法試験を目指すなんて無謀なのかな…」
「仕事と両立しながら合格できる人って本当にいるの?」
「司法試験に挑戦したいけど、現実的に考えて難しそう…」
そんな迷いや不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
司法試験は非常に難易度の高い国家試験ですが、社会人からでも戦略的に学習を進めれば、合格は不可能ではありません。実際に、働きながら合格を勝ち取った人も少なく実在します。
とはいえ、時間や体力の制約がある社会人にとって、効率的な勉強法や適切なリスク管理は欠かせません。
この記事では、社会人が司法試験合格を目指すのは本当に無謀なのかという疑問に答えながら、現実的な勉強法や挑戦するメリット・デメリットについて詳しく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
社会人が司法試験に合格するのは無謀?無謀とは言えない理由
社会人として働きながら司法試験の合格を目指すことは、「無謀」と言われることがほとんどです。
たしかに、限られた時間の中で膨大な学習量をこなす必要があり、決して簡単なことではありません。
しかし、以下の理由から無謀とは言い切ることもできません。
- 社会人合格者は毎年一定数存在する
- 予備校によっては社会人合格実績が豊富
- 社会人経験が答案に活きることもある
- 生活にメリハリがある方が学習効率が上がる
それぞれ詳しく解説します。
理由①社会人合格者は毎年一定数存在する
社会人の司法試験合格が無謀ではない最大の根拠は、社会人の合格者は毎年一定数存在することです。
法務省が発表する司法試験の合格者データを見ると、合格者の大半は学生であるものの、社会人経験を持つ合格者も毎年一定数含まれています。
大手予備校「伊藤塾」の調査によれば、令和6年度(2024年度)の試験で、働きながら司法試験に合格した人の数は82名となっています。
参照:伊藤塾の合格実績|伊藤塾
同年の司法試験の合格者が合計で1,592人であることを加味すると、合格者全体の5%は社会人です。
もちろん、簡単なものではありませんが、社会人でも司法試験の合格は不可能ではないと言いきれます。
理由②予備校によっては社会人合格実績が豊富
社会人受験生であれば、大手予備校を利用するのが非常におすすめです。予備校では、社会人合格者の実績が豊富にあります。
例えば、伊藤塾の発表では、働きながら令和6年度の司法試験に合格した人のうち、伊藤塾の利用者(有料講座受講生)の割合は93.9%となっています。
参照:伊藤塾の合格実績|伊藤塾
つまり、働きながら合格した社会人の9割以上もの人が伊藤塾を利用していたという結果です。
この数字には模試のみの利用者なども含まれるため、数字だけをうのみにするのは注意が必要です。
とはいえ、多くの社会人合格者が予備校のカリキュラムやサポート体制を有効活用していることがわかります。
\合格者占有率90.2%!合格者の9割が選んだ/
理由③社会人経験が答案に活きることもある
司法試験において、社会人経験はむしろ学生にはない強力な武器となり得ます。
社会人としての実務経験は、法律問題で問われる紛争をより具体的かつ多角的にイメージする上で大いに役立ちます。
例えば、企業で契約交渉や労務管理に携わった経験があれば、商法や労働法の問題を単なる条文の知識としてではなく、生きた当事者間の利害調整の場面としてリアルに捉えることも可能です。
イメージがつけば、事案の的確な分析や説得力のある論理構成につながり、深みのある答案を作成しやすいです。
机上の学問だけでは得られない、社会の現実を踏まえた考察ができることは、他の受験生との差別化を図る上で大きな強みとなるのです。
理由④生活にメリハリがある方が学習効率が上がる
社会人受験生にとって、勉強時間がないという制約が、逆に学習効率を高めることもあります。
一日中勉強に専念できる学生とは異なり、社会人は「仕事終わりの3時間」や「休日の午前中」など、限られた時間で学習を進めなければなりません。
時間的制約が、「この時間内にこの範囲を必ず終わらせる」という強い集中力と緊張感につながります。
また、仕事は強制的な気分転換にもなり、勉強に行き詰まったときも、仕事に集中することで頭がリフレッシュされ、学習のマンネリ化や燃え尽きを防ぐ効果も期待できます。
生活の中に仕事という区切りがあることで、学習へのオン・オフの切り替えが明確になり、結果として密度の濃い学習時間を確保できるのです。
司法試験の受験資格を得るのに必要な2つのルート
司法試験を受験するためには、まず受験資格を得る必要があります。受験資格を得るルートは基本的に次の2つです。
- 法科大学院を修了する
- 予備試験に合格する
ひとつは、大学卒業後に法科大学院(ロースクール)に進学し、所定の課程を修了する「法科大学院ルート」です。
法科大学院ルートは、体系的な法学教育を受けられるメリットがありますが、通学の必要があり、多額の学費もかかります。
日中働いている社会人の場合、法科大学院を利用するのが難しいため、法科大学院を利用する際は、仕事を辞めて入学するケースが一般的です。
もうひとつは、学歴や年齢に関係なく誰でも受験できる、司法試験予備試験に合格するルートです。
予備試験ルートは最終合格率が例年3〜4%と、極めて難易度の高い試験ですが、働きながらでも自分のペースで学習を進められるため、社会人の多くがこのルートを選択しています。
社会人におすすめなのは予備試験ルート!予備試験は無理ゲー?
働きながら司法試験合格を目指す社会人にとって、最も現実的でおすすめなのは、予備試験ルートです。
最大の理由は、法科大学院のようにキャンパスに通う必要がなく、時間や場所の制約を受けずに学習を進められる点にあります。
通勤中の電車内や昼休み、早朝の静かな時間など、日々のスキマ時間を有効活用して勉強を積み重ねることで、予備試験および司法試験の合格を目指すことが可能です。
毎日たとえ5分でもテキストを開くという姿勢が、最終的に大きな差を生みます。
合格率が約3〜4%という極めて低い数字から、「無理ゲー」と揶揄されることもありますが、逆に予備試験を合格した人は司法試験に合格する可能性も高いです。
実際、法科大学院ルートと予備試験ルートで、司法試験の合格率を比較した表が以下です。
| 法科大学院ルート | 予備試験ルート | |
|---|---|---|
| 令和6年度 | 約34.8% | 約92.8% |
| 令和5年度 | 約40.6% | 約92.6% |
| 令和4年度 | 約37.6% | 約97.5% |
| 令和3年度 | 約34.6% | 約93.5% |
| 令和2年度 | 約32.7% | 約89.4% |
参照:司法試験の結果について – 令和6年司法試験法科大学院等別合格者数等|法務省
このように、法科大学院を修了した人は司法試験の合格率が約40%であるのに対し、予備試験に合格した人の司法試験合格率は90%以上です。
そのため、社会人が司法試験の合格を目指すなら、自分のペースで学習を進められて、司法試験の合格率も高い予備試験ルートをおすすめします。
以下の記事では、法科大学院ルートについて詳しく解説しています。予備試験ルートとの比較も行っているので、ぜひ参考にしてください。
働きながら法科大学院の夜間コースに通う選択肢もある
社会人の場合、予備試験ルート以外にも、法科大学院の夜間コースに通う選択肢もあります。
一部の法科大学院には、夜間コースが存在します。
夜コースは、社会人など日中に学校へ通えない人を対象に、平日の夜間や土日に講義を開講しているものです。
法科大学院に通えば、経験豊富な教員から体系的な法学教育を直接受けられ、同じ目標を持つ仲間と出会い、切磋琢磨できる環境があるのがメリットです。
一方で、予備校に比べて学費が高額になるほか、通学による時間的・身体的な負担が大きいというデメリットがあります。
さらに、夜間コースを設置している大学が限られているため注意が必要です。
自身の学習スタイルや経済状況、居住地などを総合的に考慮し、予備試験ルートと比較検討しましょう。
社会人で学歴もなし!働きながら司法試験合格は無謀と言われるのは当然
司法試験の合格を目指す社会人の中には、大学を卒業していないなど、学歴に自信がないという方もいるのではないでしょうか。
学歴ない社会人が、急に司法試験合格を目指すと言えば、周囲から「無謀だ」と言われるのは当然です。
その背景には、司法試験や予備試験は難易度が高いことが挙げられます。
かつての旧司法試験のような、東京大学出身者などトップレベルの大学出身の人が多い試験、というわけではありませんが、それでも試験難易度は国内最難関です。
また、大学卒業の学歴がない場合、原則として法科大学院の入学試験を受けられないという、制度上の壁も存在します。
(ただし、文部科学省から大卒相当と認められば、学歴がなくても入学資格が認められることがあります)
そのため、スタートラインにおいて、他の受験生とのハンディキャップは否定できません。
しかし、それはあくまでスタートラインの話であり、この厳しい現実を直視したうえで、それでも挑戦する覚悟があるかが問われます。
本気で弁護士を目指すならチャレンジする価値はある
学歴の壁や社会人というハンディキャップがあるからといって、弁護士になる夢を諦める必要は全くありません。
厳しい現実を理解した上で、それでも「本気で弁護士になりたい」という強い意志があるのなら、チャレンジする価値は十分にあります。
なぜなら、司法試験で最終的に問われるのは、学歴ではなく、合格点を取るための法律知識と論理的思考力だからです。
正しい方法で、合格に必要な努力を継続することができれば、学歴の差を埋めることは不可能ではありません。
また、仮に司法試験や予備試験に落ちて諦めざるをえなかったとしても、それまで学習したことはさまざまな場所で活躍します。
例えば、就職活動・転職活動では、法律の知識や司法試験の受験経験を活かしたアピールが可能です。
そのほか、行政書士や司法書士といった法律系国家資格の試験は、司法試験と学習範囲が一部共通のため、他の資格取得を目指す場合にも役立ちます。
勉強したことは決して無駄にはならないので、本気で弁護士を目指すならチャレンジする価値はあると言えます。
独学合格にこだわるのは危険!予備校を利用するのがおすすめ
社会人(特に学歴に自信がない方)が、司法試験を目指すうえで独学にこだわるのは危険です。
人によっては、限られた時間の中で何から手をつけていいかわからず、膨大な試験範囲を前に途方に暮れてしまう可能性が非常に高いです。
合格への最短ルートを歩むためには、司法試験講座のある予備校を積極的に利用することを強くおすすめします。
予備校を利用すれば、試験合格に特化した効率的なカリキュラム、長年のノウハウが凝縮された質の高い教材を活用できます。
もちろん費用はかかりますが、合格の確率を高め、合格までの時間を買うと考えれば、決して無駄ではありません。
独学にこだわって結局挫折したり、何年も遠回りをしてしまったりするリスクよりも、費用をかけて予備校を利用する価値は十分あります。
社会人が司法試験合格を目指すメリット
社会人が司法試験合格を目指すメリットには以下があります。
- 問題文の法的紛争をイメージしやすい
- 自己管理と時間管理に長けている
- 就職活動では人生経験や専門性が武器になる
それぞれ詳しく解説します。
メリット①問題文の法的紛争をイメージしやすい
社会人が司法試験を目指すメリットのひとつが、問題文で提示される法的紛争を、自身の経験に基づいて具体的にイメージしやすい点です。
学生の多くは、法律問題をあくまで教科書上の出来事として捉えがちですが、社会人には実社会でのさまざまな経験の蓄積があります。
例えば、職場で交わした契約書、取引先とのトラブル、あるいは同僚が直面した労務問題など、日々の業務で法律が関わる場面に触れる機会は少なくありません。
これらの経験は、複雑な事案の登場人物の立場や利害関係をリアルに想像するのにつながり、問題の本質を深く理解しやすくなります。
学生にはない大きなアドバンテージです。
メリット②自己管理と時間管理に長けている
一般的な学生と比べて、社会人は自己管理と時間管理に長けているのもメリットです。
多くの社会人は、日々の業務を通じて、限られた時間の中でタスクを管理し、優先順位をつけて効率的に物事を進めるスキルを自然と身につけています。
自己管理能力と時間管理能力は、膨大な学習量を計画的にこなす必要がある司法試験の勉強にそのまま活かすことが可能です。
例えば、1週間単位・1ヶ月単位で達成すべき学習目標を設定し、それを日々のスケジュールに落とし込んで実行していく計画性は、まさに仕事のプロジェクト管理そのものです。
また、体調管理やモチベーションの維持といった、自己管理の重要性も仕事を通じて痛感していることでしょう。
これらのスキルは、長期間にわたる厳しい受験生活を乗り越える上で不可欠な要素と言えます。
メリット③就職活動では人生経験や専門性が武器になる
法曹資格(弁護士の資格)を取得した後の就職活動においても、社会人経験は大きな武器となります。
法律とは異なる分野での専門性・実務経験を持つ社会人経験者は、法律事務所や企業から高く評価される可能性が高いです。
例えば、IT業界での経験を持つ弁護士は、知的財産や情報セキュリティ関連の法務で即戦力として期待されます。
また、金融機関での勤務経験は、金融法務やM&Aの分野で強みを発揮するでしょう。
法律事務所側も、多様なバックグラウンドを持つ弁護士を採用することで、対応できる案件の幅を広げたいと考えています。
さらに、社会人として培ったビジネスマナーやコミュニケーション能力、組織への適応力は、若手の新人弁護士にはない大きなアドバンテージです。
社会人の司法試験勉強は、年齢を懸念する声もありますが、就職活動において強力なアピールポイントとなるのです。
社会人が司法試験合格を目指すデメリット
社会人が司法試験合格を目指すデメリットには以下があります。
- 勉強にあてられる時間が短い
- 学習のモチベーション維持に苦労する
- 仕事に意識を引っ張られやすい
それぞれ詳しく解説します。
デメリット①勉強にあてられる時間が短い
社会人受験生が直面する最も大きなデメリットは、学習にあてられる時間が絶対的に短いことです。
平日は仕事に多くの時間を費やし、帰宅後や休日にしかまとまった勉強時間を確保できないのが現実です。
学生や受験生など、1日に10時間以上勉強する人も珍しくない中、社会人が確保できる時間は、多くても平日に2〜3時間、休日に10時間程度でしょう。
この圧倒的な時間的制約の中で、学生と同じ土俵で戦わなければならないことが、社会人受験の厳しさです。
そのため、学習効率を極限まで高める工夫が求められます。
通勤時間や昼休みなどのスキマ時間を徹底的に活用し、一つ一つの学習内容を深く理解し、確実に定着させていく質の高い勉強を実践しなければ、合格レベルに到達することは困難です。
デメリット②学習のモチベーション維持に苦労する
学習のモチベーション維持に苦労するのも社会人受験生のデメリットのひとつです。
長期間にわたる司法試験の勉強では、学習意欲・モチベーションを維持し続けることが非常に重要です。
しかし、社会人は仕事で疲弊して帰宅した後、さらに机に向かう気力を維持するのは簡単ではありません。
また、友人がプライベートを楽しんでいる姿を目にすると、「自分は何のためにこんな苦しい思いをしているのだろう」と孤独感や焦燥感に苛まれることもあるでしょう。
学生のように周囲に同じ目標を持つ仲間が少ない環境も、モチベーション維持を難しくする一因です。
この課題を克服するためには、「なぜ弁護士になりたいのか」という明確な目標を常に意識する必要があります。
さらに、短期的な目標達成を繰り返して成功体験を積むなど、自分なりの工夫で意欲を維持し続けることが重要です。
デメリット③仕事に意識を引っ張られやすい
社会人受験生は、常に仕事と勉強という二つの大きなタスクを抱えています。
そのため、勉強中であっても仕事のことが頭から離れず、集中力を削がれてしまうというデメリットがあります。
例えば、翌日の重要なプレゼンテーションのことや、職場の人間関係の悩み、解決していない業務上のトラブルなどが気になり、テキストの内容が頭に入ってこないといった経験は誰しもあるものです。
仕事で大きなストレスを抱えている時期は、特に勉強に身が入りにくくなります。
集中できないという問題を乗り越えるには、意識的な切り替えが重要です。
「この時間は勉強に集中する」と決めて、仕事のことは一旦忘れ、学習環境を整えるなどの工夫が求められます。
仕事と勉強の明確な境界線を引き、それぞれに集中する時間を作ることが、両立の鍵となります。
司法試験に合格できる社会人の勉強法とは?
司法試験に合格できる社会人の勉強法として、以下の共通点があると言えます。
- 目標を明確にしてから勉強を開始する
- スケジュールを逆算して立てる
- 家族や同僚に宣言して退路を断つ
- 勉強習慣を定着させるためにルーティン化する
- 基礎講義を一通り学ぶ
- 過去問を何度も繰り返して解く
- 朝や通勤時間などの隙間時間を活用する
- 可能であれば覚悟を決めて仕事をセーブする
それぞれ詳しく解説します。
勉強法①目標を明確にしてから勉強を開始する
社会人が司法試験を始める前に、まず行うべきことは目標を明確にすることです。
「なぜ自分は弁護士になりたいのか」「弁護士になって何を成し遂げたいのか」この問いに対する自分なりの答えを、深く掘り下げて言語化しておくことが極めて重要です。
明確な目標こそが、学習のモチベーションが下がりそうになった時や、仕事との両立に心が折れそうになった時に、勉強を続ける原動力となります。
また、「〇年後の合格を目指す」「そのために〇歳までに予備試験を突破する」といった具体的な期限付きの目標を設定することも有効です。
漠然とした憧れだけで勉強を始めても、途中で挫折する可能性が高くなります。
勉強法②スケジュールを逆算して立てる
目標が明確になったら、次に行うべきは合格までの具体的な学習スケジュールを立てることです。
社会人にとって時間は最も貴重な資源であり、無計画な学習は許されません。
まず、合格目標年から逆算して、年単位・月単位・週単位・日単位で何をすべきかを具体的に落とし込んでいきます。
例えば、
- 「1年目は基礎講座を修了し、短答過去問を一通り解く」
- 「2年目は論文の書き方をマスターし、過去問演習を繰り返す」
といった大まかな計画を立て、それをさらに細分化していきます。
その際、仕事の繁忙期やプライベートの予定も考慮に入れ、無理のない現実的な計画を立てることが重要です。
計画を立てることで、日々の学習の進捗状況が可視化され、モチベーションの維持にもつながります。
行き当たりばったりの勉強ではなく、戦略的なスケジュール管理が合格への近道です。
勉強法③家族や同僚に宣言して退路を断つ
司法試験への挑戦は孤独な戦いになりがちですが、あえて周囲に目標を宣言することで、自分を良い意味で追い込むという方法があります。
家族や親しい友人、信頼できる職場の同僚に「私は司法試験に合格して弁護士になる」と公言することで、簡単には諦められない状況を作り出し、自身の退路を断つことが可能です。
「応援してくれている人を裏切れない」「情けないと思われたくない」という思いが、勉強を諦めるという選択肢をなくしてくれます。
また、宣言することで、周囲からの理解や協力を得やすくなるというメリットもあります。
勉強のために飲み会を断ったり、休日に付き合いが悪くなったりしても、事情を理解してもらえれば人間関係の悪化を防げます。
宣言することがプレッシャーになる場合もあるため、誰にどの程度伝えるかは慎重に判断すべきですが、覚悟を決めるための有効な手段の一つです。
勉強法④勉強習慣を定着させるためにルーティン化する
社会人が勉強を継続するうえでは、勉強を日常生活の一部として完全に習慣化(ルーティン化)することが非常に重要です。
毎日の気分ややる気に頼っていては、疲れている日や忙しい日には勉強が滞ってしまいます。
例えば、
- 「毎朝6時〜7時半までは必ず憲法の勉強をする」
- 「帰宅後、夕食前の30分は短答過去問を解く」
というように、行動をパターン化し、歯磨きをするのと同じように無意識に机に向かえる状態を目指します。
最初は意志の力が必要ですが、2〜3週間も続ければ、その行動をしないと気持ち悪く感じるような状態にすることが可能です。
モチベーションに左右されない勉強習慣こそが、着実に知識を積み重ねていくことうえで重要です。
勉強法⑤基礎講義を一通り学ぶ
司法試験合格を目指す際は、基礎講義を一通り学ぶことも大切です。
司法試験の膨大な学習範囲を前にし、いきなり過去問などの実践的な演習から入るのは非効率的です。
まずは、予備校の基礎講座などを利用して、法律基本7科目(憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法)の全体像と基本的な知識をスピーディーに一通り学ぶことが重要です。
この段階では、細部を完全に理解しようと完璧主義になる必要はありません。
分からない部分があっても気にせず、まずは最後まで講義を聴き通し、試験範囲の地図を手に入れることを目指します。
全体像を把握することで、各科目のつながりや、学習している内容の位置付けが明確になり、その後の学習効率が格段に上がります。
勉強法⑥過去問を何度も繰り返して解く
司法試験合格のためには、過去問演習が不可欠です。
過去問は、試験制作陣が受験生に求める能力や知識レベルを具体的に示してくれる最高の教材です。
過去問を解くことで、どのような知識がどのような形で問われるのかを肌で感じることができます。
さらに、出題の意図を分析し、合格者の再現答案などを参考にしながら、どのように考え、どのように論述すれば合格点に達するのかを徹底的に研究します。
最初は全く歯が立たないかもしれませんが、解説を読み込み、再度挑戦することを繰り返すうちに、徐々に合格答案の型が身についてくるでしょう。
インプットと過去問演習を往復することで、知識が定着し、実践的な応用力が養われます。
勉強法⑦朝や通勤時間などの隙間時間を活用する
仕事を持つ社会人にとって、学習時間を捻出するためには通勤時間や昼休み、待ち合わせの合間といった、スキマ時間の活用が必須となります。
1回あたりは10分〜15分といった短い時間でも、1日単位・1週間単位で積み重ねれば、膨大な学習時間になります。
例えば、通勤電車の中では、スマホアプリで短答過去問を解いたり、前日に学習した内容の復習をしたりすることが可能です。
これらのスキマ時間を有効に使うためには、いつでもどこでも学習できる準備をしておくことが大切です。
スマホに教材データを入れておいたり、常に小さなテキストを持ち歩いたりといった工夫をしましょう。
特に、仕事で疲れている夜よりも、頭がクリアな朝の時間を学習にあてる朝活は非常に効果的です。
勉強法⑧可能であれば覚悟を決めて仕事をセーブする
仕事と勉強の両立は大変ですが、試験直前期など、特定の時期においては覚悟を決めて仕事をセーブするという選択肢も視野に入れるべきです。
例えば、有給休暇をまとめて取得して長期の勉強時間を確保したり、可能であれば上司に相談して一時的に業務量を減らしてもらったりといった方法が考えられます。
また、経済的な余裕があれば、正社員から契約社員や派遣社員に切り替えて、学習時間を優先するという選択もあります。
もちろん、これはキャリアプランや家庭の状況にもよるため、誰にでもできることではありません。
しかし、「絶対に今年合格する」という強い覚悟があるのなら、一時的に仕事の比重を下げ、学習にリソースを集中投下することも、合格を勝ち取るための有効な戦略の一つとなります。
社会人が司法試験合格までに必要な学習時間は?5,000〜8,000時間が目安
司法試験合格に必要な学習時間は、一般的に5,000時間〜8,000時間がひとつの目安とされています。
これは、法律知識ゼロの状態から、膨大な試験範囲を網羅し、深い理解と応用力を身につけるために要する時間の総計です。
社会人は、この膨大な学習時間を日々の仕事と両立しながら捻出しなければなりません。
そのため、1〜2年での短期合格は極めて困難であり、長期的な視点に立った計画的な学習が合格への唯一の道となります。
もちろん、個人の法学部出身経験や学習効率によって時間は変動するため、あくまでもひとつの目安として考える必要があります。
3〜5年後の合格を目指す
社会人が働きながら司法試験合格を目指す場合、一般的に3年〜5年の期間をかけて計画を立てるのが現実的です。
司法試験合格に必要な総学習時間は、5,000時間〜8,000時間、あるいはそれ以上と言われています。
この勉強時間を1年間で達成しようとすると、1日あたり13時間以上の勉強が必要となり、働きながらでは到底不可能です。
しかし、3年計画であれば1日あたり約5時間〜、5年計画であれば1日あたり約3時間〜の計算になります。
これならば、平日に3〜4時間、休日に8〜10時間といったスケジュールを組むことで、十分に達成可能な範囲に入ってきます。
焦って短期合格を目指すよりも、継続可能な学習計画を立て、着実にステップアップしていくことが、社会人にとっては合格への確実な道筋となるでしょう。
社会人におすすめの勉強スケジュール例
社会人が学習スケジュールを立てる際は、平日と休日でメリハリをつけることが重要です。以下、勉強スケジュールのシミュレーションです。
【平日】
- 朝出勤前:1〜1.5時間
- 通勤の往復:1時間
- 帰宅後:1〜2時間
- 合計:3〜4.5時間
【休日】
- 午前中:4時間
- 午後:4〜6時間
- 合計8〜10時間
(1週間で約31〜42.5時間)
また、朝は思考力が求められる論文問題の検討、スキマ時間は暗記や短答問題、夜は講義の視聴や復習など、時間帯や場所に応じて学習内容を使い分けると効率的です。
休日は、まとまった時間を確保できるため、予備校の講義を受けたり、論文の答案を実際に時間を計って書いたりするなど、平日にできない学習を集中的に行います。
また、休日のどちらか半日はリフレッシュの時間にあてるなど、休息も計画に組み込むことが継続の秘訣です。
スケジュールは3ヶ月単位で見直す
学習スケジュールは3ヶ月単位で見直しましょう。
一度立てた学習スケジュールも絶対的なものではありません。
実際に学習を進めていく中で、計画通りに進まないことや、自身の得意・不得意が明確になってくることは当然あります。
そのため、少なくとも3ヶ月に一度は、学習の進捗状況を確認し、スケジュールを見直す機会を設けることが重要です。
例えば、
- 「民法の進捗が遅れているから、来月は民法に割く時間を増やそう」
- 「短答式の成績が伸び悩んでいるから、論文の時間を少し削って短答対策を強化しよう」
といった形で、柔軟に計画を修正していきます。
この定期的な見直しを行うことで、軌道修正が可能となり、長期的な目標達成の確度が高まります。
社会人が司法試験合格を目指す際にかかる費用
社会人が司法試験合格を目指す際にかかる費用は、法科大学院か予備試験かで異なります。費用の目安は以下のとおりです。
- 法科大学院ルート(2年間):国立180〜200万円、私立250〜300万円
- 法科大学院ルート(3年間):国立240〜300万円、私立300〜450万円
- 予備試験ルート:数十万円〜150万円
それぞれ詳しく解説します。
法科大学院ルートの場合|学費や生活費の負担がある
法科大学院(ロースクール)ルートを選択する場合、最も大きな負担となるのが学費です。
国立大学の法科大学院でも2年間で約180万円〜200万円、私立大学院では250万円〜300万円以上が一般的です。
法学部以外の出身者は、法科大学院の課程が3年コースとなるため、さらに費用負担が大きくなります。
さらに、もし仕事を辞めて法科大学院に通うのであれば、その間の収入が途絶えるため、生活費も全額自己負担です。
働きながら夜間ロースクールに通う場合でも、学費の負担は同様にかかります。
奨学金制度や教育ローンを利用する選択肢もありますが、合格後に返済義務が生じることも念頭に置かなければなりません。
このように、法科大学院ルートは、予備試験ルートに比べて経済的な負担が非常に大きいという特徴があります。
予備試験ルートの場合!予備校や教材の負担がある
予備試験ルートを選択する場合、主な費用は司法試験の予備校の受講料です。
予備校の講座は、入門から上級まで一貫してサポートするコースで、一般的に数十万円〜150万円程度が相場です。
法科大学院の学費に比べれば安価ですが、決して小さな金額ではありません。
予備校の費用には講義の受講料だけでなく、質の高いテキストや問題集、答案添削サービス、全国模試などが含まれていることがほとんどです。
そのほか、個別に基本書や判例集を購入する費用や、予備試験・司法試験の本試験受験料もかかります。
仕事を続けながら挑戦できるため、生活費の心配は少ないですが、予備校費用という初期投資が必要になることを理解しておく必要があります。
しかし、予備校の多くは分割払いに対応しているため、百万円程度の貯金がなくても受講開始することは可能です。
以下の記事では、予備校のカリキュラムや料金を比較解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。
社会人の司法試験に関するよくある質問
まとめ
社会人が働きながら司法試験に合格することは、決して「無謀」な挑戦ではありません。
毎年一定数の社会人合格者が存在し、社会人経験を武器にできるという事実がそれを証明しています。
社会人の場合、時間的制約の少ない予備試験ルートが現実的であり、独学ではなく予備校を効果的に利用することが合格への近道です。
3〜5年という長期的な計画を立て、着実に努力を積み重ねていきましょう。

.png)
.png)
