予備試験に合格は無理ゲー?難しいと言われる理由や難易度を他資格と比較解説

予備試験に合格は無理ゲー?難しいと言われる理由や難易度を他資格と比較解説

「予備試験って合格するのは無理ゲーって本当?」
「他の資格と比べてそんなに難しいの?」
「独学じゃ太刀打ちできないのでは…?」

そんな不安や疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。

予備試験(正式名称は「司法試験予備試験」)は、司法試験の受験資格を得るためのルートのひとつです。合格率が非常に低いことから、「無理ゲー」と揶揄されるほどの難関です。

特に、学習範囲の広さや論文試験の難易度、競争率の高さが、合格を困難にしている大きな要因とされています。

それでも、適切な戦略と継続的な努力によって、社会人や未経験者でも合格を目指すことは可能です。

この記事では、予備試験が「無理ゲー」と言われる理由や実際の難易度について、司法試験や他の国家資格と比較しながら詳しく解説します。ぜひ最後までご覧ください。

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目次

予備試験は無理ゲー?合格できるのは天才だけって本当?

予備試験が「無理ゲー」であり、合格できるのは一部の天才だけ、という声を耳にすることがあります。

結論から言えば、予備試験は無理ゲーと言い切ることはできません。

確かに、予備試験の合格率は毎年3〜4%と極めて低く、この数字だけを見れば無理ゲーと感じるのも当然です。

しかし、予備試験は受験資格がなく誰でも受験できるため、十分な準備ができていない記念受験層も多く含まれており、その結果合格率が低くなっているという背景があります。

実際、合格率3〜4%と不可能に見える数字でも、毎年数百人もの合格者がいるのも事実です。

国内最難関の試験であることは間違いありませんが、正しい戦略と継続的な努力を重ねれば、合格は決して不可能というわけではありません。

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予備試験が無理ゲー・難しいと言われる理由

予備試験が無理ゲー・難しいと言われる理由には以下があります。

  • 3つの試験(短答・論文・口述)を突破しないといけない
  • 試験範囲が膨大で対策に時間がかかる
  • 法律知識だけでなく論理力や表現力も問われる
  • 社会人や主婦にとって時間確保が難しい
  • 競争率が高く、合格者は全体の約3〜4%しかいない
  • 論文試験の採点基準の詳細がわからず難易度が読みにくい

それぞれ詳しく解説します。

理由①3つの試験(短答・論文・口述)を突破しないといけない

予備試験が「無理ゲー」と言われる理由のひとつが、試験の合格が3段階に分かれていることがあげられます。

予備試験に最終合格するためには、短答式試験、論文式試験、口述試験という性質の異なる3つの試験を連続して突破しなければなりません。

短答式試験は、正確な知識を問うマークシート形式で、合格したら論文式試験を受けられます。

論文式試験では、法的思考力や論理構成力、文章表現力が問われます。

短答式試験の合格後に受けられる口述試験は面接形式です。対話によるコミュニケーション能力も試されます。

このように、段階的に受験者がふるいにかけられ、それぞれの段階で異なる能力が求められるため、総合的な実力がなければ最終合格には至らないのです。

理由②試験範囲が膨大で対策に時間がかかる

予備試験の試験範囲は、法律基本7科目(憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法)に加え、法律実務基礎科目(民事・刑事)、そして選択科目と極めて広大です。

これらの科目について、単に条文を暗記するだけでなく、その背景にある趣旨や関連する判例、学説に至るまで、深く体系的な理解が求められます。

この膨大な範囲を網羅し、合格レベルの知識を身につけるためには、一般的に5,000時間以上という途方もない学習時間が必要とされています。

1日8時間勉強しても2年以上かかる計算です。

付け焼き刃の知識では到底太刀打ちできず、長期にわたる計画的かつ継続的な学習が不可欠です。

予備試験に合格するには圧倒的な学習量が必要で、多くの受験生にとって大きな壁となり、無理ゲーと感じさせる要因の一つとなっています。

理由③法律知識だけでなく論理力や表現力も問われる

予備試験は、単に法律知識を記憶しているかを問う試験ではありません。

特に、合否を大きく左右する論文式試験では、知識があることを前提として、それをいかに使いこなせるかが試されます。

具体的には、与えられた複雑な事例の中から法的な問題点を発見する「問題発見能力」、関連する法律や判例を的確に適用して結論を導き出す「論理的思考力」、その思考プロセスを採点者に分かりやすく、説得力のある文章で示す「表現力」が求められます。

どれだけ豊富な知識を持っていても、それを論理的に構成し、明快な文章で表現できなければ評価されません。

知識・論理力・表現力という三つの能力を高いレベルで融合させなければならない点が、予備試験の難易度を格段に引き上げているのです。

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理由④社会人や主婦にとって時間確保が難しい

予備試験の合格に必要な学習時間は5,000〜8,000時間と言われています。

特に、社会人や主婦の方にとって、膨大な時間を確保することが大きな障壁となります。

学生など専業受験生が1日10時間以上勉強できる環境にあるのに対し、社会人は仕事、主婦は家事や育児に大半の時間を費やさなければなりません。

確保できる学習時間は、平日の早朝や深夜、通勤時間などのスキマ時間と限られた休日のみです。

日々の業務や家事で心身ともに疲弊した状態で、さらに机に向かう気力と体力を維持し続けることは、並大抵のことではありません。

この絶対的な時間的制約と、それに伴う精神的・肉体的な負担の大きさが、社会人や主婦の方々にとって予備試験を無理ゲーと感じさせてしまう大きな理由となっています。

理由⑤競争率が高く、合格者は全体の約3〜4%しかいない

予備試験が無理ゲーと言われる最も直接的な理由は、その極めて低い合格率にあります。

法務省の発表によると、過去の予備試験の合格率は次のようになっています。

年度受験者数最終合格者数合格率
令和6年度12,569人449人3.6%
令和5年度13,372人479人3.6%
令和4年度13,004人472人3.6%
令和3年度11,717人467人4.0%
令和2年度10,608人442人4.2%
令和元年度11,780人476人4.0%
平成30年度11,136人433人3.9%
平成29年度10,743人444人4.1%
平成28年度10,442人405人3.9%
平成27年度10,334人394人3.8%

参照:司法試験予備試験の結果について|法務省

予備試験の最終合格率は、例年3〜4%程度で推移しています。

これは100人が受験しても、最終的に合格できるのはわずか3〜4人という計算で、他の難関国家資格と比較しても際立って低い数字です。

受験資格がなく誰でも受験できることから合格率が低くなっている性質もありますが、それを差し引いても、司法試験合格を目指す優秀な受験生が多く集まる、非常に競争が激しいことに変わりはありません。

理由⑥論文試験の採点基準の詳細がわからず難易度が読みにくい

予備試験が無理ゲーと言われる理由のひとつに、論文式試験の採点基準の詳細が公表されていないことが挙げられます。

マークシート形式の短答式試験とは異なり、論文式試験には絶対的な「正解」が存在しません。

さらに、どのような答案が何点で評価されるのかという具体的な採点基準は公表されていません。

そのため、受験生は合格者の再現答案などを参考に試行錯誤で対策を進めるしかなく、「何を書けば合格点に届くのか」が分かりにくいという不安を常に抱えることになります。

自分の書いた答案の評価が安定せず、実力がどの程度なのかを客観的に把握しにくいのです。

このような、採点のブラックボックス性が、学習の方向性を定めづらくさせ、試験の難易度を一層高く感じさせる一因となっています。

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予備試験の実際の難しさ!他の国家資格と難易度を比較

予備試験と他の法律系国家資格の合格率・勉強時間を比較した表が以下です。

資格合格率勉強時間
弁護士予備試験:約3〜4%
司法試験:約45%
約5,000〜8,000時間
行政書士約10〜13%約500~800時間
司法書士約4〜5%約3,000時間
税理士約20%前後約2,000~4,000時間
社労士約6~7%約800〜1,000時間
宅建約15〜17%約200~400時間

司法試験は厳しい受験資格があるため合格率は特別低くありませんが、予備試験の合格率は突出して低いことがわかります。

単純な合格率の比較だけでも、予備試験が他の法律系国家資格の難易度を上回る狭き門であることがうかがえます。

また、必要とされる学習時間を見ても、1,000時間以内、あるいは3,000〜4,000時間であるのに対し、予備試験は約5,000〜8,000時間が目安です。

圧倒的な学習量が求められるという客観的なデータから、予備試験は日本の国家資格の中でも最高峰の難易度を誇ると言えるでしょう。

予備試験の難易度を偏差値に例えると?東大とどっちが難しい?

予備試験に偏差値という指標は存在せず、大学入試と比較対象と性質が異なります。

そのため、一概に難易度を比較することはできませんが、あえて大学入試で例えると、予備試験の難易度は偏差値75と言われています。

偏差値75は、東京大学や一橋大学に相当する難易度です。

しかし、予備試験は東大をはじめとするトップレベルの大学に在学中の優秀な学生たちが数多く挑戦しており、それでも合格率がわずか数%なのが事実です。

このことから、少なくとも東大合格と同等か、あるいはそれ以上に過酷な競争を勝ち抜かなければならない試験であると認識されています。

法科大学院ルートとの違いは?

予備試験ルートと法科大学院(ロースクール)ルートの最大の違いは、司法法試験の受験資格を得る方法です。

法科大学院ルートは、大学を卒業後に法科大学院へ進学するもので、2〜3年の課程を修了することで司法試験の受験資格を得ます。

2〜3年という期間と数百万円単位の学費がかかりますが、キャンパスで体系的な法学教育を受けられるというメリットがあります。

法学大学院に入学するには、その大学院の入試に合格する必要がありますが、予備試験と比較すると難易度ははるかに易しいです。

一方、予備試験ルートは、学歴や年齢に関係なく、予備試験に合格しさえすれば受験資格を得られるものです。

時間と費用を大幅に節約できる可能性があるため、社会人や早期合格を目指す学生に人気ですが、予備試験自体の合格率が極めて低いのが特徴です。

いわば、法科大学院が「時間をかけて着実に資格を得る道」、予備試験が「圧倒的な実力で時間を買う道」と言えるでしょう。

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司法試験より予備試験のほうが難しい?

「司法試験よりも予備試験のほうが難しい」と言われることがありますが、これは一概に言い切ることはできません。

司法試験の合格率は約45%であるのに対し、予備試験の合格率は約3〜4%と、数字上は予備試験が圧倒的に難しく見えます。

しかし、これは受験者層の質が全く異なるためです。

司法試験の受験生は、法科大学院を修了した者か、予備試験を突破した者だけで構成される、いわばエリート集団です。

一方、予備試験は受験資格がないため、準備不足の受験生も多く含まれ、結果として合格率が低く算出されます。

問われる法律知識や能力のレベルは本質的に同等であるため、両者の難易度はほぼ同じと考えるのが妥当でしょう。

実際、予備試験に合格した人の司法試験の合格率は、例年90%を超えています。

【ルート別の司法試験の合格率】

予備試験ルート法科大学院ルート
令和6年度約92.8%約34.8%
令和5年度約92.6%約40.6%
令和4年度約97.5%約37.6%
令和3年度約93.5%約34.6%
令和2年度約89.4%約32.7%

参照:司法試験の結果について – 令和6年司法試験法科大学院等別合格者数等|法務省

予備試験が「簡単になった」って本当?

近年、予備試験の最終合格者数が400人台後半で推移し、増加傾向にあることから「予備試験は簡単になった」という声が聞かれることがあります。

しかし、この見方は正しくありません。

確かに合格者の絶対数は増えていますが、それと同時に受験者数も増加し続けており、最終合格率は依然として3〜4%という極めて低い水準を維持しています。

競争の厳しさは全く変わっておらず、むしろ受験者層のレベルは年々上がっているとも言われています。

予備試験は今も昔も変わらず、日本の国家資格の中で最難関の一つであり、合格するためには徹底した準備と多大な努力が必要不可欠です。

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予備試験を突破するために必要なこと

予備試験を突破するために必要なことはさまざまですが、特に大切なのが次の3つの意識です。

  • 短答式試験で安定して6割以上を取る
  • 論文試験で上位400人に入る実力をつける
  • 口述試験は対策次第で落ちにくい

それぞれ詳しく解説します。

短答式試験で安定して6割以上を取る

予備試験突破の最初の関門は、短答式試験です。

短答式試験の合格ラインは、例年、満点(270点)の6割程度、点数にして150〜170点前後で推移しています。

したがって、まずはこの合格ラインを安定して超える実力を養うことが絶対条件となります。

短答式試験で問われるのは、条文や判例に関する正確な知識です。

対策としては、予備校のテキストや過去問を繰り返し解き、知識の穴を一つひとつ潰していく地道な作業が最も効果的です。

特に民法、刑法、憲法の主要3科目に加え、商法や行政法などの他の科目でも満遍なく得点できる力が必要となります。

論文試験で上位400人に入る実力をつける

論文式試験は、予備試験における事実上の決勝戦です。

論文式試験は相対評価となっており、例年400人前後が合格していることから、試験は点数基準ではなく、受験者の上位400人が合格する形になっています。

試験は単に知識があるだけでは不十分です。

与えられた事例から法的な問題点を的確に抽出し、論理的な思考過程を経て、説得力のある答案を作成する能力が求められます。

対策としては、合格者の再現答案などを参考にし、どのような答案が高く評価されるのかを徹底的に分析することが重要です。

そして、実際に時間を計って答案を作成する訓練を繰り返し、合格レベルの答案を安定して書ける実力を身につける必要があります。

口述試験は対策次第で落ちにくい

最終関門である口述試験は、論文式試験の合格者を対象に行われる面接形式の試験です。

その合格率は例年9割を超えており、試験では、試験官(現役の裁判官や検察官)から、民事・刑事の法律実務に関する基本的な知識や、事案の処理能力について問われます。

対策としては、予備校などが実施する口述模試を積極的に活用し、人前で自分の考えを論理的に話す訓練を積むことが非常に有効です。

基本的な知識を再確認し、落ち着いて対話する姿勢を心がければ、過度に恐れる必要はありません。

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予備試験は独学で合格はきつい?予備校の利用がおすすめ

予備試験に独学で合格することは、不可能ではありませんが、極めて困難な道と言わざるを得ません。

独学で進めれば、膨大な試験範囲を前にして何から手をつけるべきか分からず、学習の方向性を見失ってしまうリスクが非常に高いです。

特に、採点基準が不透明な論文式試験の対策を一人で行うのは至難の業です。

合格への最短ルートを目指すのであれば、予備校の司法試験・予備試験講座を積極的に利用することを強く推奨します。

予備校では、合格に特化した効率的なカリキュラム、質の高い教材、そして自分の実力を客観視できる答案添削や模試など、独学では得られない多くのメリットがあります。

費用はかかりますが、独学で何年も遠回りをしてしまったり、独学に失敗したりするリスクなどを比較すると、予備校を利用するメリットは大きいです。

以下の記事では、予備校のカリキュラムや料金を比較解説しています。「どの予備校を選べばいいかわからない」という方は、ぜひあわせてご覧ください。

資格試験の予備校ランキング
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予備試験に関するよくある質問

予備試験の最年少合格者は?

令和5年(2023年)に16歳の高校生が合格

予備試験の最年少合格記録は、令和5年(2023年)に更新され、当時16歳の高校2年生が合格を果たしました。

もちろん、これは極めて優秀な個人の成し遂げた偉業であり、誰もが真似できることではありません。

しかし、若い世代であっても、正しい方法で努力を積み重ねれば、予備試験という最難関の試験を突破できる可能性があることを示しています。

予備試験は廃止された?

一般教養は令和4年になくなりました

「予備試験が廃止された」という情報は誤りです。ただし、試験制度の一部に変更がありました。

具体的には、令和4年(2022年)の試験から、論文式試験の科目であった「一般教養科目」が廃止されました。

この変更により、受験生は、人文科学や社会科学、自然科学といった広範な分野の対策をする必要がなくなり、より法律科目の学習に集中できる環境になりました。

まとめ

予備試験は、合格率3〜4%という数字から「無理ゲー」と評される、国内最難関の試験の一つです。

その背景には、試験形式や膨大な試験範囲、そして法律知識だけでなく高度な思考力・表現力が求められるという厳しさがあります。

しかし、毎年必ず数百人の合格者が誕生しているのも事実であり、決して「不可能な試験」ではありません。

独学での挑戦は極めて困難であり、予備校などを活用して効率的に学習を進めるのが賢明です。

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