司法試験の受験は何回まで?5年間5回の回数制限がある理由、5回落ちたらどうなるか解説

司法試験の受験は何回まで?5年間5回の回数制限がある理由、5回落ちたらどうなるか解説

「司法試験は何回まで受験できるの?」
「5年間で5回までという回数制限があるって本当?」
「もし5回落ちたら、その後はどうなるの?」

そんな疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

司法試験には、合格を目指す受験生の公平性を保つために、5年間で5回までという制限が設けられています。

そのため、なぜ受験回数に制限が設けられているのか、もし制限に達してしまった場合の対応についても知っておくことが重要です。

この記事では、司法試験の回数制限の仕組みや、その背景にある理由、そして5回不合格だった場合の影響についてわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。

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目次

司法試験の受験は何回まで?5年間5回までの回数制限

司法試験の受験回数には回数制限が設けられており、受験資格を得てから5年間で5回までです。

具体的には、司法試験法第4条で定められており、受験資格を取得した後の最初の4月1日から起算して5年間が受験可能期間となります。

【司法試験の受験資格等】
第四条 司法試験は、次の各号に掲げる者が、それぞれ当該各号に定める期間において受けることができる。
一 法科大学院の課程を修了した者 その修了の日後の最初の四月一日から五年を経過するまでの期間
二 司法試験予備試験に合格した者 その合格の発表の日後の最初の四月一日から五年を経過するまでの期間

引用:司法試験法 第四条|法令検索e-GOV

期間内であれば最大5回まで挑戦できますが、5回の受験機会を使い切るか、5年の期間が経過すると受験資格を失います。

また、一度でも受験を見送れば、その分だけ挑戦できる回数が減ることになります。

受験資格を得た後の期限をシミュレーション

法科大学院ルートで令和6年3月に課程を修了した場合、受験資格期間は令和6年4月1日から令和11年3月31日までの5年間です。

また、予備試験ルートも同様に、令和5年に予備試験を受験した場合、最終合格の結果がわかるのは令和6年2月で、受験資格が得られるのは、合格発表後の最初の4月1日からです。

司法試験は例年7月に実施されているため、いずれにしても令和6年4月に受験資格を得たら、令和10年7月が最後の受験になります。

司法試験の回数制限は5年間5回までと決まっており、仮に病気や家庭の事情などでいずれかの年の受験を見送ったとしても、受験資格期間は延長されません。

5回のチャンスのうちの1回分を失うことになるため注意が必要です。

法科大学院の在学中でも司法試験に受験可能になった

これまで法科大学院の修了が必須だった司法試験ですが、令和5年度(2023年度)から制度が変更され、在学中でも受験が可能になりました。

具体的に、受験資格の条件は次の2つを満たしていることです。

  • 法科大学院で所定の単位を修得していること
  • 1年以内に法科大学院課程を修了する見込みであること

これにより、法科大学院の最終学年に在学している学生が、修了を待たずに司法試験に挑戦できるようになりました。

ただし、在学中に受験した場合でも、初回の受験年度から5年間の期間制限がスタートする点に変更ないことに注意が必要です。

例えば、令和7年3月に修了見込みの学生が、在学中の令和6年7月に受験をすると、受験資格期間は令和6年4月1日からとなります。

万が一不合格だった場合、法科大学院を修了後の受験(令和7年7月の試験)は2回目として扱われます。

つまり、残りの受験回数は4年4回で、令和10年7月が最後の受験となるため、回数制限の計算を間違わないように注意しましょう。

従来の条件は三振ルールや回数制限なしだった

現在の司法試験の回数資源「5年間5回まで」という受験制限に至るまで、司法試験の制度は大きく変化してきました。

2011年まで並行実施されていた旧司法試験には、受験回数に一切の制限がありませんでした。

そのため、合格するまで何十年も挑戦し続ける、いわゆる「司法浪人」が社会的な問題として指摘されていました。

2006年に法科大学院制度と連動する新司法試験が導入されると、当初は5年以内に3回までしか受験できない「三振ルール」とよばれる厳しい制限が設けられました。

しかし、この三振ルールは法曹志願者の減少を招いた一因ともされ、2015年度以降は緩和される形で、現在の「5年間で5回」というルールに変更された経緯があります。

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司法試験に回数制限が設けられている理由

司法試験に回数制限が設けられている理由は、主に次の3つです。

  • 司法浪人の増加を防ぐため
  • 法科大学院の教育効果を発揮するため
  • 受験競争の過熱を抑えるため

それぞれ詳しく解説します。

理由①司法浪人の増加を防ぐため

司法試験に回数制限が設けられた最も大きな理由は、司法浪人が増加し、社会問題化することを防ぐためです。

受験回数に制限がなかった旧司法試験の時代は、合格率が極めて低く、多くの受験生が何年にもわたって試験に挑戦し続けていました。

その結果、法曹の道に進めないまま年齢を重ね、他のキャリアへ転身する機会を逃してしまう人々が数多く生まれました。

司法浪人が長引けば、個人の人生設計に大きな影響を与えるだけでなく、優秀な人材が長期間社会で活躍できないという国家的損失にもつながります。

そのため、現在の「5年間で5回」という回数制限は、受験生に一定の期間で区切りをつけることを促すものです。

万が一、法曹への道を諦めた場合でも、比較的早い段階で人生の方向転換を図ることができ、社会で活躍するためのセーフティネットとしての意味合いを持っています。

理由②法科大学院の教育効果を発揮するため

受験回数の制限は、法科大学院制度の理念と教育効果を担保する役割も担っています。

法科大学院は、単なる知識の暗記ではなく、法的思考プロセスや応用力を重視した教育を通じて、質の高い法曹を養成することを目指して設立されました。

もし受験回数に制限がなければ、受験生は法科大学院での学びに集中するよりも、試験対策だけに特化した学習に偏ってしまう可能性があります。

それでは、政府としては、多額の費用と時間をかけて法科大学院を設置した意味が薄れてしまいます。

司法試験において「5年間」という期間制限を設けることで、受験生は法科大学院で得た知識や思考力が新鮮なうちに試験に臨むことが可能です。

そのため、法科大学院での教育内容が司法試験の評価に直結しやすくなり、制度全体の整合性が保たれるという仕組みです。

理由③受験競争の過熱を抑えるため

受験回数制限には、司法試験における競争の過熱を抑制し、試験制度の公平性を維持する目的もあります。

仮に受験回数が無制限だった場合、毎年不合格になった受験生が翌年以降も受験し続けることで、受験者数が雪だるま式に増加していく可能性があります。

受験者の母数が増えれば、その分見かけ上の合格率は著しく低下し、新規に法曹を目指す優秀な人材にとって、合格のハードルが不当に高く感じられるためです。

また、何度も受験しているベテラン受験生が有利となり、受験者層が固定化されることで、法曹界の多様性が損なわれる恐れもあります。

回数制限を設けて毎年の受験者数を一定の規模にコントロールすることで、実力のある受験生が適切な努力によって合格できる健全な競争環境を維持することが可能となります。

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司法試験は何回で受かる人が多い?

合格者の多くは1〜2回で合格している

法務省のデータによれば、司法試験の合格者のうち例年約60〜80%が一発合格です。

【司法試験合格者の受験回数】

試験年1回目2回目3回目4回目5回目
令和6年度76.1%18.6%2.8%1.8%0.8%
令和5年度88.9%6.9%2.0%1.3%0.8%
令和4年度74.6%12.8%6.3%3.3%3.0%
令和3年度72.1%12.2%7.1%5.3%3.3%
令和2年度66.2%15.3%8.7%5.9%3.9%
令和元年度58.9%18.8%9.3%7.2%5.9%

参照:司法試験の結果について|法務省

さらに、合格した人は1〜2回目で合格している割合が多く、3〜5回目で合格できたという人はほとんどいないことがわかります。

このことから、法科大学院や予備試験を通じて集中的に学習した知識がまだ新鮮なうちに受験することが、合格の可能性を最大化する秘訣と言えます。

そのため、「5回までチャンスがあるから」と考えず、一発合格、遅くとも2回目の試験での合格を目指すことが大切です。

なお、あくまでも合格者のうちのデータであり、3〜5回目の受験はほとんど合格できないとは言えないので注意しましょう。

論文式試験が最大の壁になりやすい

司法試験は短答式試験と論文式試験から構成されていますが、多くの受験生にとって最大の壁となるのは論文式試験です。

短答式試験は、法律の条文や判例に関する正確な知識を問うマークシート形式の試験であり、対策をすれば比較的多くの受験生が合格基準点を超えてきます。

しかし、合否を最終的に分けるのは論文式試験です。

論文式試験では、単に知識があるだけでは不十分で、事例を的確に分析する能力、法的な論点を論理的に構成する能力、説得力のある文章で表現する能力といった総合的なスキルが求められます。

受験回数を重ねてしまう受験生は、短答式の知識はあっても、この論文式答案を作成する能力に課題を抱えているケースが少なくありません。

また、受験に落ちた原因を「法律の知識不足」と考え、論文式の訓練よりも、知識のインプットに集中しやすいです。

合格を確実にするためには、質の高い答案を制限時間内に書き上げるための実践的なアウトプット訓練が不可欠となります。

司法試験に5回落ちたらどうなる?受験資格を失う

司法試験の受験に5回落ち、または5年の期間が経過した場合、受験資格を完全に失います。

しかし、受験資格を失っても、二度と司法試験を受けられないというわけではありません。

受験資格を再取得すれば、司法試験にまた受験することができます。

そのため、再度法科大学院に入学して課程を修了するか、予備試験に合格する必要があります。

また、法科大学院で取得した受験資格を失っても、同じように法科大学院の課程を修了すれば受験資格を得られ、前回と同じ法科大学院を選んでも問題ありません。

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司法試験の回数制限は使い切らないほうがいい理由

司法試験には5回の受験チャンスがありますが、回数を上限まで使い切ることは避けるべきです。その理由は次のとおりです。

  • 精神的なプレッシャーが増す
  • キャリアの選択肢が狭まる可能性がある

それぞれ詳しく解説します。

①精神的なプレッシャーが増す

受験回数を重ねると、合格への期待とともに精神的なプレッシャーも高くなります。

1回目の受験は「力試し」という気持ちで臨めるかもしれませんが、2回、3回と不合格が続くと、「もう後がない」「周りに申し訳ない」といった焦りや負い目が生まれる可能性があります。

最後の受験機会が近づくにつれて、試験本番で過度の緊張に襲われ、普段通りの実力を発揮できなくなるリスクが高まりやすいです。

周囲からの期待や心配の声も、最初は励みになりますが、次第に重荷に感じられるようになるでしょう。

不合格のショックは回数を追うごとに深刻になり、学習へのモチベーションを維持すること自体が困難になることも少なくありません。

冷静な心で試験に臨むためにも、短期決戦を目指すことが大切です。

②キャリアの選択肢が狭まる可能性がある

司法試験の受験期間が長引くと、法曹以外のキャリアを考えた場合の選択肢を狭める可能性があります。

司法試験の勉強に数年間専念すると、同年代の多くは社会人として着実にキャリアを積んでいます。

もし、法曹の道を断念して民間企業への就職に切り替える場合、数年間の学習期間は職務経歴上の空白と見なされ、採用で不利に働く可能性が高いです。

もちろん、予備試験の合格実績や法科大学院を修了した経歴、司法試験の勉強は評価される要素でもあります。

しかし、年齢が高いとマイナスに評価されやすい点にも注意が必要です。

年齢が上がるにつれて、未経験者向けのポテンシャル採用の枠は減少し、就職活動はより厳しいものとなります。

公務員など他の資格試験への転向を考えても、年齢制限が壁になるケースが出てくるかもしれません。

一方で、早い段階で合格すれば、法曹としてのキャリアを若いうちからスタートできるだけでなく、万が一他の道へ進む場合でも、若さを武器に多様なキャリアプランを検討することが可能です。

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司法試験に一発合格するにはどうすればいい?

司法試験に一発で合格することは、決して不可能な目標ではありません。しかし、そのためには極めて戦略的かつ効率的な学習が不可欠です。

司法試験に一発合格するために大切なのは次のとおりです。

  • 合格までのスケジュールを明確に立てる
  • 毎日コツコツ継続する習慣を身につける
  • 過去問やアウトプット中心の学習を行う
  • 教材を絞って繰り返し学習する
  • 予備校や講座を効果的に活用する

それぞれ詳しく解説します。

①合格までのスケジュールを明確に立てる

司法試験の一発合格を目指すうえで、合格日から逆算した綿密な学習スケジュールの策定は不可欠です。

膨大な試験範囲を前にして、行き当たりばったりの学習では必ず時間が不足します。

まずは、

  • 「試験半年前までに全科目の基礎インプットを完了させる」
  • 「直前期3ヶ月は論文式試験の過去問演習に特化する」

といった長期的なマイルストーンを設定します。

次に、その目標を月単位・週単位・日単位の具体的なタスクにまで落とし込み、「今日はどの科目のどの範囲を何ページ進めるか」を明確にします。

計画を立てることで、日々の学習に迷いがなくなり、進捗状況を客観的に把握できるのがメリットです。

また、計画通りに進んでいない場合は、スケジュールを修正することが可能で、地道な計画と実行の繰り返しが、合格への着実な一歩となります。

②毎日コツコツ継続する習慣を身につける

司法試験合格に必要な知識とスキルは、短期間の詰め込みで身につくものではありません。

一発合格者の多くに共通しているのは、学習を生活の一部として組み込み、毎日コツコツと継続する力です。

モチベーションが高い日も低い日も、決まった時間に机に向かう習慣を確立することが極めて重要です。

たとえ疲れていて集中できない日でも、「30分だけ基本書を読む」「過去問を1問だけ解く」など、最低限のノルマをこなすことで、学習リズムを崩さずに済みます。

一度途切れた学習習慣を再び軌道に乗せるには、想像以上のエネルギーが必要です。

司法試験は長期戦であり、最後まで走り抜くためには、この「継続する力」が最も強力な武器の一つとなるのです。

③過去問やアウトプット中心の学習を行う

司法試験の学習において、一発合格を目指すためにはアウトプット中心の学習を意識すべきです。

効率の悪い勉強をしてしまっている受験生は、基本書やテキストを読むインプット作業に時間をかけすぎている傾向があります。

しかし、試験で問われるのは知識そのものではなく、知識を使って問題を解決する能力です。

早い段階から過去問に触れ、どのような知識が、どのような形式で問われるのかを体感することが合格への最短ルートです。

過去問を解くことで、自分の理解が曖昧な部分や弱点が浮き彫りになり、その後のインプット学習の質も向上します。

特に論文式試験は、実際に答案を書き、第三者からの添削を受けるといったアウトプットの訓練を繰り返さなければ、決して上達しません。

もちろんインプットも重要ですが、インプットとアウトプットのバランスよく行うことで、記憶を効率よく定着させられます。

④教材を絞って繰り返し学習する

司法試験の膨大な試験範囲を前にすると、不安からさまざまな参考書や問題集に手を出したくなる人もいるでしょう。

しかし、多くの教材を中途半端にこなすと、知識が断片的になるだけで、体系的な理解にはつながりません。

一発合格を果たす受験生の多くは、信頼できる基本書や演習書を数冊に厳選し、徹底的に反復学習しています。

同じ教材を何度も繰り返すことで、一周目では気づかなかった論点間のつながりが見えたり、知識の定着度が格段に向上したりします。

一冊の教材をボロボロになるまで使い込むことで、その分野に関する知識が自分の血肉となり、試験本番で迷わず引き出すことが可能です。

⑤予備校を効果的に活用する

独学で司法試験に臨むことも可能ですが、一発合格という高い目標を掲げるのであれば、予備校を効果的に活用することが非常におすすめです。

予備校は、長年のノウハウに基づき、合格に必要十分な情報を凝縮したカリキュラムや教材を提供してくれます。

そのため、受験生は「何を、どの順番で学習すれば良いか」と迷う必要がなく、学習そのものに集中できます。

また、経験豊富な講師による講義は、難解な論点を分かりやすく理解する手助けとなり、学習の無駄を大幅に削減することが可能です。

費用はかかりますが、独学で余計に時間をかけてしまうよりも、短期合格を目指せるという大きなメリットを得られます。

以下の記事では、予備校のカリキュラムや料金を比較解説しているので、「どの予備校を選べばいいかわからない」と迷っている方はぜひ参考にしてください。

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まとめ

司法試験には、受験資格取得後「5年間5回まで」という厳格な受験回数制限が存在します。

この制度は、司法浪人の増加を防ぎ、法科大学院制度の教育効果を担保するなど、法曹養成制度全体を健全に機能させるために設けられています。

統計データが示す通り、合格者の多くは1回目か2回目で合格しており、短期決戦で臨むことの重要性がうかがえます。

一発合格を勝ち取るためには、明確な学習計画、学習の習慣化、そして予備校の有効活用が鍵となります。

厳しい試験ですが、正しい戦略と継続的な努力で合格を掴むことは十分に可能です。

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