「司法試験って年齢制限はあるの?」
「最年少や最高齢の合格者ってどんな人?」
「司法試験は年齢を重ねると不利になる?」
そんな疑問や関心を持っている方も多いのではないでしょうか。
司法試験には年齢制限がなく、実際にさまざまな年齢層の合格者がいます。
16歳という最年少で合格する人もいれば、社会人経験を経てから挑戦し、71歳という最高齢で合格するケースもあります。
年齢ではなく、戦略的な学習と継続力が合否を左右するといっても過言ではありません。
この記事では、司法試験に年齢制限がないことの根拠や、実際の最年少・最高齢の合格者の事例、そして最短合格を目指すためのポイントについてわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
司法試験に年齢制限はある?上限がなく何歳からでも受験できる
司法試験には年齢制限が設けられていません。
下限も上限もないため、何歳からでも法律家を目指して挑戦することが可能です。
実際に、10代の高校生から70代の高齢者まで、幅広い年齢層の合格者が存在します。
ただし、司法試験は誰でもすぐに受験できるわけではありません。
司法試験には厳しい受験資格があり、法科大学院を修了するか、司法試験予備試験に合格する必要があります。
法科大学院は原則として大学卒業している必要があり、司法試験予備試験は非常に難易度が高く、基本的には数年間の継続した学習が必要です。
司法試験合格者の平均年齢は?28〜29歳
法務省が公表するデータによると、司法試験合格者の平均年齢は例年28〜29歳前後で推移しています。
過去の合格者の平均年齢は次のとおりです。
| 実施年 | 平均年齢 |
|---|---|
| 令和6年度(2024年度) | 26.9歳 |
| 令和5年度(2023年度) | 26.6歳 |
| 令和4年度(2022年度) | 28.3歳 |
| 令和3年度(2021年度) | 28.3歳 |
| 令和2年度(2020年度) | 28.4歳 |
| 令和元年度(2019年度) | 28.9歳 |
また、合格者の年齢構成を見ると、20代が全体の約7割を占めており最も多く、次に30代が約2割と続きます。
大学卒業後に法科大学院へ進学し、修了後に受験する人が多いため、平均年齢が20代後半になるのは自然な結果といえるでしょう。
また、40代以上の合格者も毎年一定数存在します。
社会人経験を経てから法律家を目指す人も一定数いることから、司法試験は多様なキャリアを持つ人がチャレンジできる試験となっています。
合格者の最年少記録は16歳
司法試験の合格者における最年少記録は、当時17歳の高校生です。
従来の最年少記録であった18歳が、令和5年(2023年)に更新され、大きな話題となりました。
司法試験合格者の過去の最低年齢は以下のとおりです。
| 実施年 | 最低年齢 |
|---|---|
| 令和6年度(2024年度) | 17歳 |
| 令和5年度(2023年度) | 19歳 |
| 令和4年度(2022年度) | 18歳 |
| 令和3年度(2021年度) | 18歳 |
| 令和2年度(2020年度) | 20歳 |
| 令和元年度(2019年度) | 20歳 |
18〜20歳ほどで司法試験に合格する人はごく稀です。
高校〜大学在学中にハードに法律の勉強をし、難関の予備試験に合格しなければなりません。
合格者の最高齢記録は71歳
司法試験合格者の最高齢記録は、平成29年度(2017年)の71歳という記録です。
司法試験合格者の過去の最高年齢は以下のとおりです。
| 実施年 | 最低年齢 |
|---|---|
| 令和6年度(2024年度) | 70歳 |
| 令和5年度(2023年度) | 66歳 |
| 令和4年度(2022年度) | 68歳 |
| 令和3年度(2021年度) | 69歳 |
| 令和2年度(2020年度) | 69歳 |
| 令和元年度(2019年度) | 65歳 |
| 平成30年度度(2018年度) | 68歳 |
| 平成29年度度(2017年度) | 71歳 |
定年退職後や、人生の新たなステージで法律家を目指すのは選択肢の一つと言えます。
また、長年の社会人経験で培った知識や人間性、問題解決能力は、法律家としての業務において大きな強みとなります。
予備試験合格者の最年少と最高齢記録は?
予備試験の合格者の最年少と最高齢、および平均年齢の記録は次のとおりです。
| 年度 | 最低年齢 | 最高年齢 | 平均年齢 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 17歳 | 66歳 | 26.60歳 |
| 令和5年度 | 16歳 | 69歳 | 26.91歳 |
| 令和4年度 | 17歳 | 64歳 | 27.73歳 |
| 令和3年度 | 17歳 | 64歳 | 26.28歳 |
| 令和2年度 | 18歳 | 59歳 | 25.89歳 |
| 令和元年度 | 19歳 | 63歳 | 26.03歳 |
参照:司法試験予備試験の結果について – 口述試験(最終結果)|法務省
予備試験にも年齢制限はなく、これまで多くの若い世代や社会人経験者が挑戦しています。
令和6年(2024年)の予備試験では、最年少合格者として16歳の高校生が更新され、また同年の最高齢合格者は69歳でした。
予備試験は年齢や経歴に関わらず、純粋に法律知識と応用能力が問われる試験です。
16歳と69歳という合格者の記録は、挑戦する意欲さえあれば誰にでも門戸が開かれているといえるでしょう。
司法試験の合否に年齢は関係する?年齢で評価が変わることはない
司法試験の採点において、受験者の年齢や性別、学歴、職歴といった個人的な背景が評価に影響を及ぼすことは一切ありません。
合否の判定は、提出された答案の内容のみに基づいて、客観的かつ公平に行われます。
そのため、年齢が高いから不利になる、あるいは若いから有利になるといったことはありません。
重要なのは、年齢に関わらず、合格に必要な学力を身につけることです。
社会人経験が長い受験者も大学を卒業したばかりの受験者も、同じ土俵で答案の質のみで評価されます。
誰にでも平等に合格のチャンスがある、実力主義の試験といえるでしょう。
司法試験合格は誰でも目指せる
司法試験は、年齢やバックグラウンドに関係なく、どんな人でも正しく努力を継続すれば合格を目指せる試験です。
実際、合格者の経歴は非常に多様です。
- 大学在学中に予備試験経由で合格する学生
- 民間企業で長年勤務した後に挑戦する社会人
- 子育てをしながら勉強を続けた主婦
- 定年退職後に新たな目標として法律家を目指す方
など、さまざまな人々が合格を手にしています。
特に、年齢を重ねた受験者には、社会経験を通じて培われた深い洞察力や粘り強さといった強みがあります。
若い受験者には、柔軟な思考力や学習に集中できる時間的な余裕があるかもしれません。
年齢とともに記憶力が弱まるわけではない
年齢を重ねると記憶力が低下するのではないか、と不安に感じる受験生は少なくありません。
しかし、脳の働きは、20歳を超えてから基本的に衰えないと言われています。
「歳をとって記憶力が悪くなった」と感じるのは、学生のときと比較して、記憶する量や習慣が少なくなっていることが原因として考えられます。
例えば、ある特定のゲームが得意な人でも、数年〜数十年間そのゲームをやらない期間があれば、腕が鈍っているのは当然なことです。
またそのゲームをすればやがて上達するように、記憶力も一時的に鈍っているだけなので、年齢とともに記憶力が下がって司法試験が不利になると言い切ることはできません。
また、司法試験で求められるのは単なる知識の暗記だけではなく、法律の趣旨や制度の背景を深く理解し、それらを論理的に結びつけて応用する能力も必要です。
年齢を重ねていても、学習方法を工夫することで、合格を目指すのは不可能ではありません。
高齢で合格しても就職先はある?就職に困ることは少ない
高齢で司法試験に合格した場合の就職活動について、不安を感じる方もいるかもしれません。
しかし、実際には就職先に困るケースは少ないのが実情です。
むしろ、これまでの社会人経験や専門知識を大きな強みとして活かすことができます。
例えば、特定の業界で長く働いてきた経験を持つ弁護士は、業界特有の問題に精通した専門家として、法律事務所で高く評価されます。
また、企業法務の経験があれば、企業内弁護士(インハウスローヤー)として即戦力になることが期待されるでしょう。
さらに、豊富な人生経験や人脈を活かして、独立開業する道も有力な選択肢です。
司法試験を受けるときの注意点
司法試験には年齢制限がありませんが、受験する際には以下2つの注意点があります。
- 受験資格には5年間5回までの制限がある
- 司法修習は国家公務員として扱われる
それぞれ詳しく解説します。
注意点①受験資格には5年間5回までの制限がある
司法試験を受験できるのは、受験資格を得て5年間で5回までという回数制限が設けられています。
具体的に言えば、受験資格を得た後の最初の4月1日から起算して、5年間の期間内に5回までしか受験することができません。
この期間を過ぎるか、または5回の受験機会を使い切ってしまうと、受験資格を失います。
一度失った受験資格を再度得るためには、改めて法科大学院に入学・修了するか、再度予備試験に合格する必要があります。
そのため、司法試験の受験資格を得た後、できる限り早く試験に合格できるよう、計画的な学習と受験が大切です。

注意点②司法修習は国家公務員として扱われる
司法試験に合格した後、裁判官、検察官、弁護士になるためには、約1年間の司法修習を修了する必要があります。
司法修習生の期間中は、国家公務員に準じた身分として扱われます。
そのため、国家公務員法第38条に定められた欠格事由に該当する場合、司法修習生として採用されず、修習を受けることができない点に注意が必要です。
欠格事由としては、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでなどが含まれます。
その場合、司法試験合格後すぐに司法修習を行えないので、過去の出来事で該当する可能性がある人は、事前に確認しておきましょう。
なお、司法試験の合格自体に期限はありませんので、欠格事由に該当する期間が終了した後に、改めて司法修習に申し込むことは可能です。
司法試験の合格者は一発合格が多い
法務省が公表する司法試験の合格者データを見ると、司法試験の合格者のうち例年約60〜80%が一発合格です。
【司法試験合格者の受験回数】
| 試験年 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 |
|---|---|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 76.1% | 18.6% | 2.8% | 1.8% | 0.8% |
| 令和5年度 | 88.9% | 6.9% | 2.0% | 1.3% | 0.8% |
| 令和4年度 | 74.6% | 12.8% | 6.3% | 3.3% | 3.0% |
| 令和3年度 | 72.1% | 12.2% | 7.1% | 5.3% | 3.3% |
| 令和2年度 | 66.2% | 15.3% | 8.7% | 5.9% | 3.9% |
| 令和元年度 | 58.9% | 18.8% | 9.3% | 7.2% | 5.9% |
一発合格の人が多く、3〜5回目で合格している人は少ないことがわかります。
司法試験は、受験資格を得てから5年5回という制限があるため、多くの受験生が短期集中で学習し、早い段階での合格を目指します。
学習期間が長引くほどモチベーションの維持が難しくなり、合格の可能性が低くなるのも理由のひとつです。
そのため、司法試験はできる限り早期合格を目指しましょう。
早いうちに司法試験に合格するためのポイント
司法試験は非常に難易度が高い試験ですが、正しい戦略と学習方法で臨めば、早期合格は十分に可能です。
早期合格を目指すためのポイントは次の4つです。
- 予備試験ルートを選ぶ
- 法律の基本7科目を早めに仕上げる
- 早期にアウトプット演習に移行する
- 予備校を利用する
それぞれ詳しく解説します。
ポイント①予備試験ルートを選ぶ
司法試験の早期合格を目指すうえで、予備試験ルートは非常に有力な選択肢です。
法科大学院ルートでは、大学卒業後に2〜3年間通学する必要があり、時間と学費の負担が大きくなります。
一方、予備試験には受験資格の制限がなく、合格すればすぐに司法試験の受験資格が得られます。
そのため、大学在学中や社会人として働きながらでも、最短で法律家への道を目指すことが可能です。
また、予備試験の合格率は例年3〜4%と極めて難易度が高い試験ですが、予備試験ルートの司法試験合格率は例年90%を超えています。
予備試験対策がそのまま司法試験対策になるので、司法試験合格を目指すのであれば、予備試験合格を狙うことで無駄がありません。

ポイント②法律の基本7科目を早めに仕上げる
司法試験の学習において、合格の土台となるのは法律基本7科目(憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法)の深い理解です。
これらの科目は、短答式試験と論文式試験の両方で問われる中心的な分野であり、応用的な学習に進むための基礎となります。
学習の初期段階で、これらの基本科目のインプットを徹底的に行い、知識を盤石にすることが早期合格のポイントです。
基礎が固まっていないまま応用問題に取り組んでも、付け焼き刃の知識では対応できません。
逆に、基本7科目を早めに高いレベルで仕上げることができれば、その後の選択科目や論文演習をスムーズに進めることができ学習全体が加速します。
焦らず、まずは土台作りに集中することが、結果的に合格への最短ルートとなります。
ポイント③早期にアウトプット演習に移行する
法律の知識をインプットするだけでは、司法試験に合格するのは困難です。
合格のために不可欠なのは、インプットした知識を使って答案を作成するアウトプット能力です。
多くの受験生が、インプット学習に時間をかけすぎてしまい、アウトプット演習の開始が遅れる傾向にあります。
しかし、早期合格を目指すなら、基礎的な知識が身についた段階で、積極的にアウトプット演習へ移行することが重要です。
過去問や予備校の答練などを活用し、実際に論文を書いてみることで、自分に足りない知識や論理の飛躍に気づくことができます。
書く訓練を繰り返すことで、法的思考力や時間内に答案をまとめるスキルが向上します。
インプットとアウトプットを並行して進め、実践的な答案作成能力を早期から磨き上げることが、合格レベルに到達するための効果的な戦略です。
ポイント④予備校を利用する
司法試験は独学での合格も不可能ではありませんが、極めて困難な道のりです。
早期合格を確実にするためには、司法試験の予備校を効果的に利用することが賢明な選択といえます。
予備校には、長年の指導実績に基づいた合格のためのノウハウが蓄積されています。
合格に直結する質の高いカリキュラムや教材、最新の試験傾向を分析した講義は、学習の効率を飛躍的に高めることが可能です。
また、経験豊富な講師による答案の添削指導は、独学では得られない貴重なフィードバックとなり、自分の弱点を客観的に把握するのに役立ちます。
学習スケジュールの管理や、同じ目標を持つ仲間との交流によるモチベーション維持も大きなメリットです。
以下の記事では、予備校のカリキュラムや料金について比較解説していますので、「どこの予備校を選べばいいかわからない」という方は、ぜひ参考にしてください。

まとめ
司法試験には年齢制限がなく、受験資格を満たせば何歳からでも挑戦できる国家試験です。
合格者の平均年齢は28歳前後ですが、10代の高校生から70代の方まで、幅広い年齢層の合格者が誕生しています。
年齢が合否に直接影響しないことは、実際の合格者をみても明らかです。
予備試験ルートを選んだり、早期のアウトプット演習に取り組んだり、予備校を活用したりして司法試験の早期合格を目指しましょう。

.png)
.png)
