司法試験と予備試験の違い!受験資格や難易度、合格後に得られる資格の違いを解説

司法試験と予備試験の違い!受験資格や難易度、合格後に得られる資格の違いを解説

「司法試験と予備試験って、そもそも何が違うの?」
「どっちが難しいの?」
「合格すると何ができるようになるの?」

そんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

予備試験は司法試験を受けるための受験資格を得るための試験であり、司法試験はその本試験にあたります。

それぞれの難易度や受験資格、合格後に得られる資格やキャリアのスタート地点には違いがあり、自分に合ったルートを選ぶには正確な理解が欠かせません。

この記事では、司法試験と予備試験の基本的な違いや、それぞれの難易度・受験資格・合格後の道についてわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。

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目次

司法試験とは?予備試験とは?

司法試験は、裁判官・検察官・弁護士といった法曹三者になるための資格試験です。

法曹として活動するためには、司法試験に合格後、司法修習を修了する必要があり、法曹三者になるために必要な学識と能力を問われます。

また、司法試験には受験資格があり、受験資格を獲得するルートは2つ存在します。

1つは、法学教育を専門に行う法科大学院の課程を修了する「法科大学院ルート」です。

もう1つは、法科大学院を修了していなくても、司法試験の受験資格を得られる「予備試験ルート」です。

予備試験(正式名称を「司法試験予備試験」)に受験資格の制限はなく、年齢や学歴、国籍に関わらず誰でも受験することが可能です。

時間的、経済的な理由で法科大学院への進学が難しい社会人や、早期の合格を目指す大学生など、多様な経歴を持つ人々が法曹を目指すための重要なルートとして機能しています。

予備試験は短答式、論文式、口述式の3段階で構成されており、法律知識だけでなく実務的な能力も問われる非常に難易度の高い試験です。

予備試験と司法試験の違い

予備試験は司法試験の受験資格を得るための資格試験で、司法試験は法曹三者になるために必要な能力を判定する最終選抜試験です。

つまり、予備試験は司法試験というゴールに到達するためのスタートラインに立つための試験と言えます。

具体的な違いは次の6つです。

  • 受験資格の違い
  • 合格後で得られる資格の違い
  • 試験形式と科目の違い
  • 試験日程とスケジュールの違い
  • 合格率や試験難易度の違い
  • 勉強時間と学習期間の目安の違い

それぞれ詳しく解説します。

違い①受験資格の違い

予備試験と司法試験では、受験資格が大きく異なります。

予備試験には受験資格の制限がなく、年齢、学歴、国籍を問わず、誰でも受験することが可能です。

現に、高校生や大学在学中の学生、社会人など、多様なバックグラウンドを持つ人々が毎年挑戦しています。

一方、司法試験には受験資格があり、法科大学院の課程を修了するか、司法試験予備試験に合格するか、という2つの条件のうちいずれかを満たす必要があります。

つまり、誰でも挑戦できる予備試験とは異なり、司法試験は一定の学習段階をクリアした人のみが受験できる選抜試験という位置づけです。

違い②合格後で得られる資格の違い

予備試験と司法試験では、合格することで得られる資格の内容が根本的に異なります。

予備試験に合格して得られるものは、法曹になるための直接的な資格ではありません。あくまで司法試験の受験資格です。

予備試験に合格しただけでは、弁護士や検察官として働くことはできません。

一方で、司法試験に合格すると、最高裁判所が実施する「司法修習」を受けられます。

1年間の司法修習を終えた後、最後の「二回試験」に合格することで、裁判官、検察官、弁護士に登録できるようになります。

予備試験は法曹への挑戦権を得るための試験であり、司法試験が法曹資格を得るための最終関門です。

違い③試験形式と科目の違い

予備試験は短答式試験、論文式試験、口述式試験の3段階選抜方式を採用しています。

一方、司法試験は短答式試験と論文式試験の2つで構成されています。

それぞれの科目は次のとおりです。

予備試験司法試験
短答式・憲法
・行政法
・民法
・商法
・民事訴訟法
・刑法
・刑事訴訟法
・一般教養科目
・憲法
・民法
・刑法
論文式・憲法
・行政法
・民法
・商法
・民事訴訟法
・刑法
・刑事訴訟法
・民事実務基礎
・刑事実務基礎
・選択科目
・公法系科目(憲法・行政法)
・民事系科目(民法・商法・民事訴訟法)
・刑事系科目(刑法・刑事訴訟法)
・選択科目
口述式・民事実務基礎
・刑事実務基礎

予備試験の短答式試験では、法律基本7科目に加えて一般教養科目も課されます。

論文式試験では法律基本7科目に加え、法律実務基礎科目が出題され、口述式試験は法律実務基礎科目が範囲です。

一方、司法試験は口述式試験はありません。

試験科目は短答式で憲法・民法・刑法の3科目、論文式で法律基本7科目に加えて選択科目1科目が課されます。

予備試験は幅広い知識を問う形式、司法試験はより専門的で深い思考力を問う形式という特徴があります。

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違い④試験日程とスケジュールの違い

予備試験は、1年をかけて段階的に実施される長期的な試験です。試験日程の違いは次のとおりです。

スケジュール予備試験司法試験
短答式試験日7月中旬7月中旬
(計3日間)
合格発表8月上旬
論文式試験日9月上旬短答式の翌日
合格発表12月下旬
口述式試験日翌年1月下旬
合格発表翌年2月上旬
最終合格発表11月上旬

予備試験は7月に短答式試験が行われ、その合格者のみが9月の論文式試験に進みます。

論文式試験の合格者は、翌年1月下旬に行われる口述式試験を受験し、最終合格発表は翌年2月です。

一方、司法試験は毎年7月中旬に、中1日の休みを挟んだ合計4日間で集中的に行われます。

短答式試験と論文式試験が同時に実施され、合格発表は同年11月上旬です。

予備試験に合格した人は合格した年の司法試験ではなく、翌年7月の司法試験を受験するのが一般的なスケジュールとなります。

違い⑤合格率や試験難易度の違い

予備試験と司法試験の過去の合格率は次のとおりです。

年度予備試験司法試験
2024年3.6%42.1%
2023年3.6%45.3%
2022年3.6%45.5%
2021年4.0%41.5%
2020年4.2%39.2%
2019年4.0%33.6%
2018年3.9%29.1%
2017年4.1%25.9%
2016年3.9%22.9%
2015年3.8%23.1%

参照:司法試験予備試験の結果について|法務省
参照:(2)司法試験の合格状況|弁護士連合会

予備試験の最終合格率は、例年3%〜4%程度で推移しており、国内でも最難関の国家試験の一つとされています。

誰でも受験できる分、司法試験よりも受験者数が多く、相対的に合格率が低くなっています。

一方、司法試験の合格率は近年40%前後です。

合格率だけを見ると司法試験の難易度が易しく見えますが、司法試験の受験生は法科大学院修了者か予備試験合格者という、すでに高度な法律知識を持つ集団です。

そのため、司法試験の難易度が低いというわけではありません。

どちらが難しいと判断することはできませんが、予備試験の合格者の約9割以上は司法試験に合格しているため、予備試験は司法試験と同等の難易度であると言えます。

違い⑥勉強時間と学習期間の目安の違い

予備試験に合格するための総勉強時間は、一般的に3,000時間〜5,000時間と言われており個人差が大きいです。

学習期間としては、2年〜5年程度を見込むのが一般的です。

司法試験の受験資格を獲得してから、さらに1,000時間〜3,000時間の追加学習が必要とされています。

つまり、予備試験ルートを選択した場合、司法試験に合格するまでには計5,000〜8,000時間ほどかかると考えられます。

予備試験ルートと法科大学院ルート、どちらのルートを選ぶにせよ、膨大な学習量をこなす覚悟が求められます。

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予備試験ルートと法科大学院ルートの違い

法曹になるための2つの主要な道のりとして、法科大学院ルートと予備試験ルートがあります。

法科大学院ルートは、大学卒業後に法科大学院へ進学し、2年間または3年間の課程を修了して司法試験の受験資格を得る方法です。

体系的な法学教育を受けられる一方、高額な学費と時間的なコストがかかります。

一方、予備試験ルートは、予備試験に合格することで直接司法試験の受験資格を得る方法です。

学歴や年齢に関係なく挑戦でき、時間的・経済的負担を軽減できるのがメリットですが、予備試験の合格率が約3〜4%と極めて低く、非常に狭き門です。

ただし、予備試験合格者の司法試験合格率は90%を超えることが多く、予備試験に合格さえできれば、司法試験の合格も近いと言えます。

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予備試験・司法試験に合格するためのポイント

予備試験および司法試験は、日本でも屈指の難関試験であり、合格を勝ち取るためには戦略的なアプローチが不可欠です。

単に法律知識を暗記するだけでは不十分で、事案を分析し、法的な思考プロセスを経て論理的な結論を導き出す能力が求められます。

予備試験・司法試験に合格するためのポイントは多岐にわたりますが、代表的なポイントは次の2つです。

  • 合格者が実践した学習方法を参考にする
  • 予備校を活用する

それぞれ詳しく解説します。

ポイント①合格者が実践した学習方法を参考にする

予備試験や司法試験に、実際に合格している人が実践した学習方法を参考にすることが重要です。

多くの合格者が共通して実践している学習方法は、インプットとアウトプットのサイクルを高速で繰り返すことです。

まず、基本書や予備校のテキストを用いて、法律の基本的な知識や概念(インプット)を正確に理解します。

重要なのは、インプットに時間をかけすぎないことです。

知識をインプットした後は、すぐに過去問や演習問題を解き、実際に答案を作成するアウトプットの練習に移ります。

この際、本番の試験と同じように時間を計って取り組むことが、実践力を養う上で効果的です。

さらに、作成した答案を予備校の講師など第三者に添削してもらい、客観的な評価を受けることで、自身の弱点や思考の癖を把握できます。

フィードバックを元に再度インプットに戻り、知識を修正・深化させるサイクルを確立することが合格への最短ルートです。

ポイント②予備校を活用する

予備試験や司法試験の学習方法として、大きく分けて独学と予備校に通うという選択肢があります。

予備校を利用する最大のメリットは、合格から逆算して作られた体系的なカリキュラムと、質の高い教材が提供される点です。

試験傾向を分析し尽くしたプロの講師から直接指導を受けられるため、効率的に学習を進められます。

さらに、学習スケジュールの管理や仲間との情報交換も容易になります。

一方、独学と比べて費用がかかるほか、全て自分のペースで学習を進められないことがデメリットです。

しかし、予備校を利用すれば、独学では必要な、教材選定から学習計画の立案をする手間やミスがなく、モチベーションの維持にもつながります。

試験範囲が広大な予備試験や司法試験において、独学で合格水準に達するのは非常に困難なため、多くの受験生が予備校を活用しています。

以下の記事では、おすすめの予備校のカリキュラムや料金について比較解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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予備試験と司法試験に関するよくある質問

予備試験と司法試験はどっちが難しい?

どちらが難しいと言い切ることはできません

一般的には、予備試験の方が難しいと評価されています。

予備試験の最終合格率は毎年3〜4%と極めて低く、司法試験の合格率は約40%に達します。

数字だけ見ると司法試験の方が簡単に思えるかもしれませんが、司法試験の受験生は、法科大学院を修了した者か、超難関の予備試験を突破した者に限定されます。

そのため、数字だけを見てどちらが難しいと判断するのは難しいです。

予備試験は廃止されるって本当?いつから廃止になる?

予備試験が廃止されるという噂は事実無根です

2025年現在、法務省から廃止を決定する公式な発表は一切ありません。

結論から申し上げますと、予備試験の制度自体が廃止されるという事実は一切ありません。この誤解は、ある制度変更と混同されている可能性があります。それは、2022年(令和4年)から、予備試験の論文式試験において「一般教養科目」が廃止されたという事実です。「一部科目の廃止」という情報が、いつの間にか「試験制度そのものが廃止される」という大きな勘違いに繋がったのかもしれません。しかし、実際に廃止されたのは一般教養科目のみであり、法律科目については従来通り実施されています。予備試験は、法曹を目指すための重要なルートとして今後も存続しますので、不確かな情報に惑わされることなく、安心して学習に専念してください。

まとめ

司法試験と予備試験は、どちらも法曹につながる試験です。

中でも予備試験は、法科大学院を修了せずとも司法試験の受験資格を得るための「資格獲得試験」です。

予備試験には受験資格に制限がないため、合格率は3〜4%と極めて低くなっています。

一方、司法試験は、法曹三者になるための最終関門となる「選抜試験」です。

両試験の違いを正確に理解し、自身の状況や目標に応じて法科大学院ルートか予備試験ルートかを選択することが重要です。

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